鉢虫綱
鉢虫綱(はちむしこう、Scyphozoa)は、刺胞動物門に属する水棲の無脊椎動物であり、いわゆるクラゲとして知られる多くの種を含む。 漂遊生活(プランクトン生活)を行うクラゲ(メデューサ)世代を持ち、この世代で有性生殖を行う。また、ポリプ世代を有するものも多く、この世代ではしばしば無性生殖を行う。クラゲ世代が底生動物(ベントス)として生活する十文字クラゲ目 Stauromedusae もかつてここに分類されていたが、現在では十文字クラゲ綱 Staurozoa に分割されている。 特徴ポリプは概して小型で単純。骨格や鞘を持たないのが普通であるが、イラモは鞘がある。口側は広く平坦な口盤となり、その周辺に1列の触手を持つ。触手は16本まで。体内には四枚の隔壁がある。この形のポリプを鉢ポリプと言い、この類を鉢虫というのはこれによる[1]。 クラゲは大型のものも多く、単体では最大になるのがこの群である。一般には傘状をしており、その辺縁には縁弁が並ぶ。触手は傘の縁に8本以上があり、その形はおおむね単純。また口の周辺に口腕が4本あり、複雑な形に発達する例もある。この群のクラゲを鉢クラゲという。 生活史鉢虫類の生活史は、クラゲ一般と同じように、ポリプの世代とクラゲの世代を繰り返すものである[2]。ポリプの世代では無性生殖が行われ、そこで生じたクラゲの世代では卵や精子を生じ、有性生殖が行われる。 一般的な形としては、受精卵は細胞分裂を続けて楕円形や卵形のプラヌラ幼生になる。プラヌラは適当な基盤を選んで定着し、ポリプになる。ポリプは様々な方法で無性生殖を行い、数を増やす。 決まった時期になると、ポリプからクラゲが形成される。この際に、この類ではポリプの先端部が横に縊れ、くびれの先の部分がクラゲに変化する。くびれが単一の場合も多数の場合もあり、後者ではそれに際してポリプが細長くなり、多数のくびれを生じ、結果として多数の皿を積み重ねたような形になる。この時期を横分体もしくはストロビラ(strobila)といい、この現象を横分体形成もしくはストロビレーションという。これは鉢虫類の大きな特徴でもある。 切り離されたクラゲは、当初はその周辺に8つの突出部があり、これをエフィラ(ephyra)という。エフィラから成体のクラゲになるまでの段階のものをメテフィラ(metephyra)という。 なお、違った形を取る例もある。オキクラゲではポリプが形成されず、プラヌラが直接にエフィラに変態する。これはこの種が外洋性であり、ポリプの付着する基盤がない環境にいるための適応と考えられる。エフィラクラゲはエフィラの形態のままに性的に成熟する。この種のポリプはイラモと呼ばれ、この類のポリプでは例外的に鞘を持っている。 下位分類WoRMS[3]による。
系統次のような系統樹が得られている。旗口クラゲ目や原管亜目は単系統群とならない[4]。
脚注及び出典
参考文献
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