堀川波鼓(ほりかわなみのつづみ)は、近松門左衛門作の浄瑠璃[1]。3段の世話物[1]。初演座は大阪竹本座[1]、初演年は諸説[注 1]。
概要
鳥取藩士が妻敵を討った事件を脚色したもので[1]、能『松風』をモチーフとして書かれた[2]。『大経師昔暦』『鑓の権三重帷子』とともに、近松三大姦通物の一つ[1]。初演以来、再演の記録がなかったが、1964年に復活公演が行われた[2]。これを映画化したものに『夜の鼓』(今井正監督)があり[3]、新劇では俳優座が『つづみの女』(田中澄江脚本)として上演した[4]。
あらすじ
鳥取藩士小倉彦九郎の妻・たねは、夫の江戸勤番の折、酒乱のためにふとしたことから過ちを犯し、鼓師宮地源右衛門の子を身ごもる。彦九郎は広がった悪い噂を一喝し、たねの妹ふぢも一計を案じて事を穏便に済まそうとするが、嫁ぎに出た彦九郎の妹ゆらが不義者の身内として離縁されたため、ついにたねに詮議が及ぶ。隠しきれなくなったたねは、夫への忠節を示すため陰腹を割り、非を詫びながら夫の手で絶命する。たねの妻仇を討つべく、彦九郎は復讐に燃える妹らを連れて宮地宅へ討ち入り、本懐を果たすのであった。
脚注
注釈
- ^ 精選版日本国語大辞典「1706年頃」、デジタル大辞泉・大辞林第3版「1707年」、世界大百科事典第2版・日本大百科全書(ニッポニカ)「1711年正月以前」[1]、文化デジタルライブラリー「1706年6月以降~1707年2月15日以前(推定)」[2]
出典
関連項目
- 夜の鼓 - 同作をモチーフとする1958年の日本映画