大気境界層
大気境界層(たいききょうかいそう、英: atmospheric boundary layer、ABL、planetary boundary layer、PBL、peplosphere)は、天体の大気の層の一つ。 名称Planetary Boundary Layer (PBL: 日本語に直訳すると、惑星境界層) は、英語における、大気のある他の惑星の境界層も含めた一般的な呼び方である。 気象学・環境学の分野で単純に「境界層」と言う場合は、大気境界層のことを指す。 概要気象、環境、物質循環において固体境界である地表面の影響を受ける層をいう。惑星大気の最下層にあたる。温帯域では地上からおおむね 1 km 以内。熱帯域では 2 km 以上の厚みを持つ。地表面の影響をほとんど受けない自由大気と区別される。 風向きがばらばらな乱流が支配的な層。流体力学における境界層にあたる。対流が活発な場合は厚くなり、成層が安定している場合は薄くなる。 我々が生活しているのは、まさに、この大気境界層内部である。都市気候や環境の分野において重要な役割を果たす。しかし、大気境界層は地表面の状態(たとえば、海面、内水面、水田、畑、牧草地、森林、草原、コンクリートが覆う都市など)によって変化に富んでいる。したがって、その研究には細かな観測網が必要であり、進捗状況ははかばかしくない。 境界層気象学は、この層における大気の振る舞いや気象現象について研究する学問である。 日変化と細分大気境界層自体も、いくつかの層に細分される。またこれらの分布は、時間帯によって変化する。 地面と接している一番下の接地境界層(接地層 Surface layerともいう)は、裸地の場合は地表から高度10mから50mくらい、樹木や建物などがある場合はキャノピー層とも呼び、高度がより高く風も複雑になる。気象要素の鉛直分布を見ると、ふつう、高度とともに気温・温位・混合比は低下、風速は上昇し、風向は地形などによって大きく左右される。地面や建物などの摩擦力の影響が非常に大きい層。 接地層の上端から大気境界層の上端までは全てエクマン境界層(エクマン層 Ekman layerとも言う)である。摩擦力はやや小さくなる一方、気圧傾度力やコリオリの力が大きくなり、地衡風に近い風になる。
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