協奏曲「ダンバートン・オークス」室内オーケストラのための協奏曲 変ホ長調「ダンバートン・オークス」(Concerto in E-flat (Dumbarton Oaks))は、イーゴリ・ストラヴィンスキーによる室内楽編成の協奏曲。新古典主義時代のストラヴィンスキーが作曲した、2つある室内楽編成の合奏協奏曲のうちの1つである。 成立の経緯1937年、『カルタ遊び』の初演のためにストラヴィンスキーはアメリカ合衆国を訪れた。その際、ワシントンD.C.在住の政治家ロバート・ウッズ・ブリス夫妻より、自身の結婚30年の祝賀音楽として依嘱された。ブリス夫妻は有名な芸術家のパトロンであり、ダンバートン・オークスの住居は邸宅と優れた庭園によって知られていた[1]。 1937年から1938年にジュネーヴ近郊のアンヌマスで作曲された[2]。また、ストラヴィンスキーがヨーロッパ時代に完成させた最後の作品でもある。 演奏1938年に(ストラヴィンスキーの崇拝者を自認していた)高名な音楽教師で指揮者のナディア・ブーランジェが、作曲者自身の招請により、5月8日にワシントンDCにおいて初演を指揮した。当時ストラヴィンスキーは結核のため療養中で、世界初演に立ち会ってはいない。 ストラヴィンスキー自身は10年後の1947年にダンバートン・オークスでこの曲を演奏している[3]。 1972年6月23日にニューヨーク・シティ・バレエ団によってバレエとして初演された[4]。 自筆譜は、ワシントンDCのダンバートン・オークス研究所附属図書館の稀書コレクションに収蔵された。 ストラヴィンスキー本人が2台ピアノ版を作成したほか、レイフ・ティボが1952年にオルガン用の編曲を行なった。 比較的小編成で変拍子が多いので指揮の課題によく使われる。 楽器編成フルート1、クラリネット1、ファゴット1、ホルン2、ヴァイオリン3、ヴィオラ3、チェロ2、コントラバス2。 演奏時間約14分(各4分、5分、5分)。 楽章構成以下の3楽章より成るが、全楽章を連続して間断なく演奏される。
擬似バロック様式の合奏協奏曲という発想は、バッハの《ブランデンブルク協奏曲》に触発されており、とりわけ第3楽章の多声的な書法に顕著である(このような着想において、おそらくサミュエル・バーバーの《カプリコーン協奏曲》に影響を与えた作品といえよう)。上声を担当する弦楽器の三重奏という編成も《ブランデンブルク協奏曲》に由来する。それぞれの楽器は、曲の進行に応じて、合奏の一員として、また独奏楽器として扱われる。対位法的な性格の楽曲であり、とりわけ両端楽章はそうであるが、しかしながら中間楽章は、動機労作やフーガ的な書法による手の込んだ両端楽章からの小休憩であり、旋律の断片によって組み立てられた、比較的くつろいだ性格になっている。 脚注
参考資料
外部リンク
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