家庭の事情 ネチョリンコンの巻
『家庭の事情 ネチョリンコンの巻』(かていのじじょう ネチョリンコンのまき)は、1954年7月28日に東宝系で公開された日本映画。モノクロ。スタンダード。宝塚映像作品。 概要トニー谷主演の『家庭の事情』シリーズの第4作にして最終作。 本作は、この年起こった「ビキニ事件」をモチーフにしており、放射能マグロによってさびれたホテルをトニーが建て直すというもので、後半にはトニーが「ネチョリンコン」という外国人に扮し、得意のトニングリッシュを披露しているが、話は意外な方向へと進む内容となる。 なお本作で『家庭の事情』シリーズは終了するが、トニー谷は同年12月21日に東映で中編時代劇『さいざんす二刀流』(監督:丸根賛太郎)に主演、中編のみとはいえ1年に5本の映画に主演する事となる。 ストーリーパチンコ屋の2階を間借りして経営している「太平洋宣伝会社」に、仕事の依頼が来た。依頼者は「桜ヶ浜」という海岸で「海浜ホテル」を経営している、坂巻敬介という男で、聞けば最近桜ヶ浜に放射能を帯びたマグロが打ち揚げられ、桜ヶ浜一帯は閑古鳥が鳴く状態だった。そこで立て直そうと依頼に来たのだ。社長の戸仁井谷夫は二つ返事でOKする。そして最初の作戦は、唯一の社員・土倉五郎を「バッタフライ」という偽の水泳名人に扮装させ、客を呼び込もうとする事だ。そして当日、戸仁井とバッタフライこと五郎が訪れた桜ヶ浜は黒山の人だかり、そして二人は坂巻から、娘の冬子などを紹介される。やがて後日、バッタフライによる水泳エキシビジョンが催された。だがバッタフライになっている五郎は泳げない。そこで一計を案じた戸仁井は五郎をボートに乗せて海上へ連れて行くと、五郎を海に放り込み、鱶のおもちゃを浮かばせ、五郎をあわてさせて泳がせる。何も知らない客は大喜び、エキシビジョンは大成功となり、戸仁井は冬子に慕われた。 だが面白くないのが坂巻の部下・黒井部長。実は黒井はホテルを手中に納めるべく、冬子と結婚を企んでおり、放射能マグロの件もその一環の芝居だったのだ。そこで黒井は仲間の富江と協力し、戸仁井が催した「水着コンテスト」にヤクザを乱入させ、コンテストをメチャクチャにしてしまった。だが挫けない戸仁井は次なる作戦として、自分の知り合いである「ネチョリンコン」という外国の大富豪が「結婚したい」という事で、「花嫁コンテスト」を催す事にする。 さて当日、花嫁希望の女性達の前にネチョリンコンが現れた。そのネチョリンコンは戸仁井そっくり。それもそのはず、戸仁井が一人二役を演じていたからだ。そして冬子や親友のユリなどとコンテストを行うと、一人二役がばれない様に、ネチョリンコンは「日本ノ女、信用デキナイ、他ノ国デ奥サン探ス。残念パーティシマショウ。」と発言し、残念パーティーを行う。事が逆効果となり、富江にも見限られた黒井はヤケになり、冬子をさらってボートで逃げ出した。あわてた戸仁井はネチョリンコンの扮装でヨットに飛び乗り、大乱闘の末に冬子を救出、そして戸仁井は冬子に「ネチョリンコンはあなたを助けて岸まで来たが、力尽きた」と述べた。泣きじゃくる冬子。 やがてホテルにネチョリンコンの胸像が立てられた。その胸像を見て泣く冬子に対し、戸仁井は「僕を見て、彼を思い出して下さい」と慰める。だが冬子は自室に戻って泣くばかり、戸仁井は一心を決意し、冬子に「ネチョリンコンは架空の人物です」と発言、だが冬子は頑として信じなかった。仕方無く了解する戸仁井は、ネチョリンコンの胸像に向ってこう言った。「おいネチョリンコン、お前は世界一の幸せもんだぞ、銅像にはなるし、冬子さんには慕われるし、慕われてるお前は俺じゃないか、残された俺は一体誰なんだよ、俺は、オパポロポンじゃないか!」 やがて桜ヶ浜は活気が戻った。その活気を見た戸仁井は冬子への思いを心残りにしながら、桜ヶ浜を後にした……。 スタッフ出演者
主題歌・挿入歌主題歌「(不明)」
挿入歌「ブクブク・マンボ」
同時上映『陽気な探偵』 参考資料関連項目 |
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