五瓣の椿
『五瓣の椿』(ごべんのつばき)は、山本周五郎の時代小説。1959年1月から同年9月まで講談社の雑誌『講談倶楽部』に連載の後、同年に講談社より刊行された。 新潮文庫版でロングセラーとなっている。また、ドラマ・映画・舞台にもなっている。 あらすじ「紅あかい一枚の椿の花片」が現場に残される連続殺人が起きた。平簪で男を突き死に至らしめるが、そこには躊躇った様子が見えなかった。捜査にあたる八丁堀の与力、青木千之助は現場で目撃された若く美しい娘を探すが正体が掴めない。しかし幻の女が現れる場所で再び男が殺されていく。 天保5年正月に亀戸天神近くの白河端にある薬種商「むさし屋」の寮より火事が出て、主人の喜兵衛(45)、妻のおその(35)、娘のおしの(18)と一家3人が亡くなった。遺体は損傷がはげしく男女の区別さえつかない様子だった。おしのは老舗で財産家の一人娘らしくおっとりとして母親譲りのうつくしい娘だった。 おしのの最愛の父・喜兵衛が死んだ。婿に入って以来、遊びもせず身を粉にして働いた身体は労咳(結核)に蝕まれていた。一方、母・おそのは夫を避けて寮に移り住み、遊興に耽り、男を連れ込んで、不行跡を続けていた。おそのが夫の死を知ったのは、おしのと見舞いに行く約束を破って、役者と行った箱根から帰ってきてからだった。おそのは夫の遺骸を前にしても悲しまないばかりか、死人の側にいるのを嫌がる。おしのに、父への不人情をなじられると、夫を悪く言い、この人は本当の父ではないから悲しむことはないと言い放った。呆然としたおしのは一人、部屋にこもり、己を恥じない母を汚れていると思った。母の血が流れる自分の身体も汚れていると身震いした。そして実の子でない自分への父の愛情を思った時、女ばかりか人間ぜんぶを辱める罪を犯した母と母と一緒に父を苦しめた男たちに、罪を償わしてやると誓う。寮には、父が眠り、母と役者が酒を飲み抱き合って眠っている。おしのは、そこへ火を放ち、去っていった。 一年後、おりうという女が一人の男を殺した。男の傍らに一片の花びらが落ちていた。それは、喜兵衛が子どものころ悲しいことがあった時に見てすごしたと、おしのに語った椿の花びらだった…。 登場人物
書誌情報
映画
井手雅人脚色、野村芳太郎監督により、松竹配給で1964年11月21日に公開された。主演は岩下志麻。 キャスト(映画)
スタッフ(映画)テレビドラマ(1969年版)1969年4月4日から同年5月9日までフジテレビ系列で放送。全6回。『おんなの劇場』の第1作。 キャスト(1969年版)スタッフ(1969年版)ネット局(1969年版)
特筆の無い限り全て同時ネット。
※『宝塚映画シリーズ』(後の『阪急ドラマシリーズ』)は『おんなの劇場』設置に伴い、30分繰り下げる。 テレビドラマ(1981年版)『五辮の椿 復讐に燃える女の怨念』と題して、1981年4月2日に日本テレビ系の木曜ゴールデンドラマ枠で放送。全1回。視聴率18.0%[3]。 キャスト(1981年版)スタッフ(1981年版)
テレビドラマ(1987年版)『五瓣の椿 復讐編 焼死体をすり替えた美女の謎』および『五瓣の椿 完結編 白い肌に秘めた復讐の簪』と題して、1987年4月14日および4月21日に2週にかけてテレビ朝日系の傑作時代劇枠で放送。 キャスト(1987年版)
スタッフ(1987年版)テレビドラマ(2001年版)
2001年11月30日から12月28日までNHKの金曜時代劇で放送。全5回。アジアテレビ祭 最優秀賞、ゴールデンチェスト国際テレビ賞受賞。同年放送のNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』でヒロインを務めて数々の新人賞を受賞した国仲涼子の時代劇初出演ならびに初主演作品である[4]。 2012年9月2日から10月までアンコール放送された。また2017年3月3日から3月31日までNHK BSプレミアムのBS時代劇で「時代劇アンコール」として再放送された[5]。さらに2022年12月4日から2023年1月8日までNHK総合テレビの『特選!時代劇』で再放送された[6]。 キャスト(2001年版)主要人物
その他
スタッフ(2001年版)
放送日程
受賞
脚注注釈
出典
外部リンク
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