安国寺 (壱岐市)
![]() 山門 安国寺(あんこくじ)は、長崎県壱岐市芦辺町深江栄触にある臨済宗大徳寺派の寺院。 歴史1338年(暦応元年)足利尊氏と直義は、平和祈願と元寇以来の戦死者の冥福を弔うために、従来あった海印寺を安国寺とした。室町時代の貴重な文化財を多く所蔵し、なかでも高麗版大般若経は国の重要文化財に指定されている。開山は観応元年(1350年)に来島した京都南禅寺の禅師無隠元晦。仏殿は安政8年(1779年)の再建。二重屋根で「師子窟」の扁額が掛かる。また境内には長崎県指定天然記念物のスギの巨木がある。[1]
高麗版大般若経1420年(応永27年)肥前国松浦郡志佐白浜の源沙弥道林が彼杵郡河棚村(現東彼杵郡川棚町)の長浜五所大明神宮に施入した大般若経一部600巻が、文明18年(1486年)出羽立石寺の如円によって、安国寺に施入替えされたものである[2][3]。大般若経591帖が6箱に収められ、安国寺経蔵に保存されていた。当初は巻物であったが、折本装に改められている。591帖の内訳は高麗時代の版本が219帖、後に補われた写本が372帖となっている。版本は高麗初雕本で、うち6帖に施入者高麗国金海府戸長礼院使許珍寿、中に契丹(遼)の重熙15年(1046年)丙戌4月の奥書がある。写本の筆写年は、建武4年(1337年)、正平18年(1363年)、建徳2年(1371年)、応安5年(1372年)から、天正元年(1573年)に至り、長い年月をかけて完成につとめたことがうかがえる。高麗初雕本は日本では珍しく、京都南禅寺に有欠本が伝わっている。 盗難→「朝鮮半島から流出した文化財の返還問題」を参照
1994年7月23日に591帖のうち493帖が宝物殿から盗まれていることが発覚した。1995年にしみや汚れ、巻末の署名などが酷似したもの3帖が韓国で「発見」され、韓国の国宝284号に指定された。日本の外務省が1998年に韓国政府に対して調査を依頼したが、個人所有であるとして返還が認められなかった。所有者は、コリアナ化粧品(코리아나화장품)会長で韓国博物館会会長の兪相玉(유상옥、ユ・サンオク)である[4]。 韓国政府との交渉2011年(平成23年)4月27日、朝鮮王室儀軌の引き渡しに関して、衆議院外務委員会で日韓図書協定が可決され、4月28日には衆議院本会議でも可決された。この儀軌引き渡しに関連して、同2011年4月、日本の外務省は大韓民国外交通商部に対し、1994年の安国寺から盗まれた「高麗版大般若経」と、2002年(平成14年)に鶴林寺から盗まれた「阿弥陀三尊像」について、韓国内流入の事実確認や詳しい経緯の再調査を要請した[5]。 この日本政府の要請に対して、韓国政府は、高麗版大般若経については確認できないとして2001年に韓国国内法において時効としていた[5]。また、「阿弥陀三尊像」掛け軸については、韓国政府の調査協力により、韓国人男性二名が韓国で実刑判決を受けたが、2011年現在、実物は行方不明のままである[5]。 →詳細は「朝鮮王室儀軌 § 日本の文化財の窃盗に関して」を参照
文化財重要文化財(国指定)
長崎県指定文化財![]() 壱岐安国寺のスギ
脚注
参考文献
周辺施設外部リンク
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