新民謡新民謡(しんみんよう)とは、大正期後半(1920年頃)から昭和期にかけて、地方自治体や地方の企業などの依頼によって、その土地の人が気軽に唄ったり踊ったりできて愛郷心を高めるため、またその地区の特徴・観光地・名産品などを全国にPRする目的で制作された歌曲。 昭和初期から20年代にかけて制作された大衆歌謡・流行歌の一分野として生まれたもので、分野名としては戦後廃絶した。しかし戦後であってもご当地ソングのうち、民謡調のものも新民謡とすることが多い。 概要「新民謡」=「新しい民謡」の名の通り、民謡のうち特に地元色の強い内容の音頭類などに範を取るものとなっている。主な内容は、
などである。言葉は標準語が使われることも多いが、方言によるものもある。 ただし内容的には上記のように民謡を限りなく模倣しているが、音楽的には必ずしも全てが民謡的であるとは限らない。音頭調だけでなく、伝統芸能色の強い小唄調、逆に行進曲調など洋楽を元にした流行歌と変わらないものも存在した。洋楽調であるものは「民謡」の定義からは外れているとも言えるが、制作目的が冒頭の定義に沿えば「新民謡」として扱われた。 受容新民謡は通常の流行歌と異なり一律全国展開ではなく、全国展開以外に最初から該当地域のみの地域限定発売が多くあった。「東京音頭」のように著しく流行したために地域限定から全国展開に切り替えられた例もあったが、例外的なものである。 戦後に「新民謡」の分野が衰退して、また、「流行歌」自体も終焉を迎えて歌謡曲の時代となってから、主題が、特定の地域に関連しているだけの「ご当地ソング」が生まれると、従来の「地域限定」という枠は崩れ、全国展開を基本とするようになった。ただし現在でも流通上の都合などで地域限定発売や関係者への頒布のみとしている盤や楽曲は大量に存在する。 代表的な作品上記の通り地域限定で発売され、全国展開されずに終わった曲もあるため、全国的に著名な作品はそれほど多くない。
著作権民謡は自然に発生したもので、著作権は原則として存在しないが、新民謡は、作詞者、作曲者がおり、著作権が存在するものもかなりあるので、引用などには注意が必要である。特に有名となった曲は、新民謡でありながら表向き「民謡」に聞こえるため、元からあった民謡であると勘違いしやすいので注意が必要である。 |