水の森公園
水の森公園(みずのもりこうえん)は、宮城県仙台市青葉区と泉区にまたがってある公園。七北田川の支流に造られた丸田沢堤・三共堤の2つの池沼、および、それらを囲む森林がほとんどを占めるが、公園の各入口付近に温水プールやキャンプ場などのレクリエーション施設もある。 概要七北田丘陵北部にあり、七北田川水系高柳川を堰きとめて造られた丸田沢堤(丸田沢西堤)、および、同鳥滝川を堰きとめて造られた三共堤(丸田沢東堤)の2つの農業用ため池と、周囲の国有林「仙台自然休養林・三共地区(水の森)」とによって園内の多くが占められる(標高は最も高いところで80m強、最も低い所で30m程度)。他に、園内北部に「水の森公園キャンプ場」、南部に「水の森市民センター」「水の森児童館」「TAC水の森ウォーターパーク(水の森温水プール)」「水の森コミュニティ防災センター」の一体型施設がある。 台原森林公園(面積:約60ha)と同様、周りを市街地に囲まれた孤立性の風致公園になっているが、同園が地下鉄南北線の台原駅および旭ヶ丘駅の両駅に隣接し、さらに日立システムズホール仙台・スリーエム仙台市科学館・仙台文学館といった市の広域集客施設に隣接していて多くの利用者を集めているのに対し、当園は市内の風致公園(10箇所)の中で最大の103.1haの面積を持ち、10箇所の合計面積208.9376ha[2]の約半分を占めながもアクセスが自家用車やバスに限られており、園内施設も大規模集客施設ではない温水プールやキャンプ場などであるため、台原森林公園と比べて利用者は少なく、静かな環境となっている。 当園ではウォーキングやバードウォッチング等以外の特徴的な利用として、水の森入口から徒歩圏の仙台フィンランド健康福祉センターに日本ノルディックフィットネス協会の本部がある[3]ため、当園でノルディックウォーキングの普及活動がなされたり[4]、丸田沢堤の北岸に堤焼(1982年12月1日「宮城県知事指定伝統的工芸品」指定[5]、2016年4月25日「日本遺産」認定[6][7])の唯一の窯元があるため、キャンプ場管理棟で堤焼教室が開催されたり[8]、例年7月上旬に「水の森ほたるの会」主催によりキャンプ場の自然水路で「ほたる祭り」が開催されたりしている[9][10]。 仙台市都市公園条例では、公園内で鳥獣魚類を捕獲・殺傷することを禁止している[11]ため、当園でも狩猟や釣りは禁止である。一方、同条例では公園内でのたき火・花火等を禁止している[11]が、キャンプ場では指定された場所でのキャンプファイヤーや火気の使用が認められており、芋煮会やバーベキューでの利用者も見られる。なお1965年(昭和40年)頃まで[12]、園内の池沼では地元民により、釣り客向けの貸しボート営業がなされていたが、周辺の宅地開発に伴って水質が悪化し、鰍が棲息しなくなったため数年で廃業した[13]。 なお、当公園内の「水の森温水プール」については、施設命名権の導入により株式会社東京アスレティッククラブが年額100万円の3年契約を結び、2020年4月1日より「TAC水の森ウォーターパーク」の愛称が優先的に用いられる呼称となっている[14]。 施設等センターゾーン北端の「上谷刈入口」に隣接し、駐車場(無料103台)、駐輪場、芝生に覆われた多目的広場、水の森公園キャンプ場、丸田沢堤と三共堤がある。 水の森公園キャンプ場仙台市泉区上谷刈字堤下8にある。冬季閉鎖期間がある。「上谷刈青少年キャンプ場」として開設され、再整備によって現称に改称された。
堤以下の2つの堤体がある。これらの名称はため池の名称としても使用されている。いずれも七北田川水系。
散策路等
水の森市民センター南端の「水の森入口」に隣接する仙台市青葉区水の森四丁目1番1号(1978年7月3日の住居表示実施前は、仙台市荒巻字川平62番320号[16])にある。園内の看板では「水の森市民センター」とのみ案内されているが、以下の4つの一体型施設である。
これら施設の敷地には、1965年(昭和40年)に東北水交設備(株)が開設した「荒巻娯楽センター」があり、屋内アイススケート場(国際規格)、スナックスタンド、ボウリング場(10レーン)、屋外プール(25mプールおよび子供用プール)、ゴルフ場(規模不明)、レストハウス(和洋中のレストラン)を備えた。 これを1974年(昭和49年)に仙台市が買収し、屋内アイススケート場(スナックと貸しロッカー併設)、プール、レストハウス(レストラン)、駐車場で構成される施設に変えた。同年12月29日に市営スケート場は開業し、「荒巻スケートセンター」「水の森スケートセンター」「水の森スケート場」等と呼ばれた。リンクサイズは57m×26m。例年10月から4月まで開業していたが、1984年(昭和59年)3月31日に閉鎖された。また、市営プールは「水の森プール」と呼ばれた。25m(6コース)の競泳用プールと、15m(変形)幼児用プールがあった。例年7月上旬から8月下旬まで開業していたが、市営スケート場が閉鎖された同じ年の8月31日を以って閉鎖された。跡地には1990年(平成2年)9月4日、上記施設が開館した。 歴史東北森林管理局仙台森林管理署が管理している国有林のうち仙台市内5地区が1971年(昭和46年)3月22日、林野庁により「仙台自然休養林」に指定された[18][19]。その5地区のうちの1つが「三共地区」(愛称:水の森、面積:45.97ha)であり[18][19]、同年より一般開放された[1]。これが後に当園の基礎となった。なお、「三共地区」は当時、その北部が泉市内、南部が仙台市内だった。 仙台自然休養林「三共地区」(愛称:水の森)周辺の市街地開発
仙台自然休養林「三共地区」(愛称:水の森)の周辺では、高度経済成長期から住宅地開発が急速に進み、指定後も大規模な開発があったため、孤立性の風致公園になっていった。
仙台自然休養林「三共地区」(水の森)の南側に1965年(昭和40年)に開設されていた民間の「荒巻娯楽センター」を1974年(昭和49年)に市が買収し、「荒巻スケートセンター」(後の「水の森スケートセンター」)と「水の森プール」を開場。1977年(昭和52年)には、北部の泉市内に「上谷刈青少年キャンプ場」(丸田沢キャンプ場)が開場した。 1980年(昭和55年)には「水の森公園」(約49ha)が都市計画決定されて整備事業が始まった(1990年度まで)。1980年代には、「上谷刈青少年キャンプ場」への接続道路脇(現在は上谷刈入口の駐車場の一部に転用)にテニスコート(ハードコート)2面が整備された(北緯38度18分32.5秒 東経140度51分43.8秒 / 北緯38.309028度 東経140.862167度)。 1983年(昭和58年)に閉場した「水の森スケートセンター」の跡地において、「水の森市民センター」「水の森児童館」「水の森温水プール」の3つの機能が併設された施設が1990年(平成2年)に開館した。 一方、バブル景気に入り、1987年(昭和62年)のリゾート法施行、1988年(昭和63年)の泉市の仙台市編入、1989年(平成元年)の仙台市の政令指定都市移行という経済背景の変化の中、仙台市都心部から近く、新規開通した仙台北環状線でアクセスが容易になったにもかかわらず、湖畔の豊かな環境が残る当園北側隣接の丸田沢堤周辺(旧・泉市内)において、民有地の不動産取引が活発になった[21]。宮城県の自然環境保全条例で同地が指定されている[22]とはいえ、開発を完全に禁止出来るものではないため、丸田沢堤周辺(約67ha)を当園に編入して自然環境を保全しようと1990年(平成2年)6月、仙台市の三役[注 3]が意思決定した[21]。同年9月、国が「平成記念子供のもり公園」事業を始めることが分かり、既存の当園に丸田沢堤周辺を含めた地区をもって翌1991年(平成3年)に応募した結果[21]、当園は「平成記念子供のもり公園」に指定され[21][23]、当園の面積も103.1haに拡大した。 2003年(平成15年)には、キャンプ場が再整備された[23]。 経済産業省の2004年度「健康サービス産業創出支援事業」に仙台ウェルネス・コンソーシアム(仙台市・東北福祉大学・東北電力などによる産学官共同事業体)の『「フィンランド型」予防福祉・健康増進プラットホームの構築』が採択された[24]のを機に、仙台フィンランド健康福祉センターに近い「水の森市民センター」および当園にてノルディック・ウォーキング (NW) 体験会やNWインストラクター養成講座などが集中的に開催されるようになり、仙台市内を初め、全国にNWが広まった[25]。 なお、当園の山林は学校林としても活用されてきた(例えば、仙台市立上杉山中学校が1950年から2019年まで2.625ha分を契約しており、樹木伐採による収益は二官八民で分配する)[26]。 年表
アクセス
指定等
脚注脚注
出典
関連項目外部リンク
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