利用者:青子守歌/記事本文中への主要執筆者表示機能の検討
ウィキメディアではウィキソフトウェアにMediaWikiを利用しているため、ページへの編集は全て履歴に保存され、誰がいつどのような編集をしたのか、全て確認することができます。 ですので、逆にこの履歴を確認さえすれば、その記事を誰が書いたのかを知ることができますが、しかし通常の閲覧でその記事の履歴を見ることはあまりなく、その記事に大きく貢献した人の名前が隠れてしまっているのが現状です。 そこでここでは、履歴で確認するのではなく、記事本文中へ、その記事への貢献者(主要執筆者)の名前を表示する機能をつけることで、彼ら、彼女らの貢献を、もっと広く分かりやすく知らしめる方法について検討します。 このような機能の必要性ここでは、なぜこのような機能が必要であるのかを述べます。 執筆者の意欲ウィキペディアにおいて、記事の執筆は全てボランティアで行なわれており、金銭的その他の物理的報酬はありません。 つまり、ウィキペディアは、その執筆者の活動意欲にのみ頼って、運営・執筆されているといっても過言ではなく、この意欲の向上は大変重要な課題となっています。 Yghwtrrl[1]は、そのような活動意欲の向上のため、良い記事を書いた人に対して「賞賛する」「感謝する」「自己顕示欲を満たしてあげる」といったことを積極的に行なうことを表明し、提案しています。 また、R.Lucy[2]は、活動意欲向上のための、主に書かれた記事の評価による、制度的な面からの支援を検討しています。 このように、ウィキペディアにおいて、執筆者や記事そのものに対する評価・閲覧・賞賛・どこかへの掲示は、執筆者の活動意欲の維持・向上につながり、ひいてはウィキペディアの更なる発展へとつながります。 現在の制度「執筆者の意欲」節で述べたような役割を果たす制度が、ウィキペディア日本語版にも現在いくつか存在しており、 といったものが主な制度としてあげられます。 しかし、前者3つについて、Yghwtrrlは「バーンスターはおしつけがましい」「ウィキマネーは機能していない」「月間感謝賞は投票しなければならず煩わしいい」と述べています[3]。また、月間感謝賞については、「馴れ合い」によりこの制度が成立していないとの指摘もあります[4]。 また、後者については、R.Lucyは「秀逸な記事が、記事における最終到達地点」としながらも「その敷居が高すぎる」と述べており[5]、Yghwtrrlも秀逸な記事に関しては同様の見解をもち、さらに他の制度についても、手続きが煩雑であると述べています[3]。また、秀逸な記事よりも敷居を低くするためにR.Lucyらによって制度化された「おすすめ記事」について、Yghwtrrlは「理念を失い廃墟化している」と批判しています[3]。 このように、現在のウィキペディア日本語版の制度では、「執筆者の活動意欲」を維持・向上させる機能があまりうまく働いていないのが現状です。 また、仮にこれらがうまく働いていたとしても、そのほとんどがいわゆる「内部向け」の制度であり、通常の閲覧者にはなかなか目の付かない場所で行なわれるものです。秀逸な記事やメインージ新着記事に選ばれれば、記事の右上に小さな星マークがついたり、またメインページへその記事のダイジェスト版が掲載されることもありますが、ウィキペディアを閲覧する大多数の人が、メインページからではなく、検索エンジン等から記事への直接リンクによって訪問することを考えれば、広く一般の閲覧者に知ってもらうという役割は、十分とは言えないと考えられます。 記事の主要執筆者をもっと広く知ってもらうために「執筆者の意欲」節で述べたように、執筆者の活動意欲の維持・向上には、その活動を評価し、その執筆者あるいは記事名を広く知らしめることが大きな効果があるだろうと考えられます。 しかし、「現在の制度」節でみたように、現況では、ウィキペディア日本語版における制度では、そのような効果が薄いことが分かります。 ここまで考えてきたことを整理し、執筆者の意欲向上のための機能に必要な効果を考えると、それは以下のようになると考えられます。
しかし一方で、このような機能が、記事の閲覧や執筆、再利用の邪魔になるものは好ましくありません。 記事はあくまで閲覧する人のために書かれるものであるからで、執筆者の都合で閲覧者の不都合を起こしていては意味がありません。 そして、以上のような効果をもつ機能として、本論で提案するのが記事本文中へ、その記事の主要執筆者の名前を表示する機能です。 表示機能の具体的な内容ここでは、「記事本文中にその記事の主要執筆者の名前を表示する機能」(以下、本機能)について、その手法や効果、問題点と改善案などを検討します。 概要本機能は、名前の通り、記事の主要執筆者の名前の一覧を、その本文中において表示する機能です。 表示する位置は、記事の最下部、図1の黄色く塗られた位置に該当し、ソース上では、カテゴリやインターリンクの上に表示します。 そして、肝心の「主要執筆者」の抽出ですが、botやMediaWiki拡張機能等で自動で行なうことが出来ればよいのですが、「主要」の評価アルゴリズムが困難であるため、主要執筆者の追加などは、手作業で行なうこととします。 さらに、そこに掲載する名前は、「記事を編集した人は誰でも」を基本とし、自薦他薦を問わず、誰かが「主要執筆者である」と考えた人が追加されます。事前の議論や提案あるいは投票など、煩雑な手続きは不要とします。掲載された名前の除去は、一部の例外を除いて認められません(詳しくは「名前の除去と再掲載」項を参照)。 表示テンプレート執筆者の表示方法は、テンプレートを使うのがよいでしょう。テンプレートを使うことで、スタイルが統一され、後の変更に対応することが容易になります。 試作版が/テンプレートにいくつかあります。 このようにして作成されたテンプレートを、{{}}でかこって、記事本文中に表示します。 他の機能との違い執筆者を知る、あるいは表示する手段に、まずそのページの履歴を確認するということがあげられます。 確かに、ページ履歴には全ての情報が保存されていますので、当然、誰がこの記事を編集したかも表示されています。 しかしそこには執筆者の名前だけではなく、その日時なども表示されており、また、同じ編集者が何度も表示されていたり、細かな編集や荒らし編集でさえもそこには表示されているので、「誰が主要執筆者なのかを知る」には適していません。 また、本論の冒頭でも述べたように、通常の閲覧者が履歴を見ることはあまりないのが現状です。 別の方法として、MediaWikiには、フッターに「最近だれがそのページを編集したか」を表示するLastModifiedByという機能があります。詳しくは、mw:Manual:Footerに書かれていますが、そのウィキのLocalSettings.phpを編集することでフッターに「このページの最終編集は $1 $2 に $3 によって行われました。」といったメッセージを表示できます。 実際に使われている様子は、translatewiki.netなどで確認できますが、見ると分かるように、ここに表示されるのは、履歴から抽出されたデータを機械的に処理して表示するもので、「主要」でない編集であっても表示されます。 また、「最近」のものしか表示されず、版が重なると名前が消えてしまいます。 そのため、この機能では、「執筆者の自己顕示欲を満たしてあげよう」という観点から見れば効果は一時的なもので、閲覧者側からしても、あまり重要でない編集をした人も含まれてしまってノイズが大きくなるという欠点があります。 また、この機能はある程度の負荷がかかるためか、ウィキメディアのウィキで現在この機能を有効にしているウィキは存在していません。 検討課題と案ここでは、本機能についての検討課題とその改善案を列挙します。 掲載基準先に述べたように、「主要執筆者」として名前を連ねるためには、誰か(自分でもよい)が、その人がその記事に対して主要な貢献(編集)をしたと判断した場合です。その判断材料は、その編集の内容や差分サイズなどで、「質が高く、その編集者により、記事の完成度が飛躍的に向上したと考えられる編集がなされた場合」などと定義します[注 1]。 つまり、基本的には、記事自体を十分な質をもって新規作成したり、大幅な加筆を行なったり、余分な記述などを除去し文章を推敲して記事を読みやすくしたり、などと言った編集が当てはまります。 逆に、いくらその人が「主要な貢献である」と思っていても、内容が、一文字の誤字訂正やカテゴリを1つ追加しただけのような編集は、該当しないと考えられます。 もちろん、荒らし的な編集も含まれません。また、そのような荒らしへの対処も基本的には含まれないと考えられますが、その記事が長期的な荒らしにみまわれており、その対処・保守のために多大な貢献をしたと考えられる場合は、名前を追加してもよいかもしれません。 ですので、同じ「主要執筆者」に名前が並んでいても、その貢献度は同じではありません。 ボットと匿名利用者ウィキペディアの記事を編集するのは、登録利用者だけでなく、ボットや、アカウントを利用しないIP利用者もいます。 ボットに関して言えば、自動化された単純な作業しか行なわないこととなっていますので、基本的には記事の「主要な」執筆者とはいえないでしょう。 また、もし仮にボット自体が記事に多大な貢献をしたのであれば、ボットは必ず他の登録利用者によって運用されているものですから、それはボットの名前ではなく、そのボットを運用している人の名前のほうが相応しいかもしれません。 また、IP利用者ですが、ウィキペディアの発展に対する彼らによる貢献は、決して少なくありません。特にウィキペディア日本語版では、編集回数のうち約半分がIP利用者によるものであると言われており[6]、また新規作成記事の1/3程度がIP利用者によるものであるという報告もあります[7]。 しかし、IP利用者は別名「匿名利用者」とも言うように、その名前を隠して投稿しています。記事の履歴には、その投稿者のIPアドレスが記録されますが、それは可変であることが多く、また学校や会社などからの接続は全員が同じIPアドレスになることもあり、現実世界の(実体としての)執筆者と1対1ではありません。 ですから、例えIP利用者からの大きな執筆があったとしても、「主要執筆者」として、そのIPアドレス等を記録するのは好ましくないかもしれません。代替案としては、単に「匿名利用者」とだけ表示する方法もあります。 名前の除去と再掲載本節冒頭で述べたように、本機能では掲載された名前は除去できないを基本とします。 ですから、例え「自分は、この人は(他の人と比べて)貢献してないように思うけど・・・」と思っても、無理にその名前の除去をするべきではありません。 もしどうしても掲載にふさわしくないと思った場合、その記事のノート等で提案、議論し、合意形成がなされてから除去されるべきです。 ですが、例えば荒らしや、あるいはまったく編集していない人など、「明らかに主要執筆者でない」と考えられる人の名前が掲載されるかもしれません。 その場合はもちろん、そのような名前は直ちに除去されるべきです。 もしそのような場合まで提案や議論を必須にしてしまうのは、「手続きが煩雑」になり、利用しづらくなるおそれがあります。 しかし、除去を認めてしまうと、今度は逆に、「明らかに主要執筆者でない人、でない人」の名前が除去されることもあります。 あるいは、自分のウィキブレイク中に提案・議論され除去されていたが、やはりふさわしいのではないか、と思うことがあるかもしれません。 このような場合、つまり「除去された名前の再掲載」の場合は、その編集を直ちに行なうと編集合戦のようになってしまいます。これはあまり好ましいことではありません。 ですから、一度掲載したが除去され、それを再掲載しようとする場合は、必ず事前に議論され合意形成されなければならないようにするのがよいでしょう。 これをまとめると、以下のようになります。
ただし、「執筆内容の明記」節で述べているように、掲載時あるいは除去時にその内容の明記を必須とするのであれば、そのような明記がない掲載および除去は、直ちに差し戻すことができるようにするのも、よいかもしれません。 テンプレート「表示テンプレート」節で述べたように、執筆者の表示にはテンプレートを用いますが、以下のような検討課題があります。 スタイル表示テンプレートは、閲覧者の邪魔にならず、それでいて必要な情報が的確に分かりやすく伝わることが重要です。 表示スタイルの違いとしては
という点があげられます。 掲載される執筆者の数などの表示内容にもよりますが、アイコンを使って視覚的に分別しやすくし、編集内容は長大になる可能性があるので掲載せず、右端によせると他のテンプレート(e.g. Template:Commonscat)とぶつかる可能性があるので、寄せずに表示するのがよさそうです。 記事中に書くか、外部から呼び出すかテンプレートを利用して呼び出す場合、例えばテンプレート名を仮にTemplate:主要編集者とすれば、それに実際の内容(名前や推薦理由など)を、例えば {{主要編集者|編集者あ|編集者い|編集者う}} として、パラメータで渡して表示することとなります。 ですから、このテンプレートを記事中にじかに書いた場合、執筆者の追加や除去、修正などを行なうと、それはその記事の履歴として残ります。 これは、執筆者一覧に関する変更を目立たせることができ、例えばその記事をウォッチリストに入れている人にもその変更が容易に分かるようになります。 しかしながら、記事本体の編集とは少し違う編集ですから、「純粋にその記事がどのように編集されているか」という観点から履歴を見る場合には、執筆者一覧の編集は邪魔になります。 記事中にじかに書かない方法としては、執筆者一覧を別のページに書いておき、それを本文中にインクルードするという方法があります。 この方法をとると、先ほどとは逆に、本文中の履歴と執筆者一覧の修正履歴は分離され、その編集がウォッチから外れてしまう場合がありますが、本文の履歴は混乱することがありません。 この「別のページ」の候補としては、「Template:執筆者一覧/記事名」とテンプレート名前空間に作る方法や、その記事のノートのサブページ「ノート:記事名/執筆者一覧」などが考えられます。 ただしこの方法だと、記事本体の名前が変更されても、その「別のページ」の名前が変更されないという欠点があります。 どちらがいいのかは場合にもよるでしょうが、履歴を混乱させて閲覧者(再利用者)基本的には執筆者一覧は外部から呼び出すのがよさそうです。 また、こちらのほうがテンプレート機能としての自由度も高く扱うことができます。 執筆内容の明記一覧に名前を追加するときに、ただ単に追加しただけでは、その人の貢献を有効に評価できているとはいえないでしょう。 ですから、追加時に「その人がどのような貢献をしたのか」を明記することは重要なことだと考えられます。 このような執筆(貢献)内容を明記する方法には2つが考えられます。 1つは、追加時の要約欄にコメントする方法で、ここに書くことで、履歴を見るだけでその執筆内容を知ることが出来ます。 この方法は非常に簡便ですが、後から修正ができないという欠点があります。 もう1つは、一覧本体中に名前とともにその内容を明記する方法です。 この方法であれば、後から修正することは可能ですし、その内容を呼び出し元の記事本文の中に表示させることもできるようになります。 方法は要約欄を使う場合に比べて若干難しくなりますが、しかしテンプレート等を整備すれば、その方法をある程度は簡単にすることができます。 ですから、執筆内容を明記する場合、一覧本体中に書いてしまうのがいいでしょう。 では、一覧本体中に執筆内容を明記するとして、それはどのように表示されるべきでしょうか。 まず、呼び出し元の記事本文にはそれを表示するかどうかですが、確かに本文中に表示すれば、閲覧者により深く、その人の貢献を理解してもらうことが出来ます。 しかし、執筆内容のコメントが長かったり、一覧に掲載される執筆者が増えると、その表示が膨大になってしまい、本文の閲覧の邪魔となってしまいます。 ですので、少なくとも普通に閲覧した際には、記事本文中には執筆内容を表示しないほうがよいでしょう。 逆に、表には表示せず、コメント(あるいはソース)内にのみ書いてあるようにすることも可能ですが、それではせっかく書いたデータがあまり有効活用されていません。 一番簡単なのは、一番最後の、「別ページに内容も表示させておき、そこへのリンクを貼っておく」という方法です。テンプレートの機能を使えば、呼び出し元と呼び出された先で表示を変えることができるため、この方法は非常に有用です。 あるいは、折りたたみテンプレートやそれに類似した機能を使うこともできるでしょう。ユーザースクリプト(ガジェット)によってそれは制御することができます。 一覧の不完全さ本機能は、もちろん、現在のウィキペディア日本語版には導入されていません。 ですので、もし導入されたとしても、既に存在している記事には、後から追加していかなければなりません。 また、ウィキペディアには、その編集方法に慣れている人ばかりではないので、例え導入後であっても、新規作成時に必ずこの機能(テンプレート)が使わているとは限りません。 しかし一方、ウィキペディア日本語版には多数(2010年3月12日現在で、66万ほど)の記事が存在しており、総編集回数は3000万回にもなっています(最新のデータは特別:統計から見ることが出来ます)。また、現在も、毎日200ページほどの新しい記事が作成されていっています[8]。 また、記事によっては非常に多くの版が重なっているものがあり、古くからある記事や、話題性のある主題とする記事では特にそれが顕著であり、技術的に履歴を保存することが困難になり、履歴のみを別ページに分割せざるをえないぐらいの履歴をもつ記事も存在しています。 さらに、ウィキペディアの記事は、他言語版ウィキペディアなどのコンテンツを、翻訳あるいは移入した記事もたくさんあり、その元のコンテンツの製作者も、その記事の「主要執筆者」と言えるでしょう。 ゆえに、ウィキペディアに存在する、全ての記事に主要執筆者一覧を完璧に整備するのは極めて困難(ほぼ不可能に近い)でしょう。時間をかけてゆっくりと整備・浸透されていけば、いずれはそのようなことが実現するかもしれませんが、それはすぐには達成されえないと考えられます。 ですが逆に、この機能は、本質的に、主執筆者の完璧な表示を達成するためのものではないと、考えるとどうでしょうか。 つまり最初から「この主執筆者一覧は不完全である」ということを許容し、そこに掲載されていない人による貢献もあるということを明記しておきます。 元々この機能がなんのために提案されているかを考えると、ここでは、「主執筆者の一覧を作成する」ことは目的ではなく、あくまで「執筆者の活動を評価し、その貢献を広く知ってもらうことで、執筆者の活動意欲維持・向上させる」という目的はの為の手段にすぎません。そしてこの目的は、一覧が完璧に整備されなくても達成可能でしょう。 attributionと誤解されないかウィキペディア日本語版を含む、ウィキメディアの大多数のウィキは、そのコンテンツをクリエイティブ・コモンズ 表示-継承でライセンスしています。このライセンスにおいて、再利用者は、その記事を誰が書いたのかという「著者の表示(帰属、attribution)」を行なわなければなりません。 ですから、もし主執筆者一覧が提供されていれば、あるいは再利用者はその一覧に書かれている名前のみを、再利用時に表示すればよいと思ってしまうかもしれません。 しかし先にも述べたように、本機能では、完璧な一覧を目指しておらず、そのようなことは現実的には不可能に近く、一覧をそのように利用されてしまうと、非常にまずいことになります。 なので、このような観点からも、「不完全である」ことを許容し、それを明記することは重要です。 あらかじめ「この一覧は不完全である」ということが明記しておくことで、再利用の際はきちんと所定の方法に従い帰属表示を行なうように誘導可能となり、帰属と誤解されることを予防できます。 名前を載せたくない人のために主要な編集を行なって記事に貢献したとしても、場合によっては自分の名前を主要編集者に載せてほしくないということもあるかもしれません。 まず、自分の名前を編集者として絶対に載せない、つまり名前を隠して編集したい場合は、匿名利用者として編集をするという方法をとれば、まず間違いなく名前を隠すことが出来ます。あるいは、他にアカウントを取得して編集することもできるでしょう。 しかし、匿名利用者になる、あるいは別のアカウントを取得して使うということは、議論の際やその他様々なデメリットがあるので、あまり推奨出来る方法ではありません。 ではどうすればよいでしょうか。 この機能の本来の目的が、その編集者の活動意欲向上であることを考えれば、このような意向を無視してまで一覧に名前を載せることは、その目的から外れてしまっています。 ですから、その利用者が名前を載せてほしくない場合は、素直に名前を載せないようにするのがよいでしょう。 そのような方法として、まず、ユーザーボックスやあるいは文章で、利用者ページに「主要編集者一覧への名前の掲載を辞退しています」という意思表示を行なってもらうことです。 そうしてもらって、自分以外の他の人を追加する場合は、その利用者ページにその旨の記述がないかを確認するようにします。 また、「この記事には名前を載せてほしくない」というのもあるでしょう。 そのようなひとのために、「自分自身の名前は、事前の議論その他理由なく、無条件で除去出来る」という規定を作ることが考えられます。 そして同時に、主要編集者へと自分が新しく追加されたかどうかを知る方法があれば、そのような規定はより強力なものとなります。 そのような「自分が新しく追加されたかどうか知る」には、まず他の人を追加する場合はその人への連絡を必須あるいは強く推奨するようにする、あるいは特別:関連ページの更新状況で、自分の利用者ページへの、ノート名前空間からのリンク元の更新状況をウォッチすることで知ることもできます[注 2]。 その他
最終案?ここでは、前章で検討した内容を含め、本機能の最終的な案をまとめます。 方針
主要編集者表示機能は、記事の最下部に、その記事の主要執筆者・編集者の名前の一覧を表示する機能です。記事の一番下にTemplate:主要編集者一覧を貼ることで、その記事のノートサブページにある、主要編集者一覧を呼び出して、記事中に表示することが出来ます。 もしあなたが、ある利用者が、その記事の主要編集者であると考えた場合、その一覧にその利用者の名前を追加してください。 この追加は、誰でも行なうことができます。追加する人は、他の人でもいいですし、あなた自信の名前でも構いません。 恥ずかしがったり謙遜することはありません。その利用者の貢献を正当に評価するためにも、他の人やあなた自身の名前を、どんどん追加してください。 また、追加された人の名前は、一部の例外を除いて、基本的に除去されるべきではありません。 この機能の目的主要編集者の名前を載せることで、ウィキペディアに精通していない人にも、その記事に対するその人の貢献を広く知ってもらうことができます。 これにより、従来の方法では分かりづらかった「誰がその記事を作っているのか」を簡単に誰でも知ることができるようになるだけでなく、その編集者の次なる活動の糧となります! 一方、この機能は、主要編集者の完全な一覧を作成することが目的ではありません。 その記事の完全で正確な編集者の一覧を得たい場合は、その記事の編集履歴をご覧下さい。この編集者一覧表示機能は、この履歴やその他の類似機能の代替とはなりえませんので、ご注意ください。 主要編集者とは?ウィキペディアの記事は、全てボランティアの編集者によって作成、編集されています。 彼・彼女ら、あるいはあなたによって行なわれた編集は、全て編集履歴に保存されています。 ですから、逆に言えば、その編集履歴に名前が載っている人全員がその記事の「編集者」であると考えられます。 しかし、ひとくちに編集者といっても、その人の編集内容は様々で、一文字の誤字脱字の訂正などの小さな編集から、その記事の新規作成・大幅加筆など記事の完成度向上に大きく貢献するものまで、全てを含みます。 このうち、この機能で「主要編集者」としてあげるのは後者で、「記事の完成度が大きく向上したと考えられる、質の高い編集を行った人」のことを指します。 この「質の高い編集」とは
といった点を参考にして判断することができます。しかし、
といったことには直接制限されません。どのような種類の編集であっても、その編集が「記事の完成度向上に大きく貢献した」と考えられるのであれば、その編集を行なった人は主要編集者です。 その人が主要編集者であるかどうかの判断は、誰が行なっても構いません。他の人を推すのもいいですし、自分で自分を主要編集者であるとすることもできます。あなたが主要編集者であると考えた人は、みな主要編集者となりえるのです。 例外あなたが主要編集者であると考えた人は誰でも追加することができますが、一部例外があります。 まず、その記事を全く編集していない場合、あるいは編集していても、明らかな荒らし編集であったり、一つの誤字脱字の訂正、内部リンクの追加、カテゴリの追加など、いわゆる雑草取りと呼ばれる編集のみであるなら、その人の名前は追加しないでください[注 3]。主要編集者一覧には、あくまで「その記事の完成度向上に大きく貢献した」人のみが掲載されるべきです。 また、主要な編集を行なったと考えられる場合であっても、IP利用者(匿名利用者)と、Bot(ボット)に区分される利用者の名前は、この一覧に掲載しないでください。 匿名利用者は、「匿名」の名の通り、その名前を隠して編集していますので、その利用者の名前を大々的に表示することは適切ではないと考えられるからです。さらに、匿名利用者の場合、その区別にはIPアドレスが使われますが、多くの場合、そのIPアドレスと実際に編集した人とが、一対一に対応しているとは限りません。 ボットは、基本的には機械的に行なうことの出来る細かな編集(内部リンクの修正など)しか行ないませんし、もし本当に、そのボットの編集が「その記事の完成度向上に大きく貢献した」のであるなら、そこには、ボットの名前ではなく、ボットの運用者(オペレーター)の名前を掲載されるべきです。 そして、場合によってはその利用者は、「主要編集者として名前を載せてほしくない」と思っているかもしれません。 ですから、他の人を追加する場合は、追加する前にその人の利用者ページを見てください。そこにそのようなことが書いてあれば、あなたが主要編集者であると考えていても、その利用者の名前は載せるべきではありません。 あるいは利用者ページに書いてなくとも、追加した後に、本人によって除去されたのであれば、それを無理に戻してはいけません。 主要編集者一覧を新しく作成するその記事に、主要編集者一覧がない場合、以下のようにして新しく一覧を作成してください。
既にある一覧に新しく名前を追加するその記事に、主要編集者一覧がある場合、以下のようにして名前を追加してください。
名前の除去と再掲載冒頭で述べたように、基本的には追加された名前を除去しないでください。 ただし、以下のいずれかの場合であれば、その人の名前を除去することが出来ます。
名前を除去する場合は、その要約欄で、先のいずれの場合に該当するのかなど、除去しなければならない理由を、必ず書いてください。 ここへのコメントは、単に「荒らし」「ノートで合意」といった単純なものよりも、どんな種類の荒らしなのか、どこのノートで合意がなされたのか、より詳細な記述をすることが強く推奨されます。 除去理由が書かれていない場合は、その除去を差し戻されても文句は言えません[注 4]。もし要約欄に記入を忘れた場合は、その除去を自分で差し戻して、再度、要約欄に理由を明記した上で除去を行なってください。 もちろん、除去された名前を再掲載することもできます。再掲載が可能な場合は以下のいずれかです。
名前の掲載を歓迎する、辞退する場合によっては、あなたの名前を主要編集者として掲載してほしくないと思うことがあるかもしれません。 その場合は、あなたの利用者ページに、その旨を書いておいてください。ユーザーボックスのTemplate:User 名前掲載辞退を使うこともできます。 あるいは、特定の記事や分野には掲載してほしくない場合があるかもしれません。その場合、利用者ページにどの記事や分野で掲載してほしくないのかを書いておくのがいいでしょう。 あるいは、会話ページなどへ主要編集者一覧への追加の連絡を受けた時や、あなたの利用者ページへの、ノート名前空間からのリンク元の更新状況をウォッチして、追加されたことが分かったときに、自身で自分の名前を除去することもできます。この場合、除去するときの要約欄に「名前の掲載を辞退しています」などのコメントを書いておいてください。 逆に、名前の掲載を歓迎することを示すユーザーボックスTemplate:User 名前掲載歓迎もあります。 テストケース/テストケースに、ここでまとめた最終案を適用したテストケースがあります。これは、秀逸な記事である佐久間ダムをモデルにしたもので、ページ最下部に主要執筆者一覧が表示されています。 ソースを見ると分かる通り、先述のように、この位置では単にTemplate:主要編集者一覧を呼び出しているだけで、実体はノート:テストケース/主要編集者に書かれています。 また、/テストケース2に、一覧がない状態でTemplate:主要編集者一覧を呼び出した状態があります。 テンプレート一覧以下は、この最終案で使用したテンプレートの一覧です。なお、ここでは全て利用者名前空間の下に作られているので、実際は、「記事名前空間」は「利用者名前空間」、「ノート名前空間」は「利用者‐会話」名前空間になっています。
前方一致検索の結果から全てをみることも出来ます。 最終手段:拡張機能ここまで本機能の課題の列挙や検討、その改善案などを考えてきましたが、これはあくまでMediaWikiの利用者としてできる、通常の編集によってこれを達成しようとする、という前提があります。 しかし、MediaWikiには、拡張機能があります。 これは、通常の方法では達成が不可能・困難な様々な機能を追加するもので、例えば、ウィキペディアにおいて非常に重要な出典の明記を行なうために使われる<ref>および<references />タグも、Citeという拡張機能により実現されています(現在使われている拡張機能の一覧は、特別:バージョン情報から見ることが出来ます)。 もし、主要執筆者表示のための拡張機能を開発し、利用することが出来れば、ここまで検討した課題や、その回避のために回りくどくなってしまった方法を解決できるかもしれません。 しかしながら、拡張機能の開発は決して簡単ではなく、また、拡張機能を利用するには、ローカルのウィキで利用に関して合意し、bugzillaでそのウィキの開発者に依頼しなければなりません。 拡張機能によって本機能が実現できれば、確かにそれに越したことはないでしょう。 しかし、あまり最初から全てを望む必要はないですし、開発者にしか触れることのできない拡張機能よりは、MediaWikiの中だけで解決できることなら、そうしたほうがよりたくさんの人の手によって機能の改善が行なえますから、ここでは、拡張機能は「どうしても必要になった時の最終手段」として考えておくにとどめておきます。 脚注
参考文献
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