中小企業退職金共済
中小企業退職金共済(ちゅうしょうきぎょうたいしょくきんきょうさい、英: Smaller Enterprise Retirement Allowance Mutual Aid System)とは、独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下、機構)の、中小企業退職金共済事業本部が運営する、社外積立型の公的退職金制度。略称「中退共」(ちゅうたいきょう)。 中小企業以下の企業を対象に、従業員に対する退職金制度を実現するためのものである。加入者は企業で、メリットとしては退職金積立金管理の簡略化、積み立て掛け金の税制上の優遇措置(全額非課税)などがある。原資は全額が事業主負担である。 企業(使用人兼務役員、使用者)が加入者となる制度であるが、国民年金基金などのような宣伝広告がほとんど行われておらず、知名度が低いため、加入条件を満たす中小企業でも中退共制度に加入していない、退職金のない企業が多い(ハローワークの求人票には退職金制度とともに中退共の加入の有無が記載されている)。 制度の目的独自の力で退職金制度を設けることが困難な中小企業のために、事業主の相互共済と国の援助によって退職金制度を確立し、中小企業の従業員の福祉の増進を図るとともに、中小企業の振興に寄与することを目的とする(中小企業退職金共済法〈昭和34年法律第160号〉(以下「法」という。)第1条)。 特定の業種を対象とした制度一般の中小企業退職金共済以外にも、特定の業種を対象とした次の制度がある。厚生労働省の説明ページ[1]には「中退共制度のように一社を退職するときに支払われるのではなく、その業界で働くことをやめたときに退職金が支払われる『業界の退職金制度』です」の説明がある。総称は「特定業種退職金共済」、略して「特退共(とくたいきょう)」。
制度のしくみ事業主(共済契約者)が機構と従業員(被共済者)一人ごとに退職金共済契約を締結し、被共済者ごとに一定額(月額 5,000円~30,000まで16種類の中から選択。ただし、短時間労働者については、特例掛金として2,000円、3,000円、4,000円の掛金からも選択できる。)の掛金を金融機関を通じて機構に納付する。掛金は機構によって管理運用され、退職金支給の原資に充てられる。なお、掛金は全額非課税で、全額事業主からの拠出となる。 退職金の額は、掛金月額と掛金納付月数に応じて、一定の運用利回りを前提にして固定的に定められた基本退職金と実際の運用が、この運用利回りを上回った場合に付加される付加退職金の両者を合算した額となる。また、退職金は一時払いによるほか、全額又は一部を分割して受け取ることができる。 加入できる事業主(法第2条)
加入させる従業員(法第3条)従業員は原則として全員加入。ただし、次のような者は加入させなくてもよい。
なお経営者については、使用人兼務役員の条件を満たすものは加入可能。すなわち代表取締役、代表執行役などは加入できない。 掛金月額(法第4条)5,000円 6,000円 7,000円 8,000円 9,000円 10,000円 12,000円 14,000円 16,000円、18,000円 20,000円 22,000円 24,000円 26,000円 28,000円 30,000円までの16種類。ただし、短時間労働者に限り、特例掛金として 2,000円 3,000円 4,000円からも選択可能。 掛金月額の変更(法第9条)掛金月額は、随時変更することができる。ただし、過去にさかのぼって変更することはできない。 退職金(法第10条)掛金納付年数別の退職金額
退職金は全額一時払いのほか、一定条件が整えば本人の希望により全額又は一部を分割払いにすることができる(支給期間は、5年又は10年間)(法第10条の3)。 掛金納付月数の通算(法第18条)
過去勤務期間の通算(法第27条)
中小企業に該当しなくなった場合の他制度への引継ぎ(法17条第1項)企業が発展して、中小企業でなくなった場合、申出により所定の要件を満たす確定給付企業年金、企業型確定拠出年金又は特定退職金共済に引き継ぐことができる。 特定退職金制度との相互通算(法第30条・第31条)本制度と特定退職金共済制度との間において、退職金相当額の引受け、又は引渡しをすることができる。 掛金助成(法第23条)新たに本制度に加入する事業主及び掛金月額を増額する事業主について、掛金の負担軽減措置がある。 掛金は全額非課税(法人税法施行令第135条、得税法施行令第64条)掛金は全額損金又は必要経費に算入できる。(法人税法施行令第135条、所得税法施行令第64条) 契約締結から退職金の受領まで
脚注出典
注釈
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