利用者:Akaniji/Wikipedia:要約引用のガイドラインウィキペディアは三大方針としてWikipedia:検証可能性を掲げており、文献に基づくことで記事の正確性を期しています。これに関連して「文献に基づく」という言葉が出てきますが、これは「既刊文献から転載せよ」ということではなく、記述の根拠として文献を添えよ、ということです。そこで、丸写しや転載は避け、原典のうち必要な要素だけを抄録し、百科事典風の言い回しに変えることで複製の要件を避けるということが行われています。しかし、言い回しを変えるだけでは著作権侵害のリスクは免れられません(無断転載を避けても二次的著作物の域を出ない場合、無断翻案の謗りを受ける可能性がある)。ここでは、言い回しを変えて行う抄録記述(いわゆる「要約引用」)について、どのように行えば著作権侵害(無断翻案)を免れられるか、解説します。 結論
その上で、文献を添える際は「出どころ(出典)」としてではなく「拠りどころ(論拠)」として扱う。 抄録部分は内容的同一性を保つ[1]。 文献の文章を元に執筆するのではなく、自作の文面を一から別個書き起こし、その文面に文献を論拠として後添えする執筆姿勢が重要。 コツ
地の文を自作の文面で行い、引用や指示的抄録を行わないのがポイント。脚注からの文献参照は、ハーバード方式で行うとよい(というか、refタグ内にrefタグが置けないので、バンクーバー方式は不可能)。 理由
著作物は次の3つに分類することができます。
1と2は原典の著者に複製(転載)や翻案の許諾を得る必要があります。ウィキペディアは複製や翻案の許諾が不要なものしか受け入れませんから、認められません。ウィキペディアは3の「既刊文献とは別の新しい著作物」でなければならないのです(さもなければ、無断転載、無断翻案の著作権侵害サイトの汚名を着ることになるでしょう)。ウィキペディアが目指すのは、既刊文献の指示的抄録(と、著作物性のない一部の報知的抄録)を、記事の正確性を期すために効果的に織り交ぜた、新しい著作物です。 抄録は次の2つに分類されます[2]。
報知的抄録の二次的著作物として著作権侵害 著作物性のない範囲に限った要約を指示的抄録 要約引用の是非いわゆる要約引用は学術論文の世界では普通に行われています[3]。学術論文で行われている要約引用を、著作権法上の「引用」とみて合法とみなす学者と[4]、著作物性のない「抄録」とみて合法とみなす学者がいます[5]。抄録は要約との区別が難しく、指示的抄録(紹介する論調で、詳細は載せないよう配慮した抄録)であれば無断で行ってよく、報知的抄録(内容の詳細にまで踏み込んで報じる抄録)はダイジェスト(要約)とほぼ同義であるとして許諾が必要になる、とする見解もあります(小野寺1991年816頁目、表1 (b))。 不法行為による財産権侵害想像してください。あなたは記者です。取材に何年もの時間と労力と資金を費やし、『労作』を完成させました。刊行からひと月。ネットで検索しても、書評などがかなりあり、市場の反応は好調。…と、ウィキペディアが検索にヒット。見てみたら…字句は変更されているが、内容はほとんど『労作』と一緒!出典として挙げられてはいるが、これじゃあ、『労作』を読まなくても内容全部理解できちゃうじゃないか!さぁ、どんな気持ちになりますか…? 知財保護は、著作権や特許だけで行われるわけではありません。民法(第709条等)の「不法行為」や不正競争防止法も関連してきます[6]。実際、著作権による保護は認められずとも、不法行為として損害賠償命令が出た事例があります[7][8]。日本では民法第709条ですが、世界的にはデータベースを保護する法律ができつつあります[6]。なお、日本の不正競争防止法2条3号は「商品形態模倣行為」を禁じており、例えば2010年7月31日に刊行された『労作』を模倣した商品の販売は3年間、2013年7月30日まで禁止されます(ウィキペディアはCC-BY-SAであり、商用利用を認めているため、抵触が懸念される)。 原著者の財産権を侵害しないよう、指示的抄録に留める心がけが大切です。マニアックな情報は「この件については、山田(2010: 77)が詳しい解説書を刊行している。詳細は掲書を参照されたい。」とすればいいのです。 抗弁これまで「書きすぎてはいけない」旨を解説してきましたが、あまりこれを突き詰めると何も書けなくなってしまいます。著作権や不法行為による権利主張は、いずれも財産権の独占を目的とするものです。何でもかんでも独占が認められるはずはありません。創作性がないものに著作権による保護は与えられませんし、大して労力や資金を投資してもいない誰でもすぐ作れるようなデータベースの要約引用が、不法行為として損害賠償請求対象になろうはずはありません。実際、電話帳の要約引用は、著作権侵害も不法行為も、否定されています[9]。 原作から要約引用した範囲に、著作物性や、莫大な投資金額・労力がかかっているかどうか。なければ、要約引用は自由なはずです。 脚注
参考文献
関連項目
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