二見書房
概要サブカルチャー系の書籍、海外翻訳小説などに強く、またいくつかの社内カンパニー、レーベルにより特性の異なった出版を行っている。またジョルジュ・バタイユの全集が良く知られている。 沿革1941年(昭和16年)に堀内印刷所[注釈 1]が出版業として千代田区に創業。印刷と出版の二つを見るという意味を込めて『二見書房』と命名された。ロダンの『フランスの聖堂』、森銑三の『学芸史上の人々』、モーパッサンの『女の一生』などを刊行するが、第二次世界大戦中の空襲により全焼し中断する。 再開したのは1960年(昭和35年)1月で、ベビーブームの最中に出版した吉岡専造の写真集『人間零歳』は大きく反響を呼んだ。続くノン・フィクション・シリーズ、NHK特別報道班の『アフリカ大陸を行く』、『中近東を行く』、『中南米を行く』などは当時のベストセラーとなった。その後、南海の島で発見された元日本兵の手記『グアム島』(1960年)は、英、仏、独、オランダなど海外6ヵ国で『天皇の最後の兵隊』として出版された。 佐藤得二の小説『女のいくさ』(1963年)は直木賞を受賞し[2]、3か月間、全国ベストセラー第1位を続けた。<山の遭難シリーズ>の『この山に願いをこめて』群馬県警察本部編につづき『この山なみのこえ』信濃毎日新聞社編が注目を集め、1969年(昭和44年)には、『素顔の日本』『エマニエル夫人』を出版し、ともに異色な出版物として世評を沸かせベストセラーとなる。この年『ジョルジュ・バタイユ著作集』の発刊を開始。 日本中を驚かせた『白い本』は1972年(昭和47年)に登場、発売と同時に売り切れ店続出し各書店でベストセラーを独占した。また、世界中で話題となった『チビっ子猛語録』の翻訳も発売され、中・高校生の間で人気となり、年度後半のベストセラーになった。 1974年(昭和49年)には新書版分野へ進出し、新企画として『刑事コロンボ』シリーズ(全36巻・別冊2巻)や『コックリさんの秘密』などがヒット。児童向けの新しいミニ判が人気となり、なかでも、ニッポン放送の番組から採録した『なぞなぞの本』(昭和50年)は、ベストセラーとなる。 1978年から1979年にかけてのウルトラマンシリーズ第3次ブームのときには、『ウルトラマンブック』『ウルトラ怪獣ブック』『ウルトラ大怪獣カード』を刊行した。売れ行きは良く、1992年ごろまで刊行は続いた。その後1993年から1994年にかけては、謎本の『ウルトラマン99の謎』『ウルトラ怪獣99の謎』『ウルトラマン特撮99の謎』が刊行された。 1976年(昭和51年)、テレビの人気番組『まんが日本昔ばなし』を出版。全30巻累計800万部をこえるミリオンセラーとなる。2005年(平成17)年10月からテレビ放映されリニューアル発売を開始。 1978年には近未来小説のさきがけとなった『第三次世界大戦』を出版。ヨーロッパ・日本でベストセラーとなる。 1980年(昭和55年)、新社屋が完成し三崎町から文京区音羽に移転。同年、ゲイ・タリーズの『汝の隣人の妻』上下2冊をアメリカと同時出版すると世界的に話題となる。『ペントハウス・ペット690』は高額な定価にかかわらず初版6万部を1ヵ月で完売する。人類の火星移住計画を暴いた『第三の選択の謎』(1982年)は、3か月で40万部を売り、上半期でのベストセラーとなった。 日本テレビアナウンサー小林完吾の『愛、見つけた』(1983年)は、全国の人々に感動を与えた。1984年には、手芸テキスト『ソープバスケット』を50万部売り、この年のベストセラーとなる。 ファミコン・ブームにのり『裏ワザ大全集』シリーズの『スーパーマリオブラザーズ』は100万部を突破。裏技ブームの一助を担った。この年から、オトナの文庫「マドンナメイト」の毎月定期刊行を開始。 1986年(昭和61年)には、アーヴィング・ウォーレスの『第七の機密』、ローレンス・ブロックの『聖なる酒場の挽歌』など、海外ミステリ専門文庫『ザ・ミステリ・コレクション』がスタートした。その後グレン・ミードの『雪の狼』(1997年)は、日本冒険小説協会大賞<外国部門>を受賞しベストセラーとなる。アイリス・ジョハンセンの『スワンの怒り』(1997年)、リンダ・ハワードの『二度殺せるなら』(1999年)など、ロマンス&サスペンスの傑作がベストセラーを続ける。 また、映画『プラトーン』の原作、デイル・A・ダイの同名の小説(1987年)が30万部突破のベストセラーとなる。その後も、ノストラダムス物の『ノストラダムス全予言』、豆本『10回10回クイズ』(ともに1988年)など、ベストセラーとなる。 帯津良一の『ガンを治す大事典』(1997年)などのガン治療関連図書をはじめ、南山宏の『オーパーツの謎』(1993年)、爆笑問題の『天下御免の向こう見ず』、『ヒレハレ草』、『三三七拍子』(1997年 - )、福知怜の『タイタニック号99の謎』(1998年)、三浦佑之の『童話ってホントは残酷』(1999年)などがベストセラー、ロングセラーとなった。 2003年(平成15年)に文京区音羽から千代田区神田神保町に移転した。韓流ブームのきっかけとなった冬のソナタの関連本『冬のソナタをもっと楽しむ本』(2003年)、ジャンボ旅客機の機体に秘められた驚きの秘密を公開した『ジャンボ旅客機99の謎』(2004年)、また『二見時代小説文庫』(2006年)の定期刊行を開始し、ともにベストセラー、ロングセラーとなる。 2008年(平成20年)、本社を二見書房発祥の地、千代田区神田三崎町に移転[3]。同年発行された「読めそうで読めない間違いやすい漢字」が未曽有の大ブームとなり、シリーズ累計170万部を超え、翌年オリコンで年間販売数1位を獲得。 『事故物件怪談 恐い間取り』(2018年)が話題となり、第2弾発売と同時に映画化され、ともに大ヒットを記録。また、世相を反映して『自分でできる遺言書』『もしものときのエンディングノート』『高齢ドライバー脳活ドリル』などの実用書がロングセラーとなっている。 レーベルとして、「ハニー文庫」(平成26年)、「二見レインボー文庫」(平成27年)、「二見サラ文庫」(平成30年)、「二見ホラー×ミステリ文庫」(令和3年)などを創刊し、さまざまなジャンルでの定期刊行を行っている。 二見書房の社内カンパニー・レーベル
その他かつて営業車にダイハツ・シャレードを使用しており、リアガラス付近に「Charade」のロゴが入ったステッカーが貼られていた。
脚注注釈出典
参考文献
外部リンク |