複合語複合語(ふくごうご)とは、語構成において2つ以上の語根によって形成された語をいう。合成語の下位分類の一つ。 概要単語の定義が難しいのと同様、複合語と2つの語との区別はあいまいであることが多い。 言語によっては複合語を作るための特別な形が使われることがあり、その場合には複合語であることが明らかである。たとえば日本語では「あめ(雨)」に対する「あま」は複合語の前成分にのみ出現する形であり、したがって「あまもり」は複合語である。また連濁は合成語の後成分にのみ出現するため、「たにがわ(谷川)」は複合語であることが明らかである。他の言語ではたとえは古代ギリシア語のτετράγωνος「四角の」はτέσσαρες「四」の合成語形τετρα-とγωνία「角」からなる複合語である。またナワトル語のteohcalli「神殿」はteōtl「神」とcalli「家」の複合語だが、前成分から語尾-tlが消えていることから複合語であることがわかる。 そのような特徴がなくても、意味によって複合語であると考えた方がよい場合もある。たとえば英語のblackbird「クロウタドリまたはムクドリモドキ」は特定の鳥を指し、black birdが任意の黒い鳥を指すのと異なっているから複合語と考えられる[1]:299。また、2語からなるblack birdは副詞を加えて「very black bird」と言えるが、blackbirdはそうではない[1]:306。 複合語の構成成分は意味がはっきりしないこともある。たとえば英語のraspberry「ラズベリー」やcranberry「クランベリー」の後半のberryの部分の意味は明らかだが、前半のraspやcranが何を意味するかは意識されない。またgooseberry「セイヨウスグリ」はgoose「雁、ガチョウ」とは意味があわず、実際に語源的に無関係である[1]:273。 類型→「en:Sanskrit compounds」も参照
インドの伝統的な文法学では、複合語を4つ(細分すると6つ)の類型に分ける[2]。
日本語の複合語複合語の成分複合語をつくる場合、もとの単純語の語形を変化させる場合があるが、変化の仕方は決まっている。動詞は学校文法でいわゆる連用形であり、「~ます」の「ます」を除いた部分である。四段動詞ではイ段音 (子音終わり「語幹」 + -i)、一段動詞(二段動詞)ではイ段もしくはエ段音 (母音終わり「語幹」 + ゼロ形態素) で終わる。形容詞はその語幹であり、「い」や「く」を除いた部分である。名詞の場合はそのまま使われる。 単純語としても用いられうる語根は自由形態素にあたり、合成語の一部としてのみ用いられる語根は拘束形態素に属する。動詞や形容詞のいわゆる「語幹」 (語根) は拘束形態素である。また、複合語の前項でのみ用いられる名詞語根 (「雨(あま)-」「木(こ)-」等) や、後項でのみ用いられる語根すなわち連濁形も拘束形態素である。 成分間の関係
出典
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