瀬山詠子
瀬山 詠子(せやま えいこ、1930年(昭和5年)[1] - )は、日本の声楽家(ソプラノ)。音楽教育者。東京藝術大学名誉教授。二期会会員。 経歴歌手として東京藝術大学卒業。畑中良輔、畑中更予に師事。1956年(昭和31年)モーツァルト『フィガロの結婚』ケルビーノでデビュー。1959年(昭和34年)に第1回のリサイタルを開いたのをはじめ、リサイタルを数多く開催。オペラではヒンデミット『ロング・クリスマスディナー』ルーシィ、『フィガロの結婚』伯爵夫人、カール・オルフ『賢い女』などに出演。出演歴は昭和音楽大学オペラ情報センターの記録だけで29件存在する[2]。 また、オペラだけでなく、リートや日本歌曲の普及には先達とも言えるソプラノ[3]で、なかでも現代音楽の演奏に優れ、三善晃、石桁真礼生、池内友次郎作品など、現代日本歌曲の分野で不可欠な存在となっている[4]。 1975年度(昭和50年度)文化庁芸術祭において、石桁眞禮生の歌曲による「瀬山詠子・中村義春ジョイント・リサイタル」の成果に対し優秀賞を受賞した[5]。 1991年(平成3年)『瀬山詠子+三善晃』リサイタルおよび1994年(平成6年)8月に開催された三善晃作品集リサイタル『超える影に[6]』(1991年は初演)は、作曲者自身の伴奏とともに名演奏として名高く[7]、1994年の演奏はCD化もされている。また、1997年の東京藝術大学退官記念リサイタル、2003年(平成15年)6月の二夜にわたる石桁歌曲リサイタルでは各方面より絶賛を得た。2010年(平成22年)には、東京藝術大学奏楽堂において満80歳のおり『傘寿を記念して』のタイトルでリサイタルを開き、現在に至る。 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の定期演奏会ではソリストとして8回にわたり登場している。 音楽教育者として瀬山の門下生による「詠の会」が組織されており、2015年(平成27年)1月14日には第24回演奏会『三善晃 歌曲の夕べ 追悼特別演奏会』が開催されている[8]。出演者は三宮美穂、紙谷弘子、小畑朱実、斎藤三和子、濱田千枝子[8]、星野直子[9]。また、彌勒忠史[10]、崔宗宝[11]、田代和久[12]、乗松恵美[13]、藤澤幸義子[14]、戸山志津江[15]、西口則子[16]、鳥養和歌子[17]、も瀬山の教えを受けている。瀬山は藝大教授当時「日本歌曲を正しく歌える人が少ないことを憂い、本当に勉強したい人に分け隔てなく、自分の培ったものを全て伝えていきたい[18]」と藝大大学院において「日本歌曲ゼミナール」を始めた。 東京藝術大学を定年退官後30年を迎える2020年現在においても、「日本歌曲ゼミナール」を継続して開催している[19]。レッスンは非常に厳しく、自作品のレッスンを聴講した木下牧子は「私が受けたら泣いてしまいそう」と記している[20]。また、大分県立芸術文化短期大学での声楽公開レッスン[4]や、東京二期会「日本歌曲研究会」講師[21]、国立音楽大学における声楽公開レッスン[22]、さらには2020年(令和2年)11月-12月には文化庁委託事業「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」として、日本歌曲の公開マスタークラス講師を務める[3]など、声楽界の重鎮として、後進の育成に第一線で活躍中である。 受賞(受章)歴
楽界活動
主なディスコグラフィーソロの歌唱の主なものを挙げる。以下の他にも参加している音源が多数存在する[1][28][29]。
エピソード恩師畑中良輔がつけたニックネームは「トルコ」。畑中逝去後の「お別れの会」において、瀬山は門下生代表として「感謝の言葉」を述べたが、その冒頭は「先生、トルコでございます」という呼び掛けであった。 出典
脚注
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