建造物等損壊罪
建造物等損壊罪(けんぞうぶつとうそんかいざい)とは、他人の建造物または艦船を損壊する罪である。刑法260条で定められている。 条文→「刑法260条」および「コンメンタール刑法260条」を参照
行為行為の客体本罪は「他人の建造物又は艦船」を客体とする。
判例・通説によれば、家屋その他これに類似する建築物を指す(大判大正3年6月20日刑録20輯1300頁)。取り外せる物については、容易性の程度の差によって、本条を構成するか器物損壊罪を構成するかという違いが生じ、具体例において見解が分かれている。例えば、判例は屋根瓦について本条の客体となるとしているが、認めない説もある。
行為の内容本罪は「損壊」を構成要件的行為とする。 学説は多岐にわたるが、判例・通説は、その物の効用を害する一切の行為をいうとしている。ゆえに物理的な損壊に限らず、心理的に使用できなくするような行為も損壊といえる。
法定刑5年以下の懲役。また、死傷者が発生した場合は、傷害罪と比較して、重い刑により処断する。 備考建造物等損壊罪は、器物損壊罪と違い親告罪ではなく、損壊された物の本権者または適法な占有者の告訴がなくても成立する。 特別法犯運転過失建造物損壊罪→「道路交通法116条」を参照
車両等の運転が要件になっており、例えば工事車両が工事作業により過失で損壊した時は罪にならない。ただし、工事車両が道路を運転中に過失で損壊した場合は罪に当たる。また、道路交通であることから、客体として「艦船」が、刑法の故意犯と比較して除かれている。建造物の損壊により死傷者が発生した場合は、過失運転致死傷罪等の問題となる。 過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)では主体が自動車(原動機付自転車を含む)運転者となるが、本罪ではさらにトロリーバス・軽車両・路面電車の運転者も含まれる。また、業務上の過失または重過失があることも要件になっているため、例えば自転車の単純な運転ミスで他人の家の玄関に突っ込んだ場合など、軽車両の運転者が軽過失により他人の建造物を損壊しても犯罪は成立しない。 参考文献
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