家族葬家族葬(かぞくそう)とは、家族などの近親者だけで行い、近親者以外の儀礼的・社交辞令的な弔問客の参列を拒否する葬式のこと。家庭葬(かていそう)とも言う。 概要密葬と似ているが同義語ではない。密葬の場合は、近親者だけで葬儀を行い火葬した後に、日を改めて本葬(骨葬・お別れ会など)を行う。密葬と本葬を合わせて一つの葬儀であり、本葬を行わず密葬だけを行うことは基本的にありえない。これに対して家族葬の場合は、近親者だけで葬儀を行い火葬するところまでは密葬と同じであるが、それだけで一つの葬儀として完結した形態であり、日を改めて本葬を行うことはない。また、直葬は「直接火葬」を略したもので、独立した葬儀を行わず火葬だけを行うことである。火葬場のキャパシティの関係から、参加者はごく少数の近親者に限られる。身寄りのない者の場合は葬儀社のスタッフ一人だけということもある。 家族葬は家族、親族のみで行う比較的小規模な葬儀を指すものであり、葬儀の様式や宗教形態を規定するものではない。そのため、各宗教・宗派の聖職者による宗教儀礼も行われる。もちろん故人の希望により無宗教式で行われることもある。その場合は自由葬と呼ぶこともある。 メリット
なお家族葬の費用については、基本的には通常の葬儀で使われるものと同様の祭壇・棺等が使われるため、必ずしも劇的に安くなるとはいえない。 デメリット
弊害一般的に「家族葬なら○○万円」と従来の葬儀よりも安価である事をメリットとして併記されることが多く、今まで葬儀費用に疑問を抱いていたものの、臨終から葬儀までの日数が限られていることや、「故人の為を思えばこそ」という考え、心理的に不安定な状態であるなどの理由により、値切りや契約の見直しなどの対応が難しい一般消費者に広く認知された。しかし、家族葬の内容を理解できていない遺族が、通常の一般葬が安くなったものであると誤解している場合もあり、葬儀社とのトラブルになることもあった。 また、家族葬は弔問客を招かないために葬儀後に報告をするのが望ましいが、通例どおりに臨終後まもなく関係者に葬儀をする旨を伝えたり、「葬儀は家族葬で行います」という本末転倒な報告が行われることもままある。著名人の訃報で「葬儀は近親者のみで行う」と報道されることがあるが、これは「近親者以外は参列しないでほしい」という遺族からの意思表示であるにもかかわらず、家族葬に対する誤解や人情から、弔問客が小人数用の葬儀式場に押し寄せ、無用な混雑や葬儀時間の増加を引き起こすなどのトラブルも少なくない。 業界の対応や今後家族葬の名称のみが一人歩きしたために、葬儀の打ち合わせの際に改めて家族葬と一般葬の違いを説明しなければならず、葬儀業界では各葬儀社による生前予約・説明会などに加え「家族葬説明会」などが開かれ、来場者に対し「家族葬は密葬とほぼ同じである」や「家族葬にはある程度のリスクが伴う」等の知識を浸透させるのと同時に、「あなたのご家庭の事情では、本当に家族葬が可能か」等のようなレクチャーやディスカッションを行うなどの対応を行っている。また一部には、予定以上の弔問客が来場した際に追加料金を徴収することを契約文中に入れる葬儀業者が現れるなど、名実ともに家族葬が認知されるまでにはまだしばらく時間がかかるのが現状である。2010年頃から家族葬が徐々に一般的となり、現在では9割以上が家族葬で行われている。 参考文献
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