河豚鍋河豚鍋(ふぐなべ)は、古典落語の演目の一つ。河豚汁(ふぐじる)とも。 概要原話は十返舎一九の笑話集『落咄臍くり金(おとしばなしへそくりきん)』の「鰒汁(ふくとじる または ふぐじる)」。この原話を上方の2代目林家染丸がアレンジしたとされる[1]。現在は東西で広く演じられる。 主な演者に、上方では3代目林家染丸、初代森乃福郎、4代目林家小染、6代目笑福亭松喬、桂吉朝が、東京では2代目桂小南が知られる。 あらすじ演者はまず、フグが一般に簡単に手に入り、かつふぐ調理師の免許制度がなかった昔には、フグの毒による死亡事故が後を絶たなかった、ということを説明する(松尾芭蕉の句「あら何ともなや きのふは過て ふくと汁」を引用するなど)。 ある男の家に、出入りの幇間が久々にたずねて来る。男の家ではちょうど酒と酒肴の支度をしていたので、男は幇間に飲み食いしていくよう座敷に誘う。「あんた、鍋は食べるか?」「あいにく歯があまり丈夫ではないので……」 酒肴はもちろん鍋そのものではなく、鍋料理であった。白菜、シイタケ、豆腐などの具材の間から、白身の魚が見える。男は「思いがけず、フグが手に入ったのだ」と言う。ふたりはフグを食べた経験がなく、中毒が怖いので、お互いにゆずり合うばかりで一向に箸をつけようとしない。 ふたりが鍋を前に途方にくれていると、男の妻が座敷に入ってくる。「おこもさん(=乞食)が『お余り(=残飯)を恵んでください』と言ってなかなか帰らないのです」それを聞いた男は「それなら、このフグをそいつに食べさせて、そいつの様子を見て何も起こらなければ、われわれもこの鍋をいただくとしよう」と幇間に提案し、出て行った乞食を幇間に尾行させる。 幇間は、男の家に戻って「座り込んで気持ちよさそうに眠っていたので(あるいはそれに加えて「目をこらすと食器が空だったので」)、食べてしまったのではないかと思う」と男に報告する。それでもふたりの不安はぬぐえず、ふたたびゆずり合いを始めるが、男が「こうしていても仕方ないので、『1、2の3』で一斉に口に入れよう」と提案する。ふたりがそのようにして食べてみると美味なので、そろって驚く。喜んだふたりはそれまでの恐怖を忘れて、鍋を平らげる。 そこへ先の乞食が、今度は座敷の庭先に現れ、男に「先ほどのものは、すべてお召し上がりになりましたでしょうか?」と問う。男は「味をしめたな。残念だがこの通り、すべて食べてしまったよ」 「そうですか。それならわたしは、これからゆっくりいただきます」 バリエーション
関連項目
脚注 |
Portal di Ensiklopedia Dunia