叶 恭弘(かのう やすひろ、1970年〈昭和45年〉12月16日[1] - )は、北海道十勝地方出身[2]の日本の漫画家。
1992年に『週刊少年ジャンプ増刊』1992 AUTUMNに読切作品「BLACK CITY」が掲載後、『週刊少年ジャンプ』およびその増刊号で作品発表を続け、2002年『プリティフェイス』、2006年『エム×ゼロ』、2011年『鏡の国の針栖川』、2014年『KISS×DEATH』、2020年『きるる KILL ME』をそれぞれ連載。
経歴
高校時代まで北海道で過ごす。投稿作「BLACK CITY」が1992年1月期第83回ホップ☆ステップ賞にて入選、同作がそのまま『週刊少年ジャンプ増刊』1992 AUTUMNに掲載され、好評を博す[3]。それ以降、『週刊少年ジャンプ(WJ)』や増刊誌で読切作品を発表し続け、1996年には短編集『BLACK CITY』を発刊。その他、夢幻原作の『MIDNIGHT MAGIC』の読切漫画と小説の挿絵を担当。
その後、叶自身が「年平均一本というノロノロペース」[4]と述べる執筆間隔で読み切り作品の発表を続け、2002年『週刊少年ジャンプ』24号より『プリティフェイス』を連載開始(2003年28号で連載終了)。
2003年に短編集第2弾『TOKYO ANTS』を発刊した後、いくつかの読切を発表する。『週刊少年ジャンプ』2006年23号より、『エム×ゼロ』を連載開始(2008年25号で連載終了)。また、同作連載中に3作目の短編集『Snow in the Dark』を発刊。その後も、『赤マルジャンプ』や『ジャンプSQ』などで新作読切を発表。『週刊少年ジャンプ』2011年31号より、『鏡の国の針栖川』を連載開始(2012年10号で連載終了)。
『週刊ヤングジャンプ』2013年7号に初の青年雑誌向けとなる『ヴェツノバ』、『週刊少年ジャンプ』同年21号に『ぶらんにゅー SCHOOL DAY』、2014年のデジタル増刊号『ジャンプLIVE』2号に『WHITE東京』等、読切作品を中心に活動を続ける。2014年9月より、ウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』にて連載『KISS×DEATH』を開始(2018年4月で連載終了)。2020年2月より、『少年ジャンプ+』にて連載『きるる KILL ME』を開始(2022年、58話で休載することが発表され、2024年現在も休載中)。
作風
ラブコメ的な要素の強い作品を多く手がけているが、作者自身は描いていて楽しかった読切作品として(シリアスなストーリーの)「PROTO ONE」「Snow in the Dark」を挙げており「基本的に暗い話を描くのが好きなようだ」とのこと[5]。『エム×ゼロ』『鏡の国の針栖川』など連載作品を中心に、どちらかといえば非科学的な題材が多いが、本人は非科学的なものは信じないタイプ。ただ、映画や漫画ではそういうジャンルは大好きで「そういう(非科学的な)題材でないとなかなか見ようとは思わないくらい」と語る[6]。「仕事の遅い僕としては週刊連載というのはほとんど不可能に近い」[7]と自評するほどゆっくりとした執筆ペースであり、作業時間短縮のために中期作品から3DCGやデジタル作画も積極的に取り入れている。しかし便利さは認めつつも自身の手描きへのこだわりから「作画の快感が創作活動のエネルギーの一部なので(『鏡の国の針栖川』で完全デジタル作画化したことを)少々後悔している」とコメントしている[8]。
作品リスト
すべて2024年現在。
漫画作品
各作品の詳細などについてはリンク先の各記事を参照
- 掲載誌は全て集英社発行
- 『週刊少年ジャンプ』の増刊については「WJ増刊 《個別誌名》」の形で記載
- 掲載誌のソートは刊行頻度(週刊)を除いた名称で行う。また、『週刊少年ジャンプ』の増刊号については個別の誌名を無視し、「少年ジャンプの増刊号」としてソートする
- 「収」欄は収録単行本を「略号x-y」の形で記載。略号対応は#単行本を参照。「x」は収録巻、「y」は各単行本内での収録順を示す
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タイトル |
種 |
掲載誌 |
収 |
備考
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01
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ふらつくしていいBLACK CITY |
2読切 |
3WJ増刊 1992年オータムスペシャル |
短1-1 |
ジャンプデビュー作。超能力者達の戦いを描く
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02
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けいたふたり恵太二人 |
2読切 |
2週刊少年ジャンプ 1993年12号 |
短1-2 |
二重人格を持った暗殺者を描いた作品
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03
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みつとないとましつくMIDNIGHT MAGIC |
2読切 |
2週刊少年ジャンプ 1994年49号 |
- |
原作:夢幻。吸血鬼探偵の物語
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04
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ふろとわんPROTO ONE |
2読切 |
3WJ増刊 1995年オータムスペシャル |
短1-3 |
平凡な家庭に育つ一郎の日常は、 彼そっくりの少年に出会った事で狂い始める。 作者渾身のシリアスSF作品
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05
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しゆえるおふらふJEWEL OF LOVE |
2読切 |
3WJ増刊 1996年WINTER |
短1-4 |
現実化したゲームキャラを描いた作品
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06
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すわろうている蝶 -swallow tail- |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 1998WINTER |
短2-4 |
絵柄を大きく変えたホラー漫画
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07
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えんま1ENMA |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 1999SUMMER |
短2-2 |
嘘を見抜く能力を持った刑事の活躍を描く
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08
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えんま2enma |
2読切 |
2週刊少年ジャンプ 2000年25号 |
短2-3 |
原作:大河原遁、「ENMA」の前日談
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09
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とおきよおあんつTOKYO ANTS |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 2001WINTER |
短2-1 |
超巨大企業の裏で暗躍するエージェント達「ANTS(蟻)」を描いた作品
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10
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ふりていふえいす1プリティフェイス |
1連載 |
2週刊少年ジャンプ 2002年24号 - 2003年28号 |
P |
交通事故と整形手術と誤解の結果、ヒロインの双子の姉と 入れ替わり生活を送る事になってしまった少年の物語
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11
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ふりていふえいす2プリティフェイス番外編 逃げて走って修学旅行 |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 2003SUMMER |
P6 |
後日談。修学旅行中の那須温泉での話
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12
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きりのさあことなかまたち桐野佐亜子と仲間たち |
2読切 |
2週刊少年ジャンプ 2004年19・20号 |
短3-4 |
原作:二戸原太輔。超能力「天啓」を悪用する犯罪者達と、 それと対決する個人事務所の物語
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13
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しいもんきいし〜もんき〜 |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 2004SUMMER |
短3-2 |
孤島の研究所を舞台にしたラブコメディ
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14
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すのういんさたあくSnow in the Dark |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 2004WINTER |
短3-3 |
童話『白雪姫』を元にしたダークファンタジー
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15
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えむひいせろMP0 |
2読切 |
2週刊少年ジャンプ 2005年03・04合併号 |
短3-1 |
「エム×ゼロ」のプロトタイプ作品
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16
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えむせろエム×ゼロ |
1連載 |
2週刊少年ジャンプ 2006年23号 - 2008年25号 |
M |
魔法が使えない事を隠し、魔法学校に通う主人公の奮闘を描いた 学園コメディ
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17
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ときときさまあひいちドキドキSUMMER BEACH |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 2008SUMMER |
- |
沖縄へ修学旅行に来た男女のラブコメディ。袋とじオールカラー8P
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18
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あかすきんえりいさ赤ずきんエリーザ |
2読切 |
4WJ増刊赤マルジャンプ 2009SPRING |
- |
童話『赤ずきん』を元にした艶笑コメディ
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19
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るうふL∞P |
2読切 |
1ジャンプスクエア 2009年8月号 |
- |
同じ運命を繰り返す男の奇妙な物語
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20
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こおすとしむゴースト・ジム |
2読切 |
5WJ増刊ジャンプNEXT! 2010SUMMER |
- |
19世紀を舞台にしたマッド・サイエンティストとメイドの ドタバタコメディ
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21
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かかみのくにのはりすかわ鏡の国の針栖川 |
1連載 |
2週刊少年ジャンプ 2011年31号 - 2012年10号 |
か |
呪いの鏡に閉じ込められてしまった男の不思議な恋愛物語。 連載終了直後に番外編が掲載されたが作者判断[9]により単行本未収録
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22
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うえつのはヴェツノバ |
2読切 |
5週刊ヤングジャンプ 2013年7号 |
- |
初の青年誌向け作品。SNSをモチーフにしたVR漫画
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23
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ふらんにゅうすくうるてい ぶらんにゅー SCHOOL DAY |
2読切 |
5週刊少年ジャンプ2013年21号 |
- |
中学時代までモテなかった男女2人の「高校デビュー」物語
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24
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ほわいととうきよう WHITE東京 |
2読切 |
5ジャンプLIVE 2号 |
- |
記録的な豪雪に見舞われた東京を舞台にしたラブコメディ
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25
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きすてすKISS×DEATH |
1連載 |
2少年ジャンプ+ 2014年1号 - 2018年4月5日 |
K |
地球人に寄生し潜伏する宇宙犯罪者との戦いを描くSFラブサスペンス
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26
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きるるきるみいきるる KILL ME |
1連載 |
2少年ジャンプ+ 2020年2月23日 - 連載中 |
き |
美少女暗殺者に恋をした主人公は驚くべき行動に出る。 先が読めない展開の極限ラブコメディ(58話より2024年現在、長期休載中)
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単行本
書誌情報の詳細などについてはリンク先の各記事を参照。
- いずれも集英社の〈ジャンプ・コミックス〉より新書判で発行。
- デフォルトでの表記は初巻の発行順とし、短編集については最後にまとめた。
- 「略」欄は上記#漫画作品の収録欄で用いている略号を示す。
その他
関連人物
友人
- 藤崎竜 - 道元と共に藤崎の読切「DIGITALIAN」の制作を手伝った[10]。『WJ』2002年34号の巻末コメントでは叶が藤崎の作品について言及していた
- 道元宗紀 - 共に藤崎の読切「DIGITALIAN」の制作を手伝った[10]
アシスタント
脚注
- ^ まんがseek・日外アソシエーツ『漫画家人名事典』日外アソシエーツ、2003年2月25日、106頁。ISBN 4-8169-1760-8。
- ^ 『エム×ゼロ』第4巻p.187
- ^ 『BLACK CITY 叶恭弘短編集』p.36。掲載後の高評価だけでなく、掲載前からファンレターが届くなど本人や編集部も驚くほどの反響だったという。
- ^ 『TOKYO ANTS 叶恭弘短編集II』作者コメント
- ^ 『Snow in the Dark 叶恭弘短編集III』p.147
- ^ 『プリティフェイス』第4巻作者コメント
- ^ 『プリティフェイス』第1巻作者コメント
- ^ 『鏡の国の針栖川』第2巻作者コメント
- ^ 週刊少年ジャンプ2012年11号『鏡の国の針栖川 番外編 玉造リターンズ』p445。連載時よりもコメディとお色気を強調した内容で「他と毛色が違う」と作者が判断したため。
- ^ a b 藤崎竜『PSYCHO+ 2 DRIVE B GAME OVER』p.207
- ^ a b 『プリティフェイス』第6巻p.206
- ^ 『BLACK CITY 叶恭弘短編集』p.207
- ^ Martigan Par Val (2020年7月10日). “Gege Akutami : «Pour le héros de mon manga, je me suis inspiré de mon frère»” (フランス語). ル・フィガロ. 2021年5月24日閲覧。