鈴木 力衛(すずき りきえ、1911年5月1日 - 1973年6月14日)は、日本のフランス文学者、翻訳家、演劇評論家。
人物・来歴
愛知県出身。
第一高等学校、東京帝国大学仏文科を卒業後、フランス政府招聘給費留学生としてパリ大学に学び、帰国後は旧制学習院教授等を経て学習院大学文学部教授となった。
モリエール研究の第一人者。晩年に完成した単独訳の「モリエール全集 全4巻」(全作品を網羅してはいないが、全集の刊行冊子に「日本語の芝居として楽しめるモリエールのすべてと称しうる仕事」紹介されている)で、読売文学賞受賞。そうしたフランス演劇研究の成果を元に、新しい流れのフランス演劇も積極的に紹介し、俳優座養成所講師や文学座顧問もつとめ、戦後日本の興隆期の新劇運動に大きな影響を与えた。なお岩波文庫版のモリエール作品集は近年改版されている。
演劇関係以外でも、アレクサンドル・デュマ・ペールの『ダルタニャン物語』、ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』、マルセル・パニョル『笑いについて』、アンリ・ベルクソン『笑い』をはじめ多数の訳書がある。
学習院仏文科の骨格をほぼ一人で築き上げてゆき、優秀な教授陣を育成するために腕を振るい、そうした中から篠沢秀夫、豊崎光一、佐伯隆幸、末木利文(演出家)といった人達を育て上げていった。
著書
- 『時事佛蘭西語讀本』(編著、白水社) 1943
- 『フランス演劇雑筆』(新月社) 1948
- 『モリエール』(世界評論社、世界文学はんどぶっく) 1950
- 『モーパッサンの文学』(実業之日本社) 1952
- 『巴里~東京 入門フランス語会話』(ノエル・ヌエット共著、三笠書房) 1953
- 『フランス文学案内』(渡辺一夫共著、岩波文庫別冊) 1961
- 『やさしいフランス語会話文法5週間』(渡辺守章共著、開拓社) 1964
- 『フランスの文学』(明治書院、世界の文学史) 1966
- 『フランス文学史』(編著、明治書院) 1971
翻訳
-
- 『友を選ばば三銃士』
- 『妖婦ミレディーの秘密』
- 『我は王軍、友は叛軍』
- 『謎の修道僧』
- 『復讐鬼』
- 『将軍と二つの影』
- 『ノートルダムの居酒屋』
- 『華麗なる饗宴』
- 『三つの恋の物語』
- 『鉄仮面』
- 『剣よ、さらば』
モリエール
- 『亭主学校・女房学校』(モリエール、弘文堂書房) 1940、のち岩波文庫
- 『ドン・ジュアン』(モリエール、白水社) 1942、のち岩波文庫
- 『守銭奴』(モリエール、岩波文庫) 1951
- 『スカパンの悪だくみ』(モリエール、岩波文庫) 1953
- 『町人貴族』(モリエール、岩波文庫) 1955
- 『タルチュフ』(モリエール、岩波文庫) 1956
- 『いやいやながら医者にされ』(モリエール、岩波文庫) 1962
- 『世界古典文学全集47 モリエール』(他は辰野隆訳:筑摩書房) 1965
- 飛び医者 才女気取り 亭主学校 女房学校 タルチェフ ドン・ジュアン 孤客(辰野訳)
- いやいやながら医者にされ ジョルジュ・ダンダン 守銭奴 町人貴族 スカパンの悪だくみ 女学者
- 『病は気から』(モリエール、岩波文庫) 1970
- 『モリエール全集』全4巻 (個人全訳:中央公論社) 1972 - 1973
ウジェーヌ・ダビ
- 『緑の地帯』(ウージエヌ・ダビ、中央公論社、現代世界文学叢書) 1942
- 『島の人びと』(ウジェーヌ・ダビ、三笠書房) 1954
- 『あこがれ荘』(ウジエーヌ・ダビ、三笠書房) 1955
脚注