時間超人時間超人(じかんちょうじん)は、ゆでたまごの漫画『キン肉マンII世』および『キン肉マン』に登場する架空の勢力。 概要『キン肉マンII世 究極の超人タッグ編』で初登場。常人をはるかに超えた能力を持つ超人のうちの一種で、正義超人・残虐超人・悪魔超人・完璧超人に次ぐ第五の勢力。残虐超人の変種とされる[注 1]。頭部に魔時角(まじかく)と呼ばれる時計の長針に似た角が生えており、それを折ることで生涯に一度のみタイムスリップできる能力を持つ。全員に身体や服装に独特の紋様が入るデザイン上の共通点があり、魔時角は個人によって生える位置が異なる[注 2]。作中では「フランスの軍神」と呼ばれる歴史上の人物も、時間超人の遠い祖先だと語られており、常に被っている三角帽子も頭の魔時角を隠すためだったという[1]。 究極の超人タッグ編ではタイムスリップが重要な要素となるため、それに絡ませるために設定されたキャラクターだと作者ゆでたまごは語っている[2]。 『キン肉マン』では、刻の神が生み出した特殊な力を持った超人を、他の神々が生み出した超人たちとは差別化して独自の呼称で呼ばれたのが時間超人であることが判明する。オメガ・ケンタウリの六鎗客編の後の新シリーズで、バベルの塔でのリアル・ディールズと超神たちの試合が全て終了した後に、ザ・マンと調和の神こと超神ザ・ワンの口から、調和の神たち十二体の超神に先駆けて地上に下天した刻の神が、かつて慈悲の神が希望を持って発明し後に調和の神によって封印された禁術「神による超人製造術」を復活させて、地上でドミネーターとエル・カイトを始めとする時間超人を次々と生み出し続け宇宙のバランスを崩壊させる事で、地上を含めた宇宙を崩壊させようとしていることが語られた。 更に、エグゾセミサイルズがエル・ドミノスに勝利した後、様子を窺っていた五大刻のファナティックとエクサベーターとパピヨンマンとペシミマンとエンデマンが正体を現して、五大刻が神々と同じ1億パワーを保有していることが判明する。 正義・時間超人
経歴残虐超人であるものの正義の心を持つ、ホーラ・アヴェニールを始祖とする。その後も次々と魔時角を持つ一族が生まれ続けたため、時間移動能力の悪用を恐れたホーラは彼らに「正義・時間超人」と名乗るよう命じ、同時に魔時角の使用を厳禁した。さらにはるか辺境の惑星に移住しアヴェニール王国を建設、ひっそりと暮らしはじめる。そしてアヴェニール王国は次第に栄え、250年に渉って平和に暮らしていたが、魔時角の悪用を企む「悪行・時間超人」ライトニングとサンダーによりアヴェニール一族は滅亡、生き残ったのは逃げ延びたカオスひとりとなった。 アヴェニール王国を壊滅させた後、ライトニングとサンダーはキン肉マンら伝説正義超人を滅亡させるため、魔時角を折って1983年5月1日の宇宙超人タッグ・トーナメント決勝戦終了直後へタイムスリップする。カオスは2人の狙いを阻止するため自分も魔時角を折り後を追うが、当時未熟な子供であったため制御ができず、目的の時代より7年前にたどり着いてしまい、記憶も無くす。その後、成長し記憶を取り戻したカオスは、ライトニングとサンダーと遭遇した。 悪行・時間超人ライトニングとサンダーの2人。全宇宙を支配し21世紀の世界を悪行超人の楽園にしようと企み、伝説超人殲滅と完全無比の球根(コンプリート・バルブ)を狙って1983年の宇宙超人タッグ・トーナメント終了直後にタイムスリップ。ケビンマスクの肉体消滅と、究極の超人タッグ戦開催の元凶となる。 タッグチーム名は「世界五大厄」(ファイブ・ディザスターズ)[注 3]。互いを「兄弟」と呼び合うなどチームワークも高く、数々のツープラトン技を披露。長年チームを組んでいると語っており、悪行超人界では数々のタイトルホルダーと噂されている[3]。2人とも自分の利害のためにチームを組んだだけで、友情や絆などは存在しないと豪語していたが、心の奥底ではパートナーして信頼し合っていた。 全力を出す際はエヴォリューションマウスピースと呼ばれるマウスピースを装着。それを噛み締めることによりパワーの増大と共に、体内に蓄積させたエキゾチック物質を使用し、肉体の周りの時間軸をコンマ1秒程ずらし未来へと移動する加速能力(アクセレレイション[注 4])を発動する。その能力により身体を液状化させ、目に見えぬ速さで攻撃を繰り出したり、相手の技から脱出することが可能。これは時間超人に備わる特殊能力であるため、カオスも使用できる。 また奥の手として、エヴォリューションマウスピースを逆さに咥えるエヴォリューションマウスピースリバースにより、自分の肉体を前の時間に逆戻りさせ万全の状態へと戻す、肉体時計逆回転(ボディクロックバックスピン)がある。これは肉体への負担がきわめて強く、サンダー曰く「加速減速はたやすいが、時間を逆流させるのは神業にも等しい難作業」だという。決勝戦終了後には肉体時計逆回転の使いすぎで瀕死の状態となり、ライトニングは「神の定めた摂理に逆らった者への罰」と自嘲した。 経歴ライトニング&サンダーともにアヴェニール王国に生まれる。本来は悪行超人の属性であるにもかかわらず正義超人として生き、魔時角の悪用を禁じる一族に反発。1500人にもおよぶ国民を3時間で惨殺し、さらには国王であるミニッツ・アヴェニールも殺害、自らの故郷を壊滅させた。 その後、姿を変え地球の新世代超人たちに現れ、伝説超人抹殺を宣告。魔時角を折り[注 5]34年前の宇宙超人タッグ・トーナメント直後にタイムスリップする。そこでロビンマスクを殺害するものの、ケビンマスク消滅の危機に時間超人を追い過去にやって来た新世代超人によりさらに歴史が変えられ、ロビンに代わりその妻アリサに重傷を負わせる。時間超人・新世代超人が20世紀にやって来たことにより、超人タッグ界は再び混沌状態に入り、究極の超人タッグ戦開催のきっかけとなった。 究極の超人タッグ戦前夜には出場希望チームを「枯れ木の間引き」と称し襲撃。トレーニング代わりに20組以上のチームを血祭りに上げる。翌日のタッグ戦開催時には、新世代超人の時空船から盗み取ったケビンマスク入りクリアベッドを抱え入場。出場チーム選定間引きマッチではケビンを利用し新世代超人の結束を分断、ロビンマスクの動揺を誘いピンチに陥らせる。さらにはイリュージョンズ(マスターシャッフル、字・アルファベット)を間引き、火の玉・飛爺隊(イリューヒン、バリアフリーマン)を圧倒し、その強さを見せ付けた。 決勝トーナメントではシード権を獲得したにもかかわらずリザーブマッチにあえて立候補し、戦いを挑んできたザ・テガタナーズ(ブロッケンJr.、ジェロニモ)と対決する。試合ではジェロニモのアパッチの断末魔により“伝説”破壊鐘を粉砕されるものの、エヴォリューションマウスピースで加速能力を使用し有利に進める。さらには死時計の刻印でブロッケンJr.の心臓以上の急所、右腕を切断し勝利する。 決勝トーナメント二回戦、ジ・アドレナリンズ(テリー・ザ・キッド、ロビンマスク)戦ではロビンが苦手意識をもつ「シノバズ・ポンド・デスマッチ」を提案、さらにケビンのクリアベッドをリングの真上に吊るしたことにより、相手は思い切った技が出せず有利な展開となる。その後はケビンのマスクを付けたロビンの猛攻により一時期押されるものの、本来の姿を見せたライトニングと、サンダーの猛攻により逆転。全ての超人たちに「時間は絶対的な存在であり、その時間を操れる自分たちこそ宇宙最強の超人である」と高々に宣言。試合が終わって見れば僅か10分強での圧勝であった。 準決勝前には魔界の領袖・大魔王サタンを利用し、キン肉マンに「黒後家蜘蛛(ブラック ウィドーズ)」を取り付かせ呪いをかける。準決勝では綱引きの儀により新星・ヘル・イクスパンションズ(ネプチューンマン、マンモスマン)との対戦が決定。「地上最凶最悪超人タッグ決定戦」と銘うたれたこの試合には、ネプチューンマンが宇宙超人タッグで敗れたソードデスマッチを提案し、採用される。序盤はネプチューンマンの左腕を攻め立て、さらにはオプティカル・ファイバー・クロスボンバーの弱点を察知し破るものの、覚醒したマンモスマンにより加速能力を一時的に封じられた上、猛攻を受け圧倒される。しかしチームワークを活かした連携で徐々に形勢逆転し、さらにはシックス・ディザスターにより富士山を噴火させた攻撃でマンモスマンからダウンを奪う。だが富士山を噴火した状態に戻したため、キン肉マンが封印したマグネットパワーが復活、ネプチューンマンの反撃を受け再び逆転される。だが、直後に新星・ヘル・イクスパンションズが仲違いを起こし、マンモスマンが戦線離脱。2対1となった状況下でネプチューンマンをなぶるように攻撃を加えた末勝利し、最凶最悪超人の称号を手にした。 三本勝負となる決勝戦では、対戦相手の万太郎が準決勝終了後にパートナーのカオスが息を引き取ったことを明かし、ひとりマッスルブラザーズ・ヌーボーとして戦うことを宣言。これが委員会に認められ、2対1のハンデキャップマッチになるかと思われたが、試合開始直前にキン肉マングレートのマスクを被った謎の男キン肉マングレートIIIが乱入する。グレートIIIがカオスではないと見抜いたライトニングは、時間超人に伝わる二択問題を仕掛けることで、正体がケビンマスクだと暴いた。これにより決勝戦はザ・坊ちゃんズ(キン肉万太郎、ケビンマスク)との闘いとなる。仲間割れで衝突するザ・坊ちゃんズに対し、有利な展開で試合を進め、グロッキー状態となった万太郎に死時計の刻印を仕掛ける。ギリギリでのケビンのカットにより、万太郎の心臓を貫くことはできなかったが、左胸に重傷を負わせ、テンカウントゴングにより一本目を先取した。 二本目開始早々、ザ・坊ちゃんズの“ひっつき虫作戦”により加速能力が封じられるものの、万太郎の左胸のダメージにより形勢は有利に進む。何度も立ち上がってくる万太郎とケビンに正義崩壊の終曲を繰り出すが、直前に2人の作戦で起こした風によりエキゾチック物質が吹き飛ばされ技の威力が半減、形勢逆転される。加速能力が完全に攻略されたのを受けた世界五大厄は、奥の手である肉体時計逆回転を使用し肉体を万全の状態へと戻す。圧倒的有利の状況でザ・坊ちゃんズに猛攻を加えるものの、なおも気力と根性で立ち上がってくる万太郎とケビンをみた世界五大厄の2人は、次第に精神的に疲弊し信念が揺らぎ始めてゆく。最後とばかりに新・死時計の刻印を繰り出すが、サンダーがエキゾチック物質を作り出せず失敗、さらには逆転のNIKU⇒LAPを受けたサンダーがKOされ、二本目を落とした。 三本目は互いのパートナーが動けないため、ライトニング対ケビンマスクの一対一で始まった。猛攻を加えダウンさせたケビンにとどめの一撃を放つものの、起き上がってきた万太郎に阻まれる。今度は死時計の刻印を1人で万太郎に仕掛けるが、技を返され逆に新技マッスル・スパーク“地”を繰り出された。そのとき失神状態だったサンダーが復活、技を阻止しようと飛び上がるが、逆にケビンにビッグベン・エッジを仕掛けられる。2人とも必死で技から逃れようとするが、最後は最強のツープラトン技・マッスルキングダムを受け両者ともに完全KO。究極の超人タッグ決勝戦で敗北した。 ライトニング時間超人1号で、世界五大厄のリーダー格。サンダーより小柄だが残忍で狡猾な性格であり、ケビンマスクを人質のように利用し、対戦相手が苦手意識を持つデスマッチをあえて提案するなど、相手の精神を最大限に苦しめることを好む。また、機転を利かせて伝説超人と新世代超人を仲違いさせたりと頭脳的な面も持つ。試合ではスピードを生かした攻撃を得意とし、21世紀のテクニックで相手を翻弄する。笑い声は「ジョワジョワ」[注 6]。 当初は首から頭部にかけての起伏が無いタイプのオーバーボディを着用していたが、ジ・アドレナリンズ戦でキラーエリートと呼ばれる真の姿を現した。この姿は当初、ビキニタイツを着用していたが、後に露出度が抑えたものに変更。準決勝組み合わせ抽選会からは、身体に紋様が入ると同時にロングタイツになるなど、一部デザインが変わり、さらに決勝戦直前には凶悪な顔に変貌する。 自らを天涯孤独の身と語るなど、詳しいプロフィールは不明。究極の超人タッグ決勝戦でザ・坊ちゃんズに敗れた後、トロフィー球根を与えられるが、正義超人の施しを受けないという自らの美学に従い吐き出すと「サンダーの母が作ったシチューが食べてみたかった」と言い残し、富士山の火口に身を投げ自害した。 得意技
プロフィール異名サンダー時間超人2号。ライトニング同様残忍で狡猾な性格だが、短気で気が荒い。大柄かつ屈強な肉体を持ち、相手の攻撃を物ともせずに進撃するパワーファイター。怪力が自慢であるが、正体を現してからはさらに獅子の爪を使った相手を突き刺す、切り裂く攻撃も多用する。「ヌワヌワ」と笑う。 当初は後頭部から長髪を露出させ、全身にファスナーが付いたオーバーボディを着用[注 7]。タッグ戦前日に出場希望チームを襲撃した際に金属製の獅子型マスクを被り、左肩に円状の肩当てを着けた上半身を一部見せる。その後ザ・テガタナーズ戦にて、古代ギリシアのエクソミス風コスチュームの全身を現す。素顔は獅子と酷似しており、時間超人以外に哺乳類超人の中の食肉類ネコ科の超人にも分類される[7]。 ライトニング同様天涯孤独の身と語っていたが、本当の出自は悪行・時間超人の父に誘拐された正義超人の母ソフィーから生まれた子で、正義超人の村ポピュ星で生まれ育つ。その母もサンダーが成長するにしたがって生えてきた魔時角をみて失踪したため、親子や絆などを強く憎み、悪行超人の道へと走った経緯がある。その後、ライトニングと出会い現在に至る。なお、正義超人の血が半分流れているため、エキゾチック物質はライトニングほど大量には生成できない。 究極の超人タッグ決勝戦でザ・坊ちゃんズに敗れ瀕死の状態になったが、トロフィー球根を与えられ復活。しかしライトニングだけは己の美学に従って自害したため、自分だけ助かってしまったことを嘆き自殺願望に取りつかれてしまう。万太郎たちの説得の末考え直したが、その後、新世代超人が乗り込んだ時空船を動かすためにエキゾチック物質を全て使い果たし、「今のライトニングなら俺の気持ちがわかってくれるはず」と独白し息絶えた。 得意技
プロフィール異名
タッグ技
主要対戦成績
『キン肉マン』登場の時間超人ドミネーター「怒涛の刻(どとうのこく)」の異名を持つ。口癖は「ガゴガゴ」。 エル・カイト「疾風の刻(しっぷうのこく)」の異名を持つ。口癖は「ヒャフヒャフ」。 ザ・ガストマンアメリカ南西部のモハーヴェ砂漠に実在する金属でできたメガホン型の物体(作中では超人製造機「降誕のメガフォン」と称している)から五大刻の一人であるエクサベーターの手により生成・召喚された。口癖は「ビュンビュン」。 脚注注釈
出典
|