充電スタンド充電スタンド(じゅうでんスタンド)とは 等の乗り物の充電に用いる地上設置型の充電装置または充電施設である。充電ステーション、充電スポット、チャージングステーションとも呼ばれる。 概要充電スタンドの明確な定義は公的に定められていない。一般にガソリンスタンドと同様に公道に面した公共空間に民間や公的な事業者により設置され、不特定多数が利用可能な接触式の充電サービスである。一般に急速充電器として知られているが、急速充電に限定されず、広義には自宅等での自動車以外の充電設備等も含まれる[1]。 設備が地上に出ていない地下誘電コイルや地下電力線を使用する非接触式充電設備、運輸業・宅配業・倉庫・工場などの各種事業所、個人ユーザーの住宅などに設置される急速充電以外の方法は一般に充電スタンドには含まれず、送電線とプラグを使用した接触式のものの中でも特に急速充電方式のもののみ充電スタンドと呼んでいる場合が多い[2]。 この項目では自動車用の充電設備について記述する。(参照 充電器) 特徴時間
料金
場所
利用者
規格
車種
スマートグリッドとの関係スマートグリッドの一環として、充電スタンドを電力供給の調整に用いようとする試みがある。充電スタンドは、電気によって走行するあらゆる車輌類と共にスマートグリッドの末端に位置するため、化石燃料を基盤とするエネルギー社会から、再生可能エネルギーや次世代エネルギーを基盤とする、新産業への参入機会を伺う国際的な大企業や、各国政府とその配下の団体を含めた多くの関係者にとって、規格の策定に加わることや、インフラの独占が目指されている。 スマートグリッドでは、家庭でのEV類への充電時間をコントロールするスマートメーター機能とも重なるアイデアに加え、V2HとV2Gという2つの機能も想定されている。
日本での普及状況2010年(平成22年)時点では小規模な設置や地域的な設置計画の発表にとどまり全国規模で設置状況が少数にとどまる。 急速充電や普通充電の違いから有料/無料、公共/会員制/個人、対応車種と充電コードの有無、さらには逆潮流などの高機能への対応など、多数を実際に設置して運用するには標準化の問題も含めて無数の選択肢から1つを選ぶ必要があり、今後は国際的にも多くの利害関係が絡みながら試験的な機器による多くのサービスが現れると予想されている。 2012年(平成24年)現在、市販されはじめたばかりの電気で走行する自動車や二輪車などの搭載バッテリーを充電するには、自宅や自らの事業所内で充電する手段が比較的多いが、それらの車輌(本稿ではそれらすべてを以後"EV"と記述する[注 3])の今後の普及とそれに伴う社会的な利便性の向上要求に対応するために、充電装置を備えた公共性のある設備の拡充が求められており、新たにコインパーキング、ショッピングモール、自動車ディーラー、コンビニエンスストアなどでの運用が一部で開始・拡充され、自動車ディーラー、ファミリーレストランチェーンなどでは、全国規模での拡充計画も進行(あるいは計画の発表が)されている。また、CHAdeMOを利用した課金化仮想実験も会員を対象に期間限定で開始された。これらの設備の中には、1回あたりの充電時間制限を設けているスタンドもある。 現在の充電スタンドは、無料・会員制無料・施設利用者無料、有料・会員制有料・施設利用者有料など、提供形態が様々ではあるが、2010年(平成22年)当時からの相違点として、200 V普通充電のコンセントは新型への移行がほぼ終わり、旧型コンセントの設置場所はごく少数となった。 2020年代は世界的に急速な電気自動車シフトが進んだことで充電インフラの拡充が進んでおり特に目立つのが急速充電においては欧州では350kw充電、中国などでも同様のスピードの急速充電への対応を素早く進めて大規模にステーションの拡張も進められている中、日本はこの点ほとんど動きが無く急速充電インフラは現時点でも20~50kwが主流でかつステーションに対し機器が1~2台ということが殆どである。自宅や目的地などの普通充電インフラも広まっているとは言いづらいため、車両のバッテリーが低くても50kwh程度は持つようになったのに対して十分な充電インフラが整備・更新されていないのが実情である。 急速充電インフラが拡大しにくい理由として、電気事業法により受電電力50kW以上の場合高圧受電設備が必要になり電気主任技術者も選任が必要など法的規制の厳しさが挙げられる。そのため大型商業施設においても変圧器容量に余裕がないと取付困難になる場合がある。 問題点採算充電スタンドでの充電事業は、電気事業法における事業規制や料金規制の対象外となっており[6]、電力量、時間、その他の方法等を用いて、充電事業者が自由に課金の仕組みや価格を設定することができる。ただし、メーターを取り付ける場合は計量法の規定に合格したものを設置する必要がある。 EVへの充電がガソリンスタンドでの給油と最も異なるのは、エネルギーの補充にかかる時間である。2012年(平成24年)現在の充電池の技術でも20 - 30分で全充電容量の80 %まで急速充電が行えるが、2 - 3分で給油そのものが終了する液体燃料と比べれば、顧客の回転率が余りに低いため、十分な利潤を生むにはEVを駐車できる充電スポットを多数備えなければならなくなる。また、1台当たり(現在は100 - 200 Vが多いが)400 - 500 Vで125 A - 400 A、中華人民共和国(中国)が提唱する規格では1,000 Aまでの電力供給が求められるため、1台分ですら特別な配電設備を備えなければならず、一層大きな初期投資が求められる。また、2012年(平成24年)現在の技術では急速充電は充電池の寿命を縮めるため、EVの車輌価格の半分ほども占める車載バッテリーの経済性まで考慮すれば、短時間での急速充電がどの程度受け入れられて普及するかは、今後の充電池技術の発展とも関係して未知数である[1]。 充電時間に対するひとつの回答として、急速充電方式と共にバッテリー交換方式を提唱する企業もある(後述)。 配電網への過負荷スマートグリッドの末端として電気自動車が大規模に利用された場合充放電による送電網への負荷が懸念される。2012年現在ではきわめて利用が小規模なため過負荷が発生する恐れはない。 米国のPacific gas & electric社がカリフォルニア州[注 4]の主要都市でEVの普及した状況下での充電需要を試算したところ、夕方6時をピークに住宅需要としては真夏の最も需要が高まる負荷を大きく上回った。こういった問題への対処としてスマートメーターやV2Gといったものに結びついている[1]。 安全キャパシタを用いた充電スタンドでは短時間に大電流を流すため感電事故の危険が通常の充電設備より大幅に高い。 日本ではガソリンのセルフ給油が普及しているが、ここまでに到る安全性確保の取り組みを充電スタンドで行おうとしても一朝一夕には行えず、新たな充電スタンドで高電圧・高電流を扱うにあたっての安全性の確保は、関連する法整備とともに強く求められる[1]。 アイシングアイシング(ICE−ing)とは、「充電の意思がない車両(たとえEV・PHEVであっても)が充電スペースに駐車してしまい、充電したい人が使用できなくなる」現象である。これが起こる原因としては
がある。 一般に施設駐車場やコインパーキングなどでは、先着順で好きな場所を選べる。そのため限られた区画の充電スポットに充電しない車両が駐車することがあり、EVユーザーや充電スポット管理者へ大きな不利益をもたらしている。これを避けるため、当初の先着順から電話予約制に移行したケース(USJエコ・ステーション)や、当初から専用としパイロンを置いて注意を促しているケースなどがあるが、パイロンによる区切りはパイロンを人力で動かせることからEVに反感を持つ非プラグイン車ドライバーによる故意のアイシングが行われることがある。 またプラグイン車でも充電完了または施設所定の充電時間が過ぎてもプラグを挿したまま居座り続ける、はたまたそもそも充電していない状態で車両を放置するとそのスペースは利用不可となり問題となる。 対策例として、テスラスーパーチャージャーでは満充電または車両で設定したバッテリー容量の上限に到達してから一定時間以上スペースから退去しなかった場合は超過料金を徴収する仕組みが存在する。 またこの現状を反映して、一部EV・PHEVのCM等では「充電マナーを守りましょう」等の啓発が行われることがある。[7] 小規模なコインパーキングでは採算の問題からアイシングを許容せざるを得ない状況(予約制にも専用にも、全区画への設置もできない)であり、EV等の普及促進や他パーキングとの差別化を狙って充電区画が設置されたものの、必要とするユーザーが使えないことがある。 アイシングに対する取り締まりや有効・根本的な対策は現時点ではほとんど打たれていないのが実情であるが、そもそもこのような(特定層のための特別なスペースが一般ユーザーの駐車により使えなくなる)問題は他にもある。よく指摘されるのが「大型商用車スペースに乗用車や4ナンバートラックが停まっている、あるいは逆に、大型車が乗用車スペースを複数占領する形で停まっている」問題や「身体障害者用スペースに「近いから」と健常者が停めてしまう」問題がそれである。 大型車スペース問題のようなケースだと「○○専用」としておけばそれを満たさない自動車を駐車することは規約違反であるが、「○○優先」という指示の場合は入庫時の瞬間だけ守られ、駐車中にそれを維持する義務はないため問題が生じる。 また身障者スペース問題に関しては「乗降のための車間の広さ」を求めるという観点から「遠くてもいいので確実に停められる場所がほしい」と言う意見もある。[8] 一方で、施設側においては充電スペースの需要バランスに基づいた設置・運用が必要となる。 たとえば「一般スペースの空きが少なかったり異様に遠かったりしているのに、充電スペースは近い上に空きばかり」と言う状況であった場合は逆に「"EVなる架空の存在"が一般ユーザーの邪魔をしている」構図となる。そのためEVに対する反感を招きかねない。上述の身障者スペースのように、あえて充電スペースを遠くに設置して一般ユーザーが停めたくならない・不平を抱きづらいようにする対策などが考えられる。 問題
電気自動車の実際の運用方法は通常夜中の自宅駐車場やホテルやショッピングモールなど長居を前提とした場所で普通充電することが主で、通常急速充電は長距離運転時のつなぎとして行う。そのためICE車とは運用方法がかなり異なりちょうどスマートフォンのように就寝時などの明らかに長時間使用しない時にゆっくりたくさん充電、または休憩などの停止時間を利用してつなぎで充電しておくという運用が主である。また走行距離にもよるが、充電は次に走る距離まで十分に走れればよく、充電のたびに必ず満充電にしなければならないというわけでもない。[要出典] しかし、まだまだICE車と同じような運用方法つまりバッテリーが空になる寸前まで充電せず、バッテリー容量が少なくなったらガソリンスタンドの代わりに急速充電スタンドへ向かい満タン(満充電)にしなければならないというイメージや、そもそも充電=急速充電のみというイメージが根深く普通充電の存在を知られていない。[要出典] そのため、充電スタンド=高い・煩雑というイメージが強く、集合住宅の多い日本では駐車場などへ安価で設置可能な普通充電インフラの追加への理解が得られなかったり、周囲の充電インフラ不足により近所で充電ができないことで電気自動車の所有を諦めなければならなくなるケースや、長時間滞在が前提の施設に普通充電器ではなく急速充電器が設置されてしまい駐車時間をうまく利用できず不便になってしまうなど利用者と設置者の認識のずれが発生している。[要出典] 規格の乱立国ごとに充電規格が乱立している。
CHAdeMOの次世代規格のChaoJiによりCHAdeMOとGB/TとCCS1/2の統一を模索しているものの実用化されず、北米においてはテスラスーパーチャージャーをNACSとして標準化する方向で調整している。また、欧米においてはCHAdeMO規格は淘汰される方向にあり、規格統一は暗礁に乗り上げている。 関連技術
充電時間が長く掛かることから、EVの車載バッテリーをある程度標準化した上で、その大きなバッテリー全体を交換ステーションで充電済みのものと交換することで短時間でEVを満充電状態とするアイデアがある。この方式では、自らのバッテリーを特定して所有するには、それを預ける交換ステーションの地理的な制約を受けることになる。この制約を避ける為や、充電池が今後しばらくは高価であり続けると予想されることからも、車載バッテリーそのものは最初から購入せずに、搭載するバッテリーはリースのような貸し出し形式にして、EV購入者の初期投資額を抑えるという方式も考えられている[1]。 ベタープレイスは、日本でも2010年(平成22年)から日本交通と共同でEVタクシーでの実用試験を行っていた[9]。 テスラが2013年に発表した「バッテリースワップ・ステーション・システム」では、バッテリー交換がわずか90秒で完了し、車格が同程度のガソリン車(アウディ・A8)が給油にかかる時間の半分であると謳っていたが[10][11]、同社が交換ステーションよりスーパーチャージャー・ステーション(テスラ車専用の無料急速充電スタンド)の普及を優先したため、また、バッテリー交換は有料であるため[12]、このシステムは試験運用に供するカリフォルニア州ハリスランチの一箇所のみという状況となっている。また、テスラはこれとは別に、車両を整備用リフトで持ち上げ、整備士が約15分でバッテリーを交換する方式も発表している[13]。 一方、世界最大の電気自動車メーカーとなった比亜迪汽車を傘下に持つBYDでは、深圳市の公共用バスとタクシーでバッテリー交換システムの実用試験を行っている。
通常の充電スタンドのようなケーブルが不要で、無線で充電を行う。設置された区画へ停車中に充電するものや、道路上を走行中に充電できるものなどが考えられている。特に前者は多くの自動車メーカーが研究開発を進めており、微妙な位置決めが不要な充電範囲にゆとりをもったものや、各種情報を充電と同時に相互伝達するものなどが考えられている。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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