深海サウンドチャネル深海サウンドチャネル(英語: deep sound channel, DSC)は、サウンドチャネル[注 1]のうち、音速が極小となる深度が水温躍層と深海等温層の境界によって形成されているもの。SOFARチャネル(英: SOFAR channel)とも称される[1][2]。 音速プロファイル海中での音速に影響を与える物理特性は、気泡や微生物といった混入物を除けば、海水温・塩濃度・水圧という3つの基本量のみとされている。これを利用して、海中での音速は、深度を変数とする関数として定義でき、この音速-深度関数を音速プロファイルと称する。音速プロファイルは、下記のように、それぞれ異なる特性と成因をもついくつかの層に分けられる[3]。
深海サウンドチャネル上記のように、音速勾配(sound speed gradient)は主水温躍層では負の勾配、深海等温層では正の勾配をとることから、この境界で、音速が最小となる深度が存在する[3]。中緯度海域では深度4,000フィート (1,200 m)、北極海では海面付近に認められる。この音速極小点は、音線(音の伝播経路)に対して一種のレンズのように働くため、この層のなかで放射されたエネルギーはチャネル内に留まり、海面や海底への反射による音響的損失を生じにくい。これを深海サウンドチャネルと称する。中程度の音響出力であっても、非常に長距離まで伝搬することができるという特性がある[1]。 アメリカ海軍では、1940年代より海洋における音波伝搬の研究に着手し、音源の探知や位置極限に関する実験が行われた。深海サウンドチャネルは、この際にモーリス・ユーイング博士たちによって発見された。これを活用して、まず配備されたのがSOFAR(Sound Fixing and Ranging)システムであった。これは洋上で墜落した飛行士の捜索救難のためのシステムであり、着水した飛行士が爆発させた小さな爆弾 (Sofar bomb) の音をハイドロフォンで捉えて、三角測量によって飛行士を発見するというものであった[1]。そしてまもなく、このシステムは対潜戦に応用されるようになり、最終的にSOSUSとして結実することになる[4]。 脚注注釈出典参考文献
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