就業意欲喪失者就業意欲喪失者(しゅうぎょういよくそうしつしゃ、英: Discouraged worker)とは、就業希望を持ちながら失業状態の長期化により求職活動する意欲を失った者。求職意欲喪失者とも。統計上は非労働力人口に含まれるが、潜在的な失業者とみなされる。未活用労働力のひとつである[1]。 就業意欲喪失者は景気低迷による失業状態の長期化のため「失業者」から「非労働力人口」へ移行した存在であるが、景気回復により求職活動を再開し「労働力人口」に復帰する流動的な存在である。 これら就業意欲喪失者の行動により、不景気時(好景気時)の失業率の上昇(低下)が労働力率を低下(上昇)させ、結果的に失業率の上昇(低下)を抑える現象を就業意欲喪失効果(求職意欲喪失効果)(英:Discouraged worker effect)と呼ぶ。好景気時に失業率低下を抑制する現象に限って就業意欲効果(英:Encouraged workereffect)と呼ぶことがある。 米国アメリカ労働省労働統計局(BLS; Bureau of Labor Statistics)の定義によれば、「非労働力人口(NILF;Not In the Labor Force)のうち、Marginally attached to the labor force(就労に多少執着している者)は、「過去12ヶ月以内に求職活動をしており、仕事を求め、仕事をする能力があるが、4週間以上求職活動をしていない者」[2]である。就業意欲喪失者(Discouraged workers)は、Marginally attached のサブセットであり、「自分の仕事が存在しない、あるいは自分と合致した仕事がないと考えているため、特に現在仕事を探していない者」である[2]。 失業期間の長期化に伴い、自身の能力への不信から求職活動を断念した者を指す。 従来は就業意欲喪失者について「非労働力人口(求職活動をしていない者)のうち就業希望している者」とされていたが、雇用を希望しながら労働意欲の無い「怠業労働者」(idle labor)との区別のため1994年から定義が厳格化された。BLSの統計ではU4に含まれる。 欧州連合欧州連合の統計機関Eurostatでは、就業意欲喪失者を以下の3カテゴリに分類した[3] 1つ目は欧州労働力調査の雇用統計に分類され、次の2つは同調査の非労働力人口統計に含まれる。2012年においては、不完全雇用のパートタイム労働者は920万人、仕事を求めているがすぐには仕事に就けない失業者は230万人、就業可能だが就職活動をしていない者は890万人であった[4]。 就業意欲喪失者と不完全雇用者を、公式の失業者統計に加算するならば、スペインの実質失業者数が最も多く(840万人)、イタリア(640万人)、イギリス(550万人)、フランス(480万人)、ドイツ(360万人)がそれに続く。
日本日本においては、就業意欲喪失者について「非労働力人口で就業希望者のうち、仕事を探していない理由を『適当な仕事がありそうもない』と回答した者」(厚生労働省)と旧来の定義を踏襲している。また、完全失業者と分けて考えられており、日本の完全失業率にはカウントしていないのが現状である[6]。 労働力調査においては就業可能非求職者として、無職者のうち次の3つの条件を満たす者を集計するようになった[6]。
欧米の就業意欲喪失者は仕事を探していない理由について「求人の少なさ」を挙げる者が大半を占めるが、日本では「希望する労働条件(賃金・勤務時間)の仕事が存在しないこと」(雇用のミスマッチ)を理由に挙げる者が多い。また、その動向も景気変動に左右されないなど就業意欲喪失者の行動様式に当てはまらないため、日本における定義を疑問視する向きもある。 近年勃発したリーマンショック以降、企業自体が(会社存続の為に)人減らしや求人の大幅縮小に躍起になっており、求人を出しても大学卒業である事と実務経験が豊富である事を選考基準に挙げて、採用を一層厳しくした(これに追い打ちをかけるかのように一定以上の容姿を持つ事も選考基準としている企業がある事が、最近になって表面化してきている)ため、特に30代後半付近の所謂「団塊ジュニア」に対しては、たとえ職業訓練を受けていても「採用しない」企業が多くなり、就業意欲を更に喪失させる要因になっている。 脚注
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