佐藤 恒治(さとう こうじ、1969年〈昭和44年〉10月19日[1] - )は、日本の実業家、自動車エンジニア、トヨタ自動車代表取締役社長・CEO(最高経営責任者)[1]、日本自動車工業会副会長[2]。東京都出身[3]。
来歴
1985年に早稲田大学本庄高等学院に4期生として入学。1992年3月、早稲田大学理工学部機械工学科を卒業し、同年4月にトヨタ自動車に入社。技術管理部に配属される[1]。その後、シャシー設計部で8年間働き、初代プリウスやビスタのサスペンション設計に携わった[4]。その後、製品企画に異動し、北米カムリの開発を担当した[4]。
2005年、高級車部門「レクサス」ブランドの開発チームに異動し、GSのコンセプトプランナーと開発主査を担当[4]。続いて、チーフエンジニアとしてフラッグシップクーペ、LCの開発を指揮した[3][5]。その後、レクサス・インターナショナルの統括、エグゼクティブ・バイス・プレジデントを経て、2020年1月にプレジデントに就任した[1]。
2020年9月、スポーツブランド「GR」を展開するガズー・レーシングカンパニーの2代目プレジデントに就任[6]。「モータースポーツを基点としたもっといいクルマづくり[7]」を掲げる豊田章男社長(現・会長)の片腕として、水素燃料エンジン搭載車による耐久レース参戦や[8]、富士モータースポーツフォレスト建設計画を推進した[9]。
トヨタ経営陣では、2017年に常務理事、2020年と2021年に執行役員のひとりに抜擢された[10][11]。2021年1月にはトヨタのブランド戦略を担当する[3]チーフ・ブランディング・オフィサーに就任した[1]。
2023年4月、豊田章男の後任としてトヨタ自動車の執行役員・社長・CEOに就任した[1]。トヨタ自動車社長としては12代目となる[12]。
同年6月の第119回定時株主総会後、トヨタ自動車代表取締役社長に就任した[13][14]。
年譜
人物・エピソード
- 学生時代はガソリンスタンドや富士スピードウェイでアルバイトをしながら、愛車のカスタマイズに励んでいた[17]。
- 大学ではディーゼルエンジンの燃焼について研究していたが、入社後は技術部門の業務改革に取り組むチームに配属され、ショックを受けた。しかし、社内の様々な部署のエンジニアと話をするうちに、関心がエンジン開発から車づくり全体へ変わっていった。また、上司からもチーフエンジニアを目指せと助言され、製品開発の道へと進んだ[4]。
- 2022年12月、タイのブリーラム・サーキットで行われた25時間耐久レースに水素エンジンカローラが参戦した際[18]、モリゾウ(豊田章男のレーシングネーム)と並んでレースを観ている時に、「ちょっとお願いをきいてくれる?社長やってくれない?」と内示を受けた[19]。本人は本当に冗談だと思ったという。
- トヨタ自動車の社長では、豊田達郎(1992年社長就任)以来31年ぶりの理系出身者となる[20]。また、創業家の豊田家以外では、初のエンジニア出身の社長となる[21]。会見では「私はエンジニアで長くクルマ造りに携わってきた。クルマを造ることが大好き。だからこそクルマを造り続ける社長でありたいと思っている」「これからのクルマはモビリティへ大きく進化していく。その中でクルマの本質的な価値を守り、新しいモビリティの形を提案していきたい」と抱負を述べた[22]。
- 旧型車の愛好家で、中古車サイトをチェックしたり、ネットオークションで部品を入手している[23]。愛車はLCと4代目スープラ(A80型)[17]。また、カローラレビン(AE86型)を衝動買いし、整備を楽しんでいる様子をSNS上にアップしている[23][24]。
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t “社長 佐藤 恒治”. トヨタ自動車株式会社. 2023年4月1日閲覧。
- ^ “役員 JAMA”. 一般社団法人日本自動車工業会. 2023年6月16日閲覧。
- ^ a b c “「やめろ感」出てたトヨタ水素エンジン、一転レース参戦”. 朝日新聞. (2021年5月24日). https://www.asahi.com/articles/ASP5R6GP6P5GOIPE031.html 2023年1月26日閲覧。
- ^ a b c d “レクサスLC開発取材 きっかけは悔しい想い”. GAZOO.com (2017年3月16日). 2023年2月18日閲覧。
- ^ 「〈開発者インタビュー〉レクサス「LC」/トヨタ自動車 レクサスインターナショナル チーフエンジニア 佐藤恒治さん」『日刊自動車新聞』第23845号2017年3月28日、20面。2023年1月26日閲覧。
- ^ “トヨタ、執行役員/幹部職の担当を変更。GRカンパニープレジデントが友山氏から佐藤氏に”. autosport web (2020年8月6日). 2023年1月26日閲覧。
- ^ “豊田章男社長、2022年モータースポーツ新体制発表会で「ドライバーファースト」「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を語る”. Car Watch. (2021年12月6日). https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1372026.html 2023年1月27日閲覧。
- ^ “モリゾウ選手こと豊田章男社長は、なぜ水素エンジン車で24時間レースに挑むのか? すべてのエンジン技術者へのメッセージ”. Car Watch (2021年4月23日). 2023年1月27日閲覧。
- ^ “トヨタと東和不動産、クルマ愛にあふれる「富士モータースポーツフォレスト」開発発表 クルマオフ会のお勧めスポットとなるのか?”. Car Watch (2022年4月7日). 2023年1月27日閲覧。
- ^ 『役員人事および幹部職の担当変更、組織改正、人事異動について』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2019年12月4日。https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/30923536.html。2023年1月26日閲覧。
- ^ “トヨタが若手4人を執行役員に抜擢した狙い”. ニュースイッチ. (2020年12月5日). https://newswitch.jp/p/24926 2023年1月26日閲覧。
- ^ “トヨタ歴代社長一覧:豊田章男氏の在籍日数は歴代何位?”. レスポンス (2023年1月27日). 2023年1月27日閲覧。
- ^ “役員人事及び幹部職人事について”. TOYOTA Grobal Newsroom (2023年3月22日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ a b “役員体制について”. TOYOTA Grobal Newsroom (2023年6月14日). 2023年6月15日閲覧。
- ^ “役員人事について ニュースリリース ダイハツ工業株式会社 企業情報サイト”. ダイハツ工業株式会社 (2021年6月9日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ “取締役の変更および役割変更と幹部職の異動について ニュースリリース ダイハツ工業株式会社 企業情報サイト”. ダイハツ工業株式会社 (2023年3月22日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ a b “役員人事について”. TOYOTA Grobal Newsroom (2023年1月26日). 2023年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月1日閲覧。
- ^ “タイ25時間耐久レース始まる、豊田章男社長は「アジアでもカーボンニュートラルの新しい道が開けるのではないか」と語る”. Car Watch (2022年12月17日). 2023年2月19日閲覧。
- ^ “バトンタッチは爆音の中で 豊田社長が選んだ佐藤恒治次期社長”. トヨタイムズ (2023年2月3日). 2023年2月19日閲覧。
- ^ “トヨタ新社長は車好きの技術屋、30年ぶり理系出身…予想外の後任打診に「冗談なのかと」”. 読売新聞. (2023年1月28日). https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230128-OYT1T50100/ 2023年2月19日閲覧。
- ^ “トヨタ、佐藤恒治次期社長 豊田家以外では初のエンジニア出身 技術者ならではの経営に期待”. 日刊自動車新聞 電子版. (2023年1月28日). https://www.netdenjd.com/articles/-/279740 2023年2月19日閲覧。
- ^ “トヨタ新社長にガズーの佐藤氏…「クルマを造り続ける社長でありたい」”. レスポンス (2023年1月26日). 2023年2月19日閲覧。
- ^ a b “「トヨタの社長がヤフオクで部品探し!?」AE86購入した佐藤恒治氏に車好き共感”. MOBY (2023年2月3日). 2023年2月19日閲覧。
- ^ “豊田章男トヨタ自動車社長はなぜ会長になるの? 佐藤恒治新社長ってどんな人?”. 週プレNEWS. 集英社. 2023年2月18日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 佐藤恒治 - トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト