坂川鉄道

坂川鉄道
概要
現況 廃止
起終点 起点:新坂下駅
終点:丸野駅
駅数 6駅
運営
開業 1926年12月12日 (1926-12-12)
廃止 1944年12月1日 (1944-12-1)
所有者 坂川鉄道
使用車両 車両の節を参照
路線諸元
路線総延長 10.5 km (6.5 mi)
軌間 762 mm (2 ft 6 in)
電化 全線非電化
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線(廃止当時)
exSTR+l exSTRq
0.0 新坂下
xKRZt tSTReq
坂下
exSTRl exSTR+r
国鉄中央本線(→名古屋)
exBHF
2.8 稲荷堂
exBHF
3.2 上大門
exBHF
4.9 森平
uexSTRq exmABZg+r
田立森林鉄道
exBHF
8.0 奥屋
10.5 丸野
uexSTR
坂下森林鉄道

exSTR STR
普通鉄道
uexSTR
森林鉄道





坂川鉄道(さかがわてつどう)は、かつて岐阜県恵那郡坂下町(現・中津川市)の新坂下駅と、恵那郡川上村(現・中津川市)の丸野駅を結んでいた鉄道路線軽便鉄道)を運営していた鉄道事業者である。本社は岐阜県恵那郡川上村170番地にあった。

本項目では接続していた坂下森林鉄道田立森林鉄道も併せて触れる。

保有路線

木曽川の支流川上川沿いに存在した。木材運搬を目的とした森林鉄道であるが、トロッコを利用して旅客営業が行なわれ、一日3往復程度運行されていた。丸野駅から先には坂下森林鉄道、途中駅の奥屋駅からは田立森林鉄道が接続していた。運営は川上村と宮内省(株式の過半を保有)が行なっていた。これは周辺の森林が神宮林(神宮備林)の一部であったことによる。

路線データ

廃止時

  • 路線距離(営業キロ):新坂下駅 - 丸野駅間 10.5 km
    • 旅客営業区間:新坂下駅 - 奥屋駅間 8.0 km
  • 軌間:762 mm
  • 駅数:6駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式:タブレット閉塞式[1]

歴史

  • 1924年大正13年)
    • 6月21日 坂川鉄道に対し鉄道免許状下付(恵那郡坂下町-同郡川上村間 動力瓦斯)[2]
    • 8月4日 坂川鉄道株式会社設立(役員は川上村在住)[3][4]
  • 1926年(大正15年)12月12日 坂川鉄道線 新坂下駅 - 丸野駅開通[5]
  • 1928年昭和3年) 内燃併用
  • 1944年(昭和19年)12月1日 廃止[6]。林野局に譲渡され、坂下森林鉄道の一部となる
  • 1956年(昭和31年) 坂下森林鉄道の旧坂川鉄道線区間廃止
  • 1958年(昭和33年) 田立森林鉄道廃止
  • 1961年(昭和36年) 坂下森林鉄道廃止[7]

鉄道用地取得では買上価格について地主と話がなかなかまとまらなかった。結局町の有力者が話し合いの席につくことにより決着をみた。しかしそのときの条件については口約束であったため廃線後に再燃したという[8]

駅一覧

新坂下駅 - 稲荷堂駅 - 上大門駅 - 森平駅 - 奥屋駅 - (丸野駅

接続路線

  • 新坂下駅:国鉄中央本線(坂下駅)

輸送・収支実績

年度 乗客(人) 貨物量(トン) 営業収入(円) 営業費(円) 益金(円) その他損金(円)
1927 26,124 7,831 21,242 17,740 3,502
1928 19,236 8,723 20,997 17,708 3,289
1929 22,432 11,269 26,468 26,478 ▲ 10
1930 9,852 7,337 17,299 16,641 658
1931 7,562 8,526 17,415 13,540 3,875
1932 11,858 6,999 14,489 12,900 1,589
1933 14,072 11,265 23,895 14,309 9,586
1934 12,150 6,199 14,505 14,336 169
1935 12,548 12,817 26,651 16,340 10,311
1936 10,948 4,470 10,864 16,334 ▲ 5,470 85
1937 14,915 7,115 15,710 15,572 138
1939 17,663 8,402
1941 22,722 10,097
1943 26,746 10,573
  • 鉄道統計資料、鉄道統計、国有鉄道陸運統計各年度版

車両

ドイツコッペル社製の蒸気機関車2両(1・2)を使用していた。山林地帯の為、火の粉が煙突から出ないように、煙突に特徴があった。廃線後は田立森林鉄道で使用され1952年(昭和27年)に廃車された。

現在

中津川市川上付近。一部保存された坂川鉄道の橋梁(2011年10月撮影)
  • 濃飛バス夕森線が、坂川鉄道の路線に該当する。
  • 終点の丸野駅付近の夕森公園には、当時の橋梁の一部が保管され、ディーゼル機関車貨車が保管されている。ただし車両は当地で使用されたものではなく、長野県の森林鉄道の車両である。

坂下森林鉄道

坂川鉄道の丸野駅から先、奥三界岳の麓に延びていた森林鉄道。長野営林局坂下営林署が運営していた。

歴史

  • 1926年大正15年) 開業 (8.7 km)
  • 1944年昭和19年) 坂川鉄道の廃止に伴い路線を継承、路線距離は19.2 km
  • 1956年(昭和31年) 旧坂川鉄道の区間を廃止し路線縮小
  • 1961年(昭和36年) 全線廃止

田立森林鉄道

坂川鉄道の奥屋駅から先、岐阜県と長野県境の川上峠(長野県西筑摩郡田立村。現・木曽郡南木曽町)に延びていた森林鉄道。長野営林局坂下営林署が運営していた。

歴史

  • 1933年(昭和8年) 開業 (2.1 km)
  • 1958年(昭和33年) 廃止

その他

  • 坂川鉄道の開業前には、飛騨索道という貨物専用の索道があり、重宝されていた。

脚注および参考文献

  1. ^ 国立公文書館所蔵文書 本館-3A-013-04・昭47運輸00526100「第一門・監督・二、地方鉄道・イ、免許・坂川鉄道・大正十三年~昭和九年」No.17「新坂下丸野間運輸営業開始ノ件」p.9
  2. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1924年6月25日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ 『日本全国諸会社役員録. 第34回』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 『地方鉄道及軌道一覧 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1926年12月23日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「鉄道運輸営業廃止」『官報』1944年12月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 1963年3月廃止の資料もある(ただし典拠不明)
  8. ^ 『坂下町史』1963年、536-537頁
  • 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳』 7 東海、新潮社、2008年。ISBN 978-4-10-790025-8 
  • 小熊米雄『日本の森林鉄道』プレスアイゼンバーン、1989年

関連項目

外部リンク