世界で最も美しい湾クラブ世界で最も美しい湾クラブ(せかいでもっともうつくしいわんクラブ、仏: Le Club des plus belles baies du monde、英: World's Most Beautiful Bays Club[注釈 1])は、「湾を活かした観光振興と資源保護、そこに暮らす人々の生活様式や伝統の継承、および景観保全(シースケープ)」を目的に、1997年3月10日にドイツのベルリンで設立され、フランスのヴァンヌ市に本部を置くNGOで、ユネスコの後援をうけている。 加盟条件加盟条件は申請する湾に、 全く手つかずの厳正自然状態を求めるものではなく、湾内にある人工物(街・橋・灯台など)も対象となる。年次総会で選出された13名の理事(三年任期)による現地調査をもとに総会の加盟審査委員会で理事の合議により決められ、2004年から本格的な加盟選定を開始している。 加盟する湾以下、英語表記国名のアルファベット順記載(ユネスコ慣例順)[注釈 2]。
松島町役場による加盟湾一覧[2]は、クラブ公式サイトで確認できないものや実在しない湾名(認識されていない和訳)が含まれ、世界遺産としているところも登録地ではない場所があるなど情報として不正確であるが、別枠として掲載する[注釈 4]。
湾が注目される背景2003年の持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルクサミット) において2012年までに国際的な海洋保護区のネットワーク構築が提唱され、2010年のCOP10(第10回生物多様性条約締約国会議)で採択された愛知ターゲットでは2020年までに地球上全海洋面積の10%を海洋保護区にすることを合意した(海の総面積約3億6100万㎢の一割はユーラシア大陸全体より広い)。 これをうけ世界遺産(自然遺産)の学術的評価を審査するユネスコ諮問機関のIUCN(国際自然保護連合)もGlobal Marine and Polar Programme(世界海洋・極地プログラム)を立ち上げ、主催する世界自然保護会議で海洋保護区についての具体的検討を開始[3]。UNEP(国連環境計画)によると現時点ではヨーロッパの面積に相当する3%までは達成したが[4]、現実的には先行き困難な状況下にある。 そこで組織内に政府間海洋学委員会を持つユネスコは、管理が難しい外洋(特定の国の領海や排他的経済水域に属さない公海)ではなく、陸地に接した湾に着目。穏やかな湾内のエコトーン・エコリージョンは生物多様性が確保・観察でき、湾内流入の状況から海洋汚染のバロメーターにもなる。また、湾内での水中文化遺産保護条約の展開も期待する。今後、ラムサール条約や生物圏保護区での湾の登録が推奨される可能性は高い。 懸案事項南極条約によりどこの国にも帰属しない南極大陸でも(領有権主張はある)、CCAMLR(南極の海洋生物資源の保存に関する委員会)が海洋保護区制定を主張しており[5]、そこに含まれる南極の湾の一方的な保護と活用は国際問題にも発展しかねない。同様に多国間の領土問題がある南沙諸島における湾(実際には環礁の切れ目)を特定国が加盟させることで既成事実化するような政治利用も懸念される。 また、現時点では海洋域の湾に限られているが、淡水域の湖沼の湾にも範囲を広げることで、内陸国の参加も望まれる。 クラブ活動クラブは加盟湾の登録を推進しているだけではない。国際会議「青い海、緑の街(Blue Sea, Green City)」の主催[6]や加盟国開催の海洋フォーラムの後援、世界遺産委員会やラムサール条約締約国会議へのオブザーバー参加、UNWTO(世界観光機関)への助言、港湾美観整備の提言、バラスト水排水による生態系への影響調査援助、湾内浚渫の支援、出版物刊行[7]、など存在感を増している。 脚注注釈出典
関連項目外部リンク
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