凍えるヴィーナス
『凍えるヴィーナス』(こごえるヴィーナス、Venus Frigida)は、フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスが1614年に描いた絵画である[1][2][3][4]。『凍えるウェヌス』[5]、『バッカスとケレスがいないとヴィーナスは凍えてしまう』[6][7]とも。 概要本作は、古代ローマの喜劇作家プビリウス・テレンティウス・アフェルによる格言「バッカスとケレスがいないとヴィーナスは凍えてしまう」、すなわち、酒と食物がなければ愛が冷めてしまう、ということを表現している[5]。 板に油彩で描かれている[6]。署名と日付が入れられている[1]。縦 145.1 センチメートル、横 185.6 センチメートルの大きさをもつ[6]。アントワープ王立美術館に所蔵されている[6]。 本作におけるヴィーナスの姿や、1613年頃に描かれた『ヴィーナスとケレスとバッカス』におけるケレスの姿は、古代ローマ時代の彫刻作品『うずくまるヴィーナス』の模刻をもとに描かれている[5]。ルーベンスは、イタリアのゴンザーガ家の収集品の中にあった模刻を目にしている[5]。 作品ヴィーナスは、寒さのあまり身を縮めており、ぼんやりとした表情をしている[5][6]。キューピッドも、寒さに身を屈めており、寒さをしのぐためにヴィーナスの腰布を身体に巻きつけているが、腰布は極めて薄く、頭部が透けている[6]。キューピッドの矢と弓は、地面に置かれたままになっている[6]。 後方には、忍び足で近づくサテュロスが描かれている。果物や穀物で満たされた角、コルヌコピアを手にしており、ヴィーナスとキューピッドを驚かそうとしている様子である[6]。もともと、ヴィーナス、キューピッドおよびサテュロスに焦点を当てて描かれた作品であったが、後年のおそらく18世紀に、キャンバスが上部および左右に継ぎ足され、風景が描き加えられた[6]。 脚注
参考文献
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