火の山―山猿記
『火の山―山猿記』(ひのやま やまざるき)は、津島佑子の小説。講談社の文芸誌『群像』1996年(平成8年)8月号から翌1997年(平成9年)8月号に連載、1998年(平成10年)6月1日に講談社より上下巻で刊行。津島佑子の母方の祖父・石原初太郎は山梨県甲府市に住み、県嘱託として山梨の地質や動植物調査に携わった地質学者で、この石原家をモデルに、「火の山」こと富士山に寄り添い激動の時代を過ごした有森家5代の歴史を、一族の書簡や日記を織り交ぜる形で構成している。第34回谷崎潤一郎賞、第51回野間文芸賞受賞作。 2006年(平成18年)に、本作を原案にしたNHK連続テレビ小説『純情きらり』が放送された[1]。 あらすじ
パトリス・勇平のもとに、祖父有森勇太郎の書いたものがとどく。それには有森一族の歴史が書かれていた。 1868年、甲州南原村の有森小太郎は数え17歳で、サエと結婚した。二人のあいだには源一郎、エイらが生まれ、源一郎は成長して東京の帝国大学に入学する。 その後、源一郎は鉱物の研究家になり、結婚して照子・駒子・小太郎・笛子・杏子・桜子・勇太郎らが誕生する。 桜子は音楽家になることをめざしていたが、1931年に源一郎が急死するなどあって、あきらめる。 さらに1933年には小太郎と駒子が相次いで亡くなる。 その後、桜子は笛子の紹介で東京赤羽に住む松井と婚約し、また笛子は貧しい画家杉冬吾と結婚する。 やがて大東亜戦争がはじまり、甲府の有森家は空襲で炎上。桜子らは照子をたよって赤羽に、また笛子は杉冬吾の実家のある青森県へうつる。 終戦後、杏子は反対されながらも金融業者の鈴村と結婚。 そんななか、杉冬吾は、他人の妻と心中して死んでしまう。 登場人物
書誌情報
テレビドラマ『純情きらり』(じゅんじょうきらり)と題し本書を原案としてテレビドラマ化され、2006年(平成18年)度前期放送のNHK「連続テレビ小説」第74作として同年4月3日から9月30日まで放送された。浅野妙子脚本、宮﨑あおい主演[1]。 →詳細は「純情きらり」を参照
脚注
外部リンク
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