曲面のリーマン・ロッホの定理曲面のリーマン・ロッホの定理(Riemann–Roch theorem for surfaces)は代数曲面上の線形系の次元を記述する定理である。曲面のリーマン・ロッホの定理の古典的な形は、最初、Castelnuovo (1896, 1897)により与えられ、またNoether (1886) や Enriques (1894)にも見られる。層の理論のバージョンは、ヒルツェブルフによる。 定理の主張X を非特異射影曲面とし、D を X 上の因子、K を X の標準因子とする。このとき D に対応する直線束を O(D) とし、それを係数にもつコホモロジーのオイラー数を χ(O(D)) とすると、 がなり立つというのが定理である。ここでドット . は交叉数(交点数ともいう)とし、定数 χ(0) は自明バンドルの正則オイラー標数であり pa を曲面の算術種数とすると これは 1 + pa に等しい。比較のため、曲線のリーマン・ロッホの定理は、 χ(D) = χ(0) + deg(D)と言っている。必要であれば、セール双対性を使い h2(O(D)) を h0(O(K − D)) として表すことができるが、曲線の場合と異なり、一般には h1(O(D)) の項を層コホモロジーを含まない形に書くことは簡単ではない(実際は、よく 0 となる)。 ネターの公式ネターの公式(Noether formula)は、 である。ここで ci はそれぞれ X の接束のチャーン類である。これによりリーマン・ロッホの定理の中の項 χ(O) を位相的な不変量に置き換えることができる。ネターの公式およびリーマン・ロッホの定理はヒルツェブルフ・リーマン・ロッホの定理の特別な場合である。これについて詳しくはヒルツェブルフ・リーマン・ロッホの定理のページを参照せよ。 古典的定式化初期の時点においては層係数の 1 次コホモロジー群を幾何学に記述できなかったため、曲面のリーマン・ロッホの定理は不等式で記述された。典型的な例は、Zariski (1995, p. 78)であたえられ、そこでは次のように記載されている。 ここに、
この不等式の両辺の間の差は、因子 D の過剰度(superabundance) s と言う。この不等式をリーマン・ロッホの定理の層の理論のバージョンと比較して、D の過剰度は s = dim H1(O(D)) で与えられる。因子 D は i = s = 0 (言い換えると O(D) すべての高次コホモロジー群がゼロとなる)のとき正規、s > 0 のときsuperabundantであるという。 参考文献
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