心の友 (アルバム)
『心の友 [注釈 1]』(こころのとも、原題:With a Little Help from My Friends)は、イングランドの歌手ジョー・コッカーが1969年に発表した初のスタジオ・アルバム。 背景コッカーは1964年にデッカ・レコードからデビュー・シングル「I'll Cry Instead」(ビートルズのカヴァー)を発表するが、すぐにデッカとの契約を失い、1965年よりクリス・ステイントンをパートナーに迎えてライヴ活動を行った[3]。そして、1968年にEMI傘下のリーガル・ゾノフォン・レコードから、ステイントンとの共作による再デビュー曲「マジョリーン」を発表して全英シングルチャートで48位を記録し、同年にはビートルズのカヴァー「心の友」が全英1位のヒットとなった[3]。後者はアメリカでも、1968年12月14日付のBillboard Hot 100で68位に達した[4]。 ステイントンは本作の大部分の曲でベースを弾き、一部の曲ではピアノやオルガンも兼任したが、唯一ロサンゼルス録音の「フィーリング・オールライト」(トラフィックのカヴァー)では、キャロル・ケイがベースを担当した[1]。本作のレコーディングには、既にスタジオ・ミュージシャンとして引く手あまただったジミー・ペイジが参加しているが、その後ペイジはレッド・ツェッペリンの活動に集中するため、スタジオ・ミュージシャンとしての依頼を断るようになったという[5]。 反響・評価アメリカでは1969年7月26日付のBillboard 200で最高35位を記録し[6]、リリースから約1年半後の1970年11月には、RIAAによりゴールドディスクの認定を受けた[2]。一方、母国イギリスでは、オリジナル・リリース時は全英アルバムチャート入りを逃す結果となった[7]。 ロバート・クリストガウは1969年8月17日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙において「彼は"Bye Bye Blackbird"や"A Little Help From My Friends"といった軽快な小品を、人間の根源的な叫びへ転化させることに見事に成功しており、さらに、彼が取り上げた"Feelin' Alright"は、スリー・ドッグ・ナイトのヴァージョンはおろか、スティーヴ・ウィンウッドとトラフィックによるオリジナルよりも良い」「彼はロック界においてジャニス・ジョプリンの男性版と言えるほど、個性的な手法で、他人の曲に秀逸な解釈をしている」と評している[8]。また、Bruce Ederはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「アルバムを牽引しているのは、それ自体が一つの楽器と言える、コッカーのソウルフルでザラついた声である」「意表を突いたアレンジ、テンポ、音楽的アプローチもあって、規格外のアルバムに仕上がっている」と評している[9]。 リイシュー1972年にフライ・レコードから発売された再発LPは、本作と次作『Joe Cocker!』を抱き合わせた2枚組となっており[10]、このエディションは全英アルバムチャートで最高29位を記録した[7]。後に日本のテイチクから発売された再発CDも、本作と『Joe Cocker!』を1枚のCDに抱き合わせた内容である[11]。 1999年にA&Mレコードから発売されたリマスターCDには、シングルB面曲の「The New Age of Lily」と「Something's Coming On」がボーナス・トラックとして収録され[9]、2012年発売の日本流通盤CD (CRCD-3479)も同様の内容となった[12]。 収録曲特記なき楽曲はジョー・コッカーとクリス・ステイントンの共作。
1999年リマスターCDボーナス・トラック
参加ミュージシャン
チャート成績
脚注注釈
出典
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