川口 有一郎(かわぐち ゆういちろう、1955年 - )は、日本の経済学者。専門は、金融工学・不動産金融工学・不動産経済学。学位は、博士(工学)(東京大学・論文博士・1991年)。早稲田大学教授。
来歴
1955年、熊本県に生まれる。防衛大学校及び日本大学大学院理工学研究科時代の専攻は土木工学だったがその後都市計画に研究対象を移し[1]、1991年に土地区画整理事業に関する研究で東京大学より博士(工学)を取得する[2]。この時の指導教員は当時東京大学教授の中村英夫[3]。
1990年ごろに金融工学と出会い、土木工学の研究で培った計算手法との共通点から興味を抱く[1]。自らの研究対象を「金融工学をベースに、企業の戦略や不動産の価値を分析する分野」[1]と表現し、金融工学の手法を用いて不動産投資や経営戦略の精度を高めることを目的とした応用ファイナンスの研究を行っている[1]。
日本における不動産金融工学の創始、および確立に尽力した[3][4]。2000年には刈屋武昭を擁立して日本不動産金融工学学会の創立に関わり[5]、2004年より会長職を務める[6]。
2004年より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授に就き[1]、加えて早稲田大学国際不動産研究所所長[7][8]と早稲田大学ファイナンス総合研究所所長[9]を兼任。2014年時点で日本リアルオプション学会評議員を務める[10]。
2013年6月・7月に京都(京都大学)で行われたアジア不動産学会年次大会(2013 The 17th Asian Real Estate Society (AsRES) Annual Conference)では会長を務め、松下新平(国土交通大臣政務官)、岩沙弘道(三井不動産)、岩田規久男(日本銀行)らの招聘に尽力した[11]。
略歴
学歴
職歴
委員会活動
所属
- 日本不動産金融工学学会 会長(2004年 - )[6]
- 日本リアルオプション学会 評議員[10]、元会長[27][28]
- The Asian Real Estate Society(略称:AsRES、日本語名称:アジア不動産学会) Director(1999-2001, 2008-2011年)、President(2013年)[29][30]
- American Real Estate and Urban Economics Association (AREUEA)[12]
- 日本金融・証券計量・工学学会(JAFEE)[12]
- 日本不動産学会[12]
受賞歴
逸話
- 不動産証券化協会の認定資格「不動産証券化協会認定マスター」の命名に関わった。認定者名称について意見を求められたときに “Master in Securitization” (「証券化を極める人」の意)という英語を発意し、「証券化マスター」の名称を提案したことを明かしている[33]。その後協会で検討され、現在の名称に決定した[33]。
著書
単著
共著
論文
- “The pricing of real options in discrete time models: Another story of the value of waiting to invest,” with K. Tsubokawa, Journal of Property Investment & Finance, Volume 19, Issue 1, pp. 9-34, 2001. doi:10.1108/14635780110365334
- “Unsmoothing Commercial Property Returns: A Revision to Fisher–Geltner–Webb's Unsmoothing Methodology,” with H. Cho and J. D. Shilling, Journal of Real Estate Finance and Economics, Volume 27, Issue 3, pp. 393-405, 2003. doi:10.1023/A:1025898325952
- “An analysis of the trends and cyclical behaviours of house prices in the Asian markets,” with M. Chen and K. Patel, Journal of Property Investment & Finance, Volume 22, Issue 1, pp. 55-75, 2004. doi:10.1108/14635780410525144
- “Seasoned Equity Issuance by Japan and Singapore REITs,” with S. E. Ong and J. T. L. Ooi, Journal of Real Estate Finance and Economics, Volume 43, Issue 1-2, pp. 205-220, 2011. doi:10.1007/s11146-010-9285-9
- “Empirical Comparison of the Various Spatial Prediction Models: in Spatial Econometrics, Spatial Statistics, and Semiparametric Statistics,” with H. Seya, M. Tsutsumi, and Y. Yoshida, Procedia - Social and Behavioral Sciences, Volume 21, pp. 120–129, 2011. doi:10.1016/j.sbspro.2011.07.025
脚注
注釈
出典
外部リンク