佐藤 勝彦(さとう かつひこ
日本の宇宙物理学者。専門は宇宙論。インフレーション宇宙論の提唱者として知られる。東京大学名誉教授、大学共同利用機関法人自然科学研究機構長、明星大学理工学部客員教授。日本学士院会員。2017年お茶の水女子大学学長特別招聘教授。
香川県坂出市出身。京都大学理学部物理学科および大学院理学研究科物理学第2専攻天体核物理学研究室で林忠四郎に師事した[1][3]。
略歴
業績
指数関数的膨張モデル
- 日本側の見解の一例
- インフレーション宇宙論に関しては、たとえばJAXA宇宙情報センターは次のように記述している。「佐藤勝彦がインフレーション理論を発表したのは1981年である。佐藤とほぼ同時期にアラン・ハーヴェイ・グースも同じくインフレーション理論を発表しているが、論文の発表は佐藤のほうが先である」[17]。
- 指数関数的膨張モデルとインフレーション
- ただし、事実関係として優先順位を知りたいというなら以下のいくつかの文章が助けになるであろう。「インフレーション」という用語を初めて使用したのはA.グースである[13]。佐藤は初め「指数関数的膨張モデル」という用語を用いていた。「私は当初、このモデルを『指数関数的膨張モデル』と呼びました。しかし、私の半年後に同様のモデルを発表したアメリカの宇宙物理学者グースが『インフレーション宇宙モデル』という巧みな名前をつけました。そのために現在ではインフレーション理論という名前で呼ばれています」[18]。
人物
京都大学大学院時代において、無給の助手として4年間に渡り研究を行う。博士号取得は「超新星爆発におけるニュートリノによるエネルギー輸送」に関する研究の論文による。博士号授与後、精密な計算手法を確立。何編もの論文を書き、これによって京都大学助手に就任した。その後、助手時代に書いた論文が認められ、北欧理論物理学研究所に赴任。ここで、一般相対性理論と量子力学の融合の研究を行う。この時に提唱したのが、現在は「インフレーション宇宙論」として知られる論文である。帰国後、京都大学から東京大学に移り理学系研究科にて研究を行う。
「初期宇宙の探求」では、マグナム望遠鏡や富士山頂サブミリ波望遠鏡などの建設に際して調印などの式典に参加。「極限対称系」では、超弦理論や超対称性理論の研究を行う研究者の招請などを行う。また自然科学研究機構の機構長として、アルマ望遠鏡の国際共同運用についての署名を行った[19][20][21]。現在は、学内では数物連携宇宙研究機構において、主任研究員を兼務している。主な研究テーマは数学から物理学へのアプローチなど。
2002年10月8日、佐藤はスウェーデン王立科学アカデミーから小柴研究室に小柴昌俊東大教授が今年のノーベル物理学賞を受賞したことを知らせる電話を受けた最初の人物だった。 佐藤と戸塚洋二はその夜の小柴の記者会見に一緒に出席することにした。 佐藤は記者会見で小柴の左側に座った[22]。
その他
著書
単著
- 新しい宇宙の探究(岩波書店 1990年)
- ビッグバン理論からインフレーション宇宙へ(徳間書店 1991年)
- 壷の中の宇宙(二見書房 1991年)
- 宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった(同文書院 1991年)
- 現代の宇宙像・宇宙はいかに誕生したか?(培風館 1991年)
- 相対性理論(岩波書店 1996年)
- 宇宙96%の謎 最新宇宙学が描く宇宙の本当の姿(実業之日本社 2003年)
- 図解 相対性理論がみるみるわかる本 (PHP研究所 2003年)
- アインシュタインの考えた宇宙 進化する相対性理論と最新宇宙学(実業之日本社 2005年)[注 1]
- 宇宙論入門-誕生から未来へ(岩波書店 2008年)
- 眠れなくなる宇宙のはなし(宝島社 2008年)
- アインシュタインの宇宙 最新宇宙学と謎の「宇宙項」(角川学芸出版 2009年)
- インフレーション宇宙論―ビッグバンの前に何が起こったのか (ブルーバックス 2010年)
- ますます眠れなくなる宇宙のはなし~「地球外生命」は存在するのか (宝島社 2011年)
- 気が遠くなる未来の宇宙のはなし(宝島社 2013年)
- 宇宙は無数にあるのか (集英社 2013年)
共著
訳書
監修書
テレビ出演番組
脚注
注釈
- ^ 筆者が多忙な時期に重なったため、実業之日本社の編集者が黒板などに板書した説明などを元に編集した書籍。
出典
外部リンク
- 先代
- 和達三樹
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- 日本物理学会会長
- 第61代:2005年 - 2006年
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- 次代
- 坂東昌子
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- 先代
- 志村令郎
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- 自然科学研究機構機構長
- 2010年 - 2016年
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- 次代
- 小森彰夫
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- 先代
- 鈴木厚人
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- 文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会長代理
- 2013年 - 2015年
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- 次代
- 羽入佐和子
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- 先代
- 平野眞一
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- 文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会長
- 2015年 - 2017年
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- 次代
- 西尾章治郎
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