『爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!』(ばくりゅうせんたいアバレンジャー デラックス アバレサマーはキンキンちゅう)は、2003年8月16日より東映系で公開された日本の映画作品。特撮ヒーロー番組「スーパー戦隊シリーズ」『爆竜戦隊アバレンジャー』の映画化作品である。同時上映は『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』。
概要
スーパー戦隊の劇場版が『劇場版 百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』にて復活して以降、劇場版の監督はテレビシリーズのパイロット版(1、2話)を手がけた監督が担当するのが半ば通例となっているが、本作品ではパイロット版を手がけた小中肇がテレビシリーズ初期において現場から外れたため、代わって諸田敏が劇場版を手がけている[注釈 1]。
キャスティング面においては、スーパー戦隊シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』のアカレンジャー役の誠直也が特別出演し、話題となった。この他、本劇場版のヒロインである王女フリージアには当時グラビアアイドル、女優として活躍していた小向美奈子が起用された。
BGMは羽田健太郎が、担当しているTV版とは別に本作品用に新規で作・編曲したものであり、フルオーケストラで新規録音されている[2]。
作中では初めてレギュラー爆竜10体が1カット内に勢ぞろいするシーンがあり、その際の登場シーンやブラキオのセリフは、同じく東映が手がけた『Gメン'75』の有名なシーンのオマージュとなっている。
時系列的には、『轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊』の「スーパー戦隊住所録」・アスカの項にアヤメガネズミの撃破 - ショホウセンカメレオンの登場の間の8月と記載されている。
2010年11月20日放送の『名探偵コナン』第596話「転落のアリバイ」に、本作品と『555』の劇場公開を示す画像加工されたポスターがビルの壁に張ってあるシーンがある。
あらすじ
少年時代、賢者アクガルから王女フリージアとある二匹の爆竜の話を聞かされたアスカ。
現代、夏休みをビーチで満喫していた凌駕たち。そこへ現れた謎の女性が持つ何かを狙って現れたヘキサノイドハナビキニキビーナスにビキニ姿にされ、笑里はビーナス像にされてしまう。彼らはその女性を救出するが彼女こそが王女フリージアであった。フリージアはエヴォリアンが半年前に二匹の爆竜カスモシールドン、カルノリュータスが封印されている氷山をアナザーアースに送り込んだことを告げる。幸人の車で東京へ向かう彼らだが、再びハナビキニキビーナスが出現。凌駕とフリージアは東京へ、幸人、らんる、アスカはハナビキニキビーナスと交戦。幸人は縮小され、らんるは100人もの人数に増やされてしまう。
そのころ、東京に着いた凌駕らはテレビで二匹の爆竜がタンカーを沈没させ、日本に上陸していることを知る。しかも、フリージアの持つ聖なる剣バクレイザーの吹雪石の刃がテレビ朝日のスタジオにあった。先を急ぐ彼らの前にジャンヌが立ちはだかった。
登場人物
- 伝説の王女フリージア
- 古代のダイノアースに存在した永世中立国サクアスイータの王女で、ダイノアースを滅亡寸前に追いやった凶悪な二匹の爆竜、カルノリュータスとカスモシールドンを命を投げ出して封印した。封印の剣バクレイザーが折られたことにより現代に復活。アバレンジャーと共にバクレイザーの欠片を探すが、その正体はガルヴィディが化けた偽者である。
- 本物のフリージアはバクレイザーから出られなかったが、そこから凌駕たちの戦いを見ており、最後に彼らに感謝の言葉を述べ、バクレイザーと共に消滅する。
- 賢者アクガル
- 15年前、ダイノアースでアスカたちに2匹の青い爆竜の存在を語る。
- ヘキサノイド第1号 ハナビキニキビーナス
- 通常のトリノイドの倍となる、6つの物体、生物の特性を持つヘキサノイド。花火、ビキニ[注釈 2]、ニキビ、ハチ(ビー)、ビーナス、ナスを合わせてミケラに創られる。右手から人間を(男性は上半身のみの)ビキニ姿にさせるハート形の光線・ビキニキビームを放ち、胸からは笑里をビーナス像に変えた針状の光線・ビーナスティンガー、口からは、爆弾・ナスビボンバー、頭のハチの巣から無数のハチを出し、ミニミニ化バチで幸人をミニサイズに縮小し、バラバラ化バチで、らんるを100人に増殖させる。夜には体が光輝く。
- 作中前半でアバレイエロー、ブラックと対決したが、小さくされた幸人(アバレブルー[注釈 3])がイエローのアバレイザーに一体化し、「親指幸人のちっちゃいってことは便利だねボンバー」で弱点である体内に侵入され、アバレイザーの乱射で倒される。トリノイドと異なり巨大化することはなかったが、これに関してミケラは「能力を6つに増やしたのが原因」と推測している。
- 幸人はその瞬間に元の大きさに戻ったが、笑里はエンディングでビーナス像からビキニ姿に戻っている。
- 一匹の蜂が顔に入っており、緑の部分が目で、尻尾から出た針が頭のてっぺんになっている[6]。頭部の周囲はすだれ状に落ちていく花火を表現している[6]。蜂の複眼をパンツに見えるようにしたり、ナスをビキニに見えるように配置している[6]。6つの要素を取り込むため、グラマラスにデザインすることで女性のラインを失われないようにしている[5]。
- 次元の流れ者ガルヴィディ
- ダイノアースとアナザーアースを自由に行き来できる怪人。フリージアに化けてバクレイザーを奪った。右手の甲から伸ばす爪を武器にしており、アバレキラー(壬琴)を相手にしても互角以上の実力を持つ。バクレイザーを手に入れて、2匹の青い爆竜を操ろうと企むが、最終的にキラーアバレンオーによって爆発するバクレンオーから投げ出され、レッドとティラノの合体技・バクレイザーソードデラックスに敗れる。
- 特定のモチーフはなく、氷をイメージしている[9]。クリアーパーツのアーマーで氷の世界を表現している[5]。アーマー部分には透明パーツが用いられ、電飾が入れられている[9]。
- 幻のギガノイド「うっかり者」
- ヴォッファが丹精込めて制作した究極のギガノイド。しかし、完成直前に事件が収拾したため、出番もなく作品の上映は終了してしまう。ヴォッファは「555(同時上映の『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』)に出してやる!」と言っていた。
- 『特撮ニュータイプ』2003年11月号ではデザイン画が掲載されたコラムはデザイン画と併せ「『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』のエラスモテリウムオルフェノクがこのギガノイドなのでは?」というファンからの(冗談交じりの)疑惑の声があったことも紹介されていた。
- 詳細なデザイン画などは雑誌などに掲載されており、『水戸黄門』のうっかり八兵衛をモチーフとしている[9]。
装備・戦力
- バクレイザー
- アバレイザー同様、剣と銃に変形するダイノアースの聖なる剣。1万5千年前、ダイノアースの王女フリージアがこの剣に自らの命を宿し、カルノリュータスとカスモシールドンを封印している。バクレンオーを操ることも可能。
- 必殺技はレッドが爆竜ティラノサウルスの尻尾で弾かれる勢いを利用して攻撃する必殺バクレイザーソード・デラックス。
- 親指幸人のちっちゃいってことは便利だねボンバー
- ハナビキニキビーナスの力でミニサイズにされた幸人が、敵の体内に飛び込んでアバレイザーを乱射して倒す。命名はらんる。名称は『001/7親指トム』の日本語版主題歌の歌詞に因む。
爆竜/戦闘巨人
- キラーアバレンオー
- バクレンオーに対抗するため、アバレンオーとキラーオーが爆竜大合体した強力な戦闘巨人。アバレンオースライドンの背中にトップゲイラーが翼として合体する。この時は、アバレキラーから「好きにしていい」と言われたトップゲイラーがアバレンジャーと共闘した。ブラキオサウルスの背から加速を付けて突撃し、超高速で他の爆竜と合体・分離を繰り返して技を打ち込む爆竜マルチコンバインでバクレンオーに大ダメージを与えた後、爆竜電撃ドリルスピンの3倍の威力を誇るフライングドリルスピンでトドメを刺す[11]。
- 『特捜戦隊デカレンジャーVSアバレンジャー』でも登場したが、こちらはトップゲイラーのみがアバレンオーに合体しており、オオアバレンオー同様3人に加えてアバレブラックとキラーも同乗した。物語終盤同様に、この時は「ときめくぜ」がキメゼリフとなっているようで全員言っている。スーパーデカレンジャーロボのパンチで打ち出された勢いでフライングドリルスピンを繰り出す合体技ガトリングドリルスピンを繰り出した。このトップゲイラーのみがアバレンオーに合体した形態は、玩具では本編未登場の形態アバレンオーゲイラーとされている[11]。
- 爆竜カルノリュータス
- 1万5千年前に世界を氷に閉ざそうとした2匹の青い爆竜のうちの1体。カルノタウルスが超ドリル(リューター)進化した爆竜。口からブリザードを吐く。カスモシールドンと爆竜合体してバクレンオーになる。
- 元々は古代のダイノアースに存在した禁断の地・キユフクでカスモシールドンと共に平和に暮らしており、他の爆竜と同じく心優しい性格だったが、戦乱の世での生き残りを図ったサクアスイータに唆され、キユフクに存在する氷の魔石「吹雪石」を採掘させられた挙句、証拠隠滅のために生き埋めにされたため、凶暴な爆竜に変貌、サクアスイータを滅ぼした後、彼らの心情を察したフリージアに封印されたことが外伝『若草のフリージア』で描かれている。また、吹雪石の魔力で心を凍りつかされたため、言語能力を喪失している。
- 爆竜カスモシールドン
- カルノリュータスと同じ2匹の青い爆竜のうちの1体(ただし、体色は白であった)で、カスモサウルスが超シールド進化した爆竜口からブリザードを吐く。カルノリュータスと爆竜合体してバクレンオーになる。カルノリュータスと同様の経緯で元々の穏やかな性格から凶暴な爆竜に変貌し、言語能力も喪失する。
- デザインは爆竜トリケラトプスをマイナーチェンジしたもので、頭部の形状と体色が異なる[12]。
- バクレンオー
- カルノリュータスとカスモシールドンが爆竜合体した悪の戦闘巨人。出力、スピード共にキラーオーとアバレンオーを上回る。ダブルテイルソードとカスモシールドが武器。胸からブリザードを吐く[11]。アバレンオーのティラノテイルドリルを奪って右腕に装着して攻撃し、爆竜必殺ツインドリル[11]でアバレンオーを破壊寸前にまで追い詰めた。最期はキラーアバレンオーのフライングドリルスピンに腹を貫かれ倒される。
- 後にテレビシリーズ第48話にて再登場を果たす。再登場の際にバクレンオーが2003年の記録的な冷夏の原因だった旨が語られる。この時は劇場版の剣と盾で装備した形態ではなくアバレンオーと同様の形態で登場している。
キャスト
声の出演
スーツアクター
スタッフ
- 原作 - 八手三郎
- プロデューサー - 日笠淳・塚田英明(東映)、中嶋豪(テレビ朝日)、矢田晃一(東映エージエンシー)
- 脚本 - 荒川稔久
- 音楽 - 羽田健太郎
- 撮影 - 菊池亘
- 美術 - 大谷和正
- 照明 - 竹田勝三
- 編集 - 須永弘志
- 監督補 - 中沢祥次郎
- 助監督 - 塩川純平
- 進行主任 - 遠藤聖一
- 整音 - 渡辺典夫
- 記録 - 渋谷康子
- キャラクターデザイン - さとうけいいち
- 視覚効果 - 沖満
- 製作担当 - 岩永恭一郎、谷口正洋
- プロデューサー補 - 土田真通
- 製作協力 - 東映テレビ・プロダクション
- アクション監督 - 竹田道弘(ジャパンアクションエンタープライズ)
- 特撮監督 - 佛田洋
- 監督 - 諸田敏
- 配給 - 東映
音楽
- エンディングテーマ「We are the ONE 〜僕らはひとつ〜」
- 作詞:吉元由美 / 作曲:小杉保夫 / 編曲:京田誠一 / 歌:串田アキラ、森の木児童合唱団
- 前作同様、登場人物が踊るエンディングで、敵味方問わずレギュラーの登場人物が踊っている。そのほかエヴォリアンたちが恐竜やのカレーを食べていたり居座ったりと満足していた。
- 挿入歌「爆竜戦隊アバレンジャー」
- 作詞:吉元由美 / 作曲:岩崎貴文 / 編曲:京田誠一 / 歌:遠藤正明
他媒体展開
映像ソフト化
- 大アバレ!映画大図鑑 爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!(DVD1枚組、2003年8月8日発売)
- 本作品のメイキングDVD。本作品よりメイキングの戦隊DVDが発売されるようになっている。
- 爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!(DVD1枚組、2004年2月21日発売)
- 映像特典
- 製作発表
- 完成披露試写会舞台挨拶
- 公開2日目舞台挨拶
- 劇中楽曲収録風景
- 特報・劇場予告編
- TVスポット集
- 劇場版アバレギャラリー
- アバレ爆竜美術館
- ポスターギャラリー
- 初回限定特典
漫画作品
- 『アバレンジャー 外伝 若草のフリージア』
- 『特撮エース』Vol.001 - 002に掲載された本作品の前日談の外伝的漫画作品(未単行本化)。
ネット配信
脚注
注釈
- ^ 諸田によると監督依頼が急にあったそうで「まさか自分が映画の監督をするとは思わなかった」とインタビューに答えている[要文献特定詳細情報]。
- ^ 公開当時は三角ビキニが流行しており、笑里、アスカ、凌駕のビキニは三角ビキニだった。
- ^ 変身の際には「ミニ竜チェンジ」と言っている。
- ^ a b c d e f g h クレジットでは役名未表記。
出典
- ^ 2003年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ^ 「巻末とじこみ付録 宇宙船 YEAR BOOK 2004」『宇宙船』Vol.112(2004年5月号)、朝日ソノラマ、2004年5月1日、155頁、雑誌コード:01843-05。
- ^ a b c 『爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!』(DVD)東映ビデオ、2004年4月21日。DUTD02306。 映像特典 劇場版アバレギャラリー
- ^ a b c アバレ大図鑑 2005, p. 66, 「The Art of EVOLIAN」
- ^ a b c アバレ大図鑑 2005, p. 67, 「The Art of EVOLIAN」
- ^ a b c d 学研の図鑑 2021, p. 137, 「アバレンジャーとともに戦う爆竜と戦闘巨人」
- ^ a b アバレ大図鑑 2005, p. 61, 「The Art of ABARANGER」
- ^ a b アバレ大図鑑 2005, p. 57, 「特撮監督 佛田洋」
- ^ a b “福沢博文”. 株式会社レッド・エンタテインメント・デリヴァー. 2011年4月27日閲覧。
- ^ a b 東映ヒーローMAX Vol.5 2003, p. 30
- ^ “アバレンジャー・インタビュー「第6回 田中幸太朗(『爆竜戦隊アバレンジャー』仲代壬琴役)」”. 東映ヒーローネット. 2011年5月3日閲覧。
参考文献
外部リンク
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第3作 -第15作 |
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