稲城市郷土資料室
稲城市郷土資料室(いなぎしきょうどしりょうしつ)は、東京都稲城市平尾にある、市立歴史博物館に相当する文化施設である。稲城市の歴史が学習でき、また稲城市内の遺跡から出土した考古資料などが展示されている。廃校の敷地を活用した複合施設ふれんど平尾内の校舎であった、生活文化施設ふれんど平尾の2階に所在する。 概要複合施設ふれんど平尾は、平尾地区1丁目9番にかつてあった稲城市立稲城第八小学校を利用して、2004年(平成16年)7月に開館した[1]。ふれんど平尾も郷土資料室も入場無料であるが、施設を団体などで予約利用している場所などは入場禁止である。展示品の前には展示品の概要が分かる、無料配布の『文化財ノート』を設置している。この『文化財ノート』は、稲城市の遺跡や出土品についての解説を、1枚紙にオフセット印刷したものが主で、毎年数枚発行し、展示品前や資料室前の廊下の棚、中央文化センターにて配布している。一部は稲城市のホームページにてPDF書類のほか、HTML書類でも公開している[2]。 郷土資料室資料室は、建物2階の元々放送室や校長室などであった教室3部屋分を利用して展示室などにしている。以下の6室がある。
施設外の出土品、施設周辺の史跡・遺跡など稲城市若葉台の出土品などは、市内出土の考古資料であるが東京都教育委員会が管理していることもあり多摩市の東京都埋蔵文化財センターで常設展示している[15]。また、平尾台原遺跡近くの平尾馬場横穴墓群から出土した、古代の有力者の耳飾りである金環などの出土品も、武蔵野市などで保管している。平尾馬場横穴墓群などの写真は歴史展示室1や『文化財ノート』などで見られる。 ふれんど平尾の近くには、杉山神社の御旅所という史跡があるが入場はできない。また、現在の平尾団地の中には、かつて鎌倉幕府滅亡時の幕府将士の供養塚とされる「御座松塚」と松の木があったが、明治時代初期に近くの都県境に移設された。松の木は失われたが、御座松塚は今もフェンスで囲まれて現存している。御座松塚には小田急多摩線栗平駅から徒歩5分ほどで到着する。 平尾は都市化が進んだものの、都内唯一の入定塚である平尾入定塚のほか、平尾十三塚や平尾原経塚などの史跡、縄文・弥生・古墳・奈良時代などの埋蔵文化財包蔵地(各種遺跡)が2021年現在に161箇所あり[16]、古い寺社や地蔵などが、隣接する神奈川県川崎市麻生区と共に多い。平尾入定塚と隣接する平尾十三塚所在地は、川崎市麻生区古沢(旧古沢村)との境にあたる。江戸時代に、平尾村と古沢村・片平村がこの地で境界争いをしたことが、平尾の「馬場家文書」から判る[17]。平尾原経塚は、平尾台原遺跡の遺跡範囲近くにあり、大通りと横道の接点という交通量が多い場所にある。 郷土資料室などで閲覧できる稲城市文化財地図に掲載の「道陸神の石塔」は、現地では「下平尾地蔵堂」と表記され、一般的には「二丁目の地蔵堂」と呼ばれている。御堂(小屋)の中に地蔵があり、周辺には墓地がある。江戸時代に古沢道などと呼ばていた道があり、その道祖神であったらしい。 平尾二丁目には、江戸時代の平尾村名主(村長)の屋敷である「平尾の古民家」(母屋は幕末、土蔵は明治時代初期の建築)がある[18]。古民家は役人などを迎えるための接客用の玄関や平書院、名主だけに許された式台や舞良戸がある[19]。古民家は入場無料で、生涯学習課の職員などが現地にいるので予約なしでも入場可能であり、毎月2回ほど午前中に一般公開し二丁目ている。公開日時は古民家の門近くか、稲城市のホームページを見るとわかる[18]。稲城市のホームページなどでは見当たらないが、古民家は1970年代頃までは茅葺き屋根であった。 平尾団地などの開発のために、稲城市文化財地図にも記載の江戸時代などの地名の「法井田谷」近くに移設された、狐の石像が多くある「稲荷大明神」や、山王社から急坂の天道山に移設された「稲荷神社」がある。これら平尾の古民家や稲荷神社へ行くには、駐車場が無いと言われているが、コインパーキングが地蔵堂やバス停「台原」などの近くにある[20]。 地蔵堂近くの谷戸通りの古民家付近には、平尾谷戸通り南側緑地[21]という竹やぶがあり、その中には珍しい墓や地蔵が多くある平尾谷戸通り谷向の墓所と呼ばれる墓地がある。南側緑地の近くの古沢緑地も、野花などが多くあり東京近郊にしては自然が多い。古沢にも縄文時代の遺跡である古沢都古遺跡[22]や、源義経が立ち寄った九朗明神社[23]がある。 資料室には、平尾入定塚や平尾十三塚・平尾原経塚などについて解説する『文化財ノート』や、平尾の古民家について子供向けに解説した資料もある。また稲城市は、Youtubeで市内の道陸神などについて子供向け動画をアップロードしている[24]。 史跡や遺跡などの問い合わせ先資料室や、古民家・史跡・遺跡などに対する質問などは、ふれんど平尾の受付事務室ではなく、郷土資料室の受付となる。しかしそこに人がいない場合や、資料室に無い資料の購入、歴史・文化についての詳しい問い合わせは、稲城市の生涯学習課となる。事前確認なら電話だけでなくWebフォームでも問い合わせができる。 資料室には、歴史学習などで読める書籍の数は多くはなく、ふれんど平尾の隣の第三文化センター内の図書館に少しあり、インターネットで他の稲城市内(隣接した川崎市も多少対応)の図書館から借りるための予約も出来る。平尾の古民家・入定塚・十三塚・経塚などについてや、『文化財ノート』などについて、詳細を知りたい場合は生涯学習課に問い合わせとなる。ただし遺跡などの詳しい調査・研究は、東京都教育委員会や大学などがしているので、それらに問い合わせる方が早い。縄文遺跡などの場所は大まかではあるが、東京都教育委員会の「東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス[25]」で検索できる。なお稲荷神社は個人で作っていて不明な場合もある。 開館時間郷土歴史資料室の開館時間は午前9時から午後5時であり[26]、ふれんど平尾は午前9時から午後9時までである。休館日は毎週月曜日、および12月29日から翌年1月3日(同日が月曜日である時はその翌日)までである[27]。 交通アクセス
脚注
参考文献
外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia