幼児キリストと洗礼者聖ヨハネ、二人の天使
『幼児キリストと洗礼者聖ヨハネ、二人の天使』(ようじキリストとせんれいしゃヨハネ、ふたりのてんし、独: Christuskind mit Johannesknaben und zwei Engeln、英: The Infant Christ with John the Baptist and Two Angels)は、フランドルのバロック期の巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスが1615-1620年ごろ、同時代のフランドルの画家フランス・スナイデルスの協力を得て、オーク板上に油彩で制作した絵画である[1][2]。両画家の共同制作になる作品の1つで、人物像はルーベンスが、静物はスナイデルスが描いている[1]。作品は1720年にウィーンの帝室画廊に記録されており[2]、現在は美術史美術館に所蔵されている[1][2]。 作品ルーベンスとスナイデルスは1610年代の後半以降、花綱や果物籠に関連した主題で数点の絵画を共同で制作している[1]。本作以外には、『ケレスの像』(1615年ごろ、エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク)、『果物綱』(1616-1617年ごろ、アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン)、そしてやや少し後の『二人のプットのいる果物と花の飾り』(1620-1630年、プラド美術館、マドリード)などが挙げられる[1]。 本作で、ルーベンスは主題を神話からキリスト教へと変更しているが、絵画の大きさは『ケレスの像』、『果物綱』より小さい[1]。幼児イエス・キリストと洗礼者聖ヨハネの背後にいる翼の生えた天使は、明らかに『ケレスの像』におけるプットたちと類似性を持つ。一方、イエスとヨハネは、『果物綱』で腰をおろす2人の幼い少年と容貌の点で明らかに似ている[1]。なお、イエスとヨハネのポーズは古代彫刻の影響を示している[2]。 幼いヨハネは左手で仔羊を抑えており、右手でブドウを一房持っている。これらのモティーフは、ルーベンスによって描かれたのかもしれない。しかし、右下の果物籠は、スナイデルスのモティーフの特徴的な例を示している。このモティーフは、スナイデルスが長い画業を通じて、自身の独立した作品に組み込んだものであった[1]。 ギャラリー左:ルーベンス、スナイデルス『ケレスの像』(1615年ごろ)、エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク 中央:ルーベンス、スナイデルス、ヤン・ウィルデンス『果物綱』(1616-1617年ごろ)、アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン 右:ルーベンス (工房)、スナイデルス、ヤン・ブリューゲル (父)『二人のプットのいる果物と花の飾り』(1620-1630年ごろ)、プラド美術館、マドリード 脚注参考文献
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