将棋栄誉敢闘賞(しょうぎえいよかんとうしょう)は、日本将棋連盟に所属する将棋棋士がプロ入り後、すなわち四段昇段後に公式戦で通算800勝を挙げた時に達成者に贈られる賞である。1993年に制定された、通算勝ち数に応じて与えられる二つ目の賞である。本賞の前段階である通算600勝での将棋栄誉賞の他に、通算1000勝及び通算1200勝で特別将棋栄誉賞、通算1500勝で特別将棋栄誉敢闘賞がそれぞれ達成者に贈られる。
受賞者
通算800勝達成者を達成順に記載する。2024年6月13日現在で達成者は26名[1]。全員がタイトル戦番勝負出場経験者で、青野照市を除く全員が達成時勝ち越し[1]、中村修を除く全員が順位戦A級経験者、阿部隆を除く全員が九段での達成。また、タイトル未経験者も森下卓・阿部隆・青野照市の3人のみである。
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達成年月日 |
達成者 |
達成時の成績 (持将棋を除く) |
出典 |
当時年齢 |
四段昇段後 年数 |
備考 (※ 通算1000勝達成)
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0 |
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1 |
1972年07月31日 |
大山康晴 |
800勝 344敗(0.699) |
[2] |
49歳04か月 |
32年05か月 |
持将棋 2(1146対局) |
※
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2 |
1982年12月18日 |
加藤一二三 |
800勝 510敗(0.611) |
[2] |
42歳11か月 |
28年04か月 |
持将棋 1(1311対局) |
※
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3 |
1986年09月02日 |
中原誠 |
800勝 363敗(0.688) |
[2] |
38歳11か月 |
20年10か月 |
持将棋 3(1166対局) |
※
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4 |
1987年05月26日 |
二上達也 |
800勝 670敗(0.544) |
[2] |
55歳04か月 |
37年01か月 |
持将棋 1(1471対局) |
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5 |
1987年08月03日 |
内藤國雄 |
800勝 513敗(0.609) |
[2] |
47歳08か月 |
28年10か月 |
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※
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6 |
1987年08月28日 |
米長邦雄 |
800勝 494敗(0.618) |
[2] |
44歳02か月 |
24年04か月 |
持将棋 1(1295対局) |
※
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7 |
1987年10月05日 |
有吉道夫 |
800勝 585敗(0.578) |
[2][3] |
52歳02か月 |
32年04か月 |
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※
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8 |
1997年03月03日 |
谷川浩司 |
800勝 412敗(0.660) |
[2][4] |
34歳10か月 |
20年02か月 |
持将棋 3(1215対局) |
※
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9 |
2000年10月24日 |
大内延介 |
800勝 640敗(0.556) |
[2] |
59歳00か月 |
37年06か月 |
持将棋 1(1441対局) |
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10 |
2000年12月01日 |
桐山清澄 |
800勝 618敗(0.564) |
[2] |
53歳01か月 |
34年08か月 |
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11 |
2003年02月23日 |
羽生善治 |
800勝 283敗(0.739) |
[2][5] |
32歳04か月 |
17年02か月 |
持将棋 1(1084対局)/ 最年少、最速、初の7割超(最高勝率)での達成[注 1] |
※
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12 |
2009年02月06日 |
森雞二 |
800勝 730敗(0.523) |
[6] |
62歳10か月 |
39年10か月 |
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13 |
2009年03月03日 |
佐藤康光 |
800勝 439敗(0.646) |
[7] |
39歳05か月 |
21年11か月 |
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※
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14 |
2010年08月19日 |
森下卓 |
800勝 502敗(0.614) |
[8] |
44歳01か月 |
26年10か月 |
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15 |
2011年04月20日 |
森内俊之 |
800勝 433敗(0.649) |
[9] |
40歳06か月 |
23年11か月 |
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16 |
2014年11月18日 |
丸山忠久 |
800勝 433敗(0.649) |
[10] |
44歳02か月 |
24年07か月 |
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※
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17 |
2014年11月21日 |
高橋道雄 |
800勝 616敗(0.565) |
[11] |
54歳06か月 |
34年05か月 |
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18 |
2015年10月17日 |
郷田真隆 |
800勝 467敗(0.631) |
[12] |
44歳07か月 |
25年06か月 |
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19 |
2017年11月03日 |
深浦康市 |
800勝 457敗(0.636) |
[13] |
45歳08か月 |
26年01か月 |
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20 |
2018年01月19日 |
南芳一 |
800勝 652敗(0.551) |
[14] |
54歳07か月 |
37年00か月 |
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21 |
2018年02月06日 |
島朗 |
800勝 670敗(0.544) |
[15] |
54歳11か月 |
37年04か月 |
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22 |
2020年01月29日 |
阿部隆 |
800勝 568敗(0.585) |
[16] |
52歳05か月 |
34年07か月 |
段位が八段での達成[注 2] |
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23 |
2021年03月19日 |
屋敷伸之 |
800勝 530敗(0.602) |
[17] |
49歳02か月 |
32年05か月 |
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24 |
2021年06月09日 |
中村修 |
800勝 703敗(0.532) |
[18] |
58歳07か月 |
40年11か月 |
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25 |
2021年11月05日 |
久保利明 |
800勝 517敗(0.607) |
[19] |
46歳02か月 |
28年07か月 |
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26 |
2024年02月20日 |
青野照市 |
800勝 895敗(0.472) |
[20][1] |
71歳00か月 |
49年10か月 |
最年長、最長所要年数、初の負け越しでの達成 / 引退確定後の達成 |
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脚注
注釈
- ^ 当時、800勝達成時に通算勝率が7割を超えていたのは羽生だけであった[5]。
- ^ 四段プロ入り後、公式戦勝利数の累計による勝数規定のみで八段まで昇段し、800勝達成まで九段に昇段できなかったため。その他の800勝達成者は、順位戦昇級やタイトル獲得等による昇段を含む形で九段昇段後に達成している。なお、四段プロ入り後に勝数規定のみで昇段を続けた場合、通算810勝で九段へ昇段となる。阿部も将棋栄誉敢闘賞受賞後に公式戦10勝を積み重ねて九段に昇段している。
出典
- ^ a b c “将棋の青野照市九段が通算800勝 引退決定後、悲願の大台到達”. 朝日新聞デジタル (asahi.com). 朝日新聞社 (2024年2月20日). 2024年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 「羽生善治、公式通算800勝達成」『日本将棋連盟』。2003年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 『将棋世界 1988年1月号』。
- ^ 『将棋世界 1997年5月号』。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
- ^ a b “羽生竜王、最速・最年少で「800勝」”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2003年2月23日). 2003年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月20日閲覧。
- ^ 森けい二九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 佐藤康光棋王が800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 森下 卓九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成!|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 森内俊之九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 丸山忠久九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 高橋道雄九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 郷田真隆王将、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成!|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 深浦康市九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 南芳一九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 島朗九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 阿部 隆八段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ 屋敷伸之九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|将棋ニュース|日本将棋連盟
- ^ “中村修九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成!”. 日本将棋連盟. 2021年6月10日閲覧。
- ^ 久保利明九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|日本将棋連盟
- ^ 青野照市九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成|日本将棋連盟
参考文献
- 軽部信昭 『将棋界 歴代最強棋士は 徹底分析』 e-Bookland、2011年、p.153
外部リンク