増毛町(ましけちょう)は、北海道の北西部、留萌振興局管内南部にある町。町名の由来はアイヌ語の「マシュキニ」「マシュケ」(カモメの多いところ)から転じたものである[1]。
日本海の海岸美が見られる雄冬海岸と暑寒別天売焼尻国定公園の一部である暑寒別岳を抱える。歴史は古く、町内には北海道遺産に選定されたレトロな建物が立ち並ぶ。ボタンエビの漁獲高が日本一であるが、アマエビやタコなどの水揚げも多い。良質の水を利用して酒造も行われており、明治時代からある國稀酒造(元:丸一本間合名会社)は、日本最北にある造り酒屋でもある。
地理
日本海側沿岸で留萌管内南部に位置する。西部の日本海と東部の山地に挟まれた険しい地形で、ほとんどの集落は沿岸部に集中する。ただし、別苅以西の海岸は急峻な断崖が続き、国道231号開通までは船以外の交通手段がほぼ存在しない「陸の孤島」であった。
- 山(括弧内の数字は標高):暑寒別岳 (1,491 m)、群別岳 (1,376 m)、浜益岳 (1,258 m)
- 河川:信砂川、箸別川
隣接している自治体
気候
日本海側の気候であり、冬は雪が多く日照が非常に少ない。夏と冬の寒暖差が少なく、北海道内では比較的温和な気候である。まれに南風が吹くとフェーン現象が発生して気温が上がることがある。
増毛(1991 - 2020)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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10.9 (51.6)
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15.3 (59.5)
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17.5 (63.5)
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27.7 (81.9)
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32.4 (90.3)
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30.5 (86.9)
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33.6 (92.5)
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34.2 (93.6)
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33.5 (92.3)
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29.2 (84.6)
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22.0 (71.6)
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15.9 (60.6)
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34.2 (93.6)
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平均最高気温 °C (°F)
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−0.7 (30.7)
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−0.2 (31.6)
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3.5 (38.3)
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9.9 (49.8)
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15.6 (60.1)
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19.0 (66.2)
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23.0 (73.4)
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24.7 (76.5)
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21.6 (70.9)
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15.5 (59.9)
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8.1 (46.6)
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1.7 (35.1)
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11.8 (53.2)
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日平均気温 °C (°F)
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−3.3 (26.1)
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−3.0 (26.6)
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0.5 (32.9)
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6.0 (42.8)
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11.4 (52.5)
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15.4 (59.7)
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19.5 (67.1)
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20.9 (69.6)
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17.4 (63.3)
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11.5 (52.7)
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4.9 (40.8)
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−1.0 (30.2)
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8.4 (47.1)
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平均最低気温 °C (°F)
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−6.4 (20.5)
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−6.4 (20.5)
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−3.0 (26.6)
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1.9 (35.4)
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7.1 (44.8)
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11.8 (53.2)
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16.3 (61.3)
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17.3 (63.1)
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13.3 (55.9)
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7.5 (45.5)
|
1.7 (35.1)
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−3.7 (25.3)
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4.8 (40.6)
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最低気温記録 °C (°F)
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−17.4 (0.7)
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−16.3 (2.7)
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−15.1 (4.8)
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−7.1 (19.2)
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−1.7 (28.9)
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2.4 (36.3)
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7.4 (45.3)
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9.5 (49.1)
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4.5 (40.1)
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−1.3 (29.7)
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−7.7 (18.1)
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−16.3 (2.7)
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−17.4 (0.7)
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降水量 mm (inch)
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79.5 (3.13)
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52.2 (2.055)
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48.2 (1.898)
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42.1 (1.657)
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54.6 (2.15)
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54.4 (2.142)
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104.3 (4.106)
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121.6 (4.787)
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143.4 (5.646)
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142.3 (5.602)
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145.6 (5.732)
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98.0 (3.858)
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1,085.9 (42.752)
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平均降水日数 (≥1.0 mm)
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17.0
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12.9
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11.7
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9.9
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9.8
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8.5
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9.2
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10.5
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13.0
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14.7
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18.0
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18.3
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153.3
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平均月間日照時間
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38.1
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62.2
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127.0
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179.4
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206.7
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176.3
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172.5
|
176.9
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168.7
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121.3
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52.6
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28.2
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1,509.9
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出典:気象庁
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歴史
かつては増毛支庁が置かれ、この地域の中心であった。現在は支庁が留萌市に移転し留萌振興局となっている。
経済
漁業が盛ん。昭和30年ごろまでは千石場所が置かれニシン漁で栄えたが、資源枯渇により漁獲量が激減。太平洋戦争後は近海漁業、水産加工が中心となった。漁業のほかには商業、農業(主に果樹栽培)、工業(食品工業)があるが、特にどの産業に依存するということはなく縮小均衡している。
農協・漁協
郵便局
- 増毛郵便局(集配局)
- 舎熊郵便局(集配局)
- 別苅郵便局
- 雄冬郵便局
公共機関
地域
人口
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増毛町と全国の年齢別人口分布(2005年)
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増毛町の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 増毛町 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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増毛町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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10,962人
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1975年(昭和50年)
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9,312人
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1980年(昭和55年)
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8,319人
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1985年(昭和60年)
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8,011人
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1990年(平成2年)
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7,166人
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1995年(平成7年)
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6,652人
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2000年(平成12年)
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6,167人
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2005年(平成17年)
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5,708人
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2010年(平成22年)
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5,080人
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2015年(平成27年)
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4,497人
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2020年(令和2年)
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3,908人
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総務省統計局 国勢調査より
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消滅集落
2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[3]。
教育
閉校した学校
- 道立高等学校
- 中学校
- 小学校
- 新信砂、歩古丹、信砂、舎熊(しゃぐま)、阿分、別苅
- 小中学校
- 信砂御料、岩老、雄冬(現在は増毛町雄冬自然体験館)[4]、雄冬地区の避難所にも指定[5])
交通
鉄道
現在、町内に鉄道路線は通っていない。以前はJR北海道留萌本線が通っていたが、町内の区間は2016年(平成28年)12月5日に廃止された。町内には増毛駅、箸別駅、朱文別駅、舎熊駅、信砂駅、阿分駅があった。
バス
- 沿岸バス
- 札幌市までの長距離高速バス路線「特急ましけ号」、留萌市と増毛町中心部および大別苅を結ぶ「留萌別苅線」が運行されている。
道路
文化財
重要文化財(建造物)
町指定史跡
- 開拓使増毛船改所跡
- 御料局札幌支庁増毛出張所跡
- 増毛運上屋跡
- 津軽藩増毛勤番越年陣屋跡
- 秋田藩増毛元陣屋跡
- 増毛治安裁判所跡
- 秋田藩元陣屋第一台場跡
- 開拓使増毛外五郡役所跡
- 官立札幌病院増毛出張所跡
- 山口藩増毛出張所跡
- 雄冬冷清水
- 雄冬遺跡
- 松浦武四郎信砂越えの地
- 増毛土木派出所跡
- 入船町浜茶屋跡
- 旧増毛山道入口
- 増毛郡役所出張所跡
- 旧高橋農場跡
- 別苅発祥の地
- 普伝寺跡
- 秋田藩元陣屋第二台場跡
- 仁奈良山道仁奈良駅逓跡
- 水戸藩主一行宿営の地
- 舎熊遺跡
- 阿分発祥の地
- 増毛新廓跡
- 信砂水田発祥の地
- リンゴ栽培の父藤原筆吉翁の碑
- 増毛税務署跡
- 天塩国水産会さけます孵化場跡
その他
- 増毛厳島神社本殿 - 町指定有形文化財
- 雄冬神楽 - 町指定無形文化財。増毛町雄冬の雄冬神社
神社
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
観光
出身の有名人
作品
増毛駅、雄冬岬などが映画『駅 STATION』のロケ地になった。
脚注
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
増毛町に関連するカテゴリがあります。