水深ゼロメートルから
『水深ゼロメートルから』(すいしんゼロメートルから)は、執筆当時、徳島市立高等学校の生徒で演劇部所属の中田夢花による高校演劇の戯曲[1][2]。2019年に開催された第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した[1][注 1]。 夏休みに、さまざまな事情で学校の水のない空っぽのプールに集まった女子高校生4人と女性体育教師の会話劇が描かれる。 2021年11月に「アルプススタンドのはしの方」(2019年)に続く高校演劇リブート企画の第2弾として、東京・下北沢の「劇」小劇場にて上演された[4][5]。 舞台版からメインキャスト3人が引き続いての出演で映画化され、2024年5月3日に公開された[1]。 あらすじ高校2年の夏休み、阿波踊りの練習を見られたくない女子・ミクとメイクをしていないと落ち着けない同級生のココロは体育教師の山本から水泳の授業の特別補習として、プールの掃除を指示される。故障中で水の入っていない空っぽのプールの底には、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。この砂を全部掃くように言われた2人は仕方なく砂を掃き始める。 同級生で水泳部のチヅルは水泳の練習などと言って、空っぽのプールになぜかいる。そこに、引退した水泳部の元部長で3年の先輩ユイがやって来て、山本から手伝いを頼まれたと言って掃除に合流する。ユイからほうきを受け取ったチヅルも掃除に合流し、4人で砂を掃いていくが、野球部が練習中なので砂はどんどん積もっていく。 掃除に対する不満もあってか、4人は次々とたわいもない話を繰り広げていく。見た目や可愛らしさへの悩み、自分らしくありたいためのメイク、生理の憂鬱、女性と男性の性差や体力差など、それぞれが抱える思いが浮き彫りになっていく。 そんな時、野球部の2年のエース・楠の打ったボールがプールに飛び込んでくる。チズルは一旦は投げ返そうとするが、楠に対して屈折した感情を持つチヅルは、そのまま隠してしまい、チヅルに頼まれたミクやココロも一緒になってごまかしてしまう。 ユイはチヅルにボールを返すように言うが、反発されてしまう。チズルは水泳のテストで楠にタイム負けしてから水泳部を辞めるなどと言い出しているが、ユイは頑張ってきたチヅルにそんな理由で辞めてほしくないと思っている。 ミクは小さい頃みたいに、阿波踊りで男踊りを普通に踊りたいと思い、自分を理由に諦めたくない。ココロはメイクして可愛くなって、それでやっと男と戦えるなどと言い出すが、ミクは「私たちは私たちのままでも、戦える」とココロの手を掴んで言う。 そんな中、チヅルがグラウンドの楠に向かって、大声で名前を叫んで思い切りボールを投げる。ボールは何度かバウンドして楠の近くに転がっていく。チヅルの負けたくないという思いにココロやミクの思いが交差していく。 登場人物
舞台2021年11月3日から7日まで、東京・下北沢の「劇」小劇場にて上演された[4][5]。大学生になった中田夢花自身が脚色も担当し、演出・美術は、「虚構の劇団」メンバーで、「EPOCH MAN」主宰の小沢道成が手掛ける[2]。出演者は、オーディションで選ばれた女子高生役4名に加え、彼女たちの教師役は椙山さと美が演じている[2]。 キャスト(舞台)スタッフ(舞台)映画
この戯曲を原作として、2024年5月3日に公開された日本映画[6][1]。監督は山下敦弘、メインキャストは、舞台版から引き続いての出演となる濵尾咲綺、仲吉玲亜、花岡すみれと映画版からの出演となる清田みくり[1]。 劇場公開に先立って、第19回大阪アジアン映画祭コンペティション部門に出品され、同年3月4日および7日にプレミア上映がされた[7]。 キャスト(映画)
スタッフ(映画)
脚注注釈
出典
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia