『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』(原題: Once Upon a Studio)は、2023年のアメリカ合衆国の実写/アニメーション短編映画[2][3]。
概要
ダン・エイブラハムとトレント・コーリーが監督を務め、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが製作、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが公開した。本作には543を超えるのディズニー・アニメーションのキャラクターが登場する[4]。
2023年10月16日に迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーの100周年にインスパイアされた本作は、コーリーとエイブラハムによってウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオへの「ラブレター」と表現された[5]。アートスタイルは、CG、セルアニメ、実写を組み合わせたもの。
本作は、2023年6月11日にアヌシー国際アニメーション映画祭でプレミア上映され、同年10月15日に傘下のテレビ局であるアメリカ・ABCテレビで『ワンダフル・ワールド・オブ・ディズニー: ディズニー100周年記念セレブレーション』の一環として『ミラベルと魔法だらけの家』と共にTVで初放送された後、11月22日に『ウィッシュ』と共に劇場公開された[6][7]。またミッキーマウスの短編映画がスクリーンで同時上映されたのはアメリカで2013年公開の「ミッキーのミニー救出大作戦」以来10年ぶりのことである。
冒頭に登場するベテランアニメーターのバーニー・マッティンソンは公開を待たずにこの世を去り、本作は彼に捧げられている。本作の二人の監督もカメオ出演している。
あらすじ
ディズニー・レジェンドのバーニー・マッティンソンが「スタジオの壁と話せたらいいのに」と願うシーンからはじまる。その後、妖精・ティンカー・ベルから人々がいなくなったことを聞いたミッキーマウスとミニーマウスが壁の絵から飛び出し、スタジオ中のキャラクターを集めて集合写真を撮ろうと計画する。自由に飛び回るピーター・パン、長い廊下を通って撮影に向かうシスーとジム、階段を降りて写真撮影へと向かう途中転がるトロールの上に乗ってしまうアラジンとアブー、ヴァネロペが運転するキャンディ・カートの助手席に乗るドジャー、エリオットとともに空を飛び写真撮影へと向かうコーディ、海に乗って写真撮影へと向かったモアナに巻き込まれて地上へ到着してしまうフランダーは呼吸できなくなり慌てたモアナはマーリンに相談し、マッドハッターの帽子を即席の水槽にしてフランダーの安全を確保する。偽金を掴まされて[8]自動販売機に八つ当たりするストロンボリ、エルサに氷漬けにされるハンス、スローな動きでエレベーターに乗ろうとするフラッシュ、ジーニーを描くオラフ、筋肉を自慢するガストン、それを妨害して大笑いするチェシャ猫、蜂蜜の食べ過ぎで絵から出られないくまのプーさんと仲間たち、パスカル、クリキー、プア、ミーコなどと仲良くなったアントニオ、ジャックとガスを食べようとするジョアンナ、それを追い払うプルート、スクルージが落としだ金貨袋を回収し撮影に向かうロビン・フッドとリトル・ジョン、エレベーターをぎゅうぎゅう詰めにするベイマックス、アースラに惚れるスプラット、シンデレラの代わりに靴を落とすチャーミング王子、クララベルに催眠術をかけるカー、彼をフライパンで懲らしめるラプンツェル、スタジオのドアに激突したラルフを馬鹿にしていたところを暴走するトード氏と魔法のじゅうたんに轢かれそうになっていたスカー、危うくグーフィーの梯子でやられそうになるイカボード、帽子をピンクとブルーに変えようとするフローラとメリーウェザーなどディズニーの仲間たちはそれぞれの個性を出しながら撮影の準備に大忙し。そんな中ミッキーはウォルト・ディズニーの肖像画を見つめて「ショーを続けよう」と語りかけその場を後にしてダンボに乗り撮影に向かう。ラフィキからカメラを渡されたグーフィーは早速写真を撮影しようとするも、持ち前のうっかりさが原因でカメラを壊してしまい、スティッチが壊したカメラのパーツをかじっていたところ、リロに手を引かれて戻っていった。それを見ていたキャラクターたちは「また100年後まで待つしかない」とショックで帰ろうとするが、ミッキーは引き留めようとする。それを後押しするようにアラナデールが得意のバンジョー、スキャット・キャットはトランペット、ミラベルはアコーディオンで音楽を奏で、ベルと野獣も「星に願いを」を歌唱。ところがハデスはうんざりしていた。続いてカジモド、ポカホンタス、アリエルも歌い、相変わらず音痴なスカットルを黙らせつつ歌うモーグリとバルー。ほうきたちが壊れたカメラを集め、さらにフェリックスが魔法のハンマーでカメラを修理し、ヘラクレスは梯子を立て直し、ゴッドマザーの魔法でグーフィーを浮かばせカメラを梯子に設置させる。白雪姫、ムーラン、アーシャが手を取り、ティガーに押し倒されながらも歌うプー。ラストはミッキーの手の上に乗ったジミニー・クリケットと共に仲間たちはフィナーレを飾る。そして、ディズニーの仲間たちは記念写真を撮ることに成功したのだった。
声の出演
その他の日本語版キャスト:aYano、内田ゆう、大木理紗、斉藤裕美子、立花敏弘、メロディー・チューバック、TOMU、永井崇多宏、原田真純、渕上祥人
この作品には、様々な年代に公開された映画のキャラクターが登場しているため、事情(年月の経過による成長や死去)により出演者の一部は、過去に収録した音声(子役時代や生前に収録された音声)を使用する「ライブラリ出演」の手法が取られている。
スタッフ
楽曲
- 星に願いを(ディズニー映画『ピノキオ』より)歌:ペイジ・オハラ、ロビー・ベンソン、トム・ハルス、ジュディ・カーン、ジョディ・ベンソン、ジェス・ハーネル、フェニックス・ライサー、ジム・カミングス、ナタリー・バビット・テイラー、レア・サロンガ、アリアナ・デボーズ、クリフ・エドワーズ、クリス・ディアマントポロス、ケイトリン・ロブロック(原語版)/平川めぐみ、山寺宏一、石丸幹二、土居裕子、小此木麻里、鳴海竜明、岡田誠、小鳩くるみ、伊東えり、生田絵梨花、かぬか光明、田村しげる、星野貴紀、遠藤綾(日本語吹き替え版) ラストで全員が歌いフィナーレを飾った。伴奏はアラナデール、スキャット・キャット、ミラベルが担当する。
- On the Rooftop(ディズニー映画『ピーター・パン』より)
- Gettin' Hot in a Flash(ディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』より)
- 愛のうたごえ(ディズニー映画『バンビ』より)
- きみもとべるよ!(ディズニー映画『ピーター・パン』より)
- レット・イット・ゴー(ディズニー映画『アナと雪の女王』より)エルサがハンスを凍らせる場面に使用されている。
- ワーク・スローリー・アンド・キャリー・ア・ビッグ・シュティック(ディズニー映画『ズートピア』より)
- フレンド・ライク・ミー(ディズニー映画『アラジン』より)ジーニーがオラフの前に姿を現す場面で使用されている。
- 強いぞ、ガストン(ディズニー映画『美女と野獣』より)歌:リチャード・ホワイト(原語版)/武内駿輔(日本語吹き替え版) 本編内でガストンが口ずさんでいる。
- 禿山の一夜(ディズニー映画『ファンタジア』より)本編内で子犬たちが『禿山の一夜』の一場面をテレビで視聴している場面で流れる。
- 王様のプラン(ディズニー映画『シンデレラ』より)
- 信じてほしい(ディズニー映画『ジャングル・ブック』より)歌:スターリング・ホロウェイ(原語版)/八代駿(日本語吹き替え版) 本編内でカーがクララベル・カウに催眠術を掛ける場面で使われている。
- 2ペンスを鳩に(ディズニー映画『メリー・ポピンズ』より)本編内でミッキーがウォルト・ディズニーの肖像画に語りかける場面で流れており、作曲者のリチャード・M・シャーマン自らがピアノソロを担当している。
- 美女と野獣(ディズニー映画『美女と野獣』より)
- Steamboat Bill(ディズニー映画『蒸気船ウィリー』より)
製作
本作は、2023年10月のウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年に向けて、トレント・コリーとダン・エイブラハムの両監督が、約8カ月間、自由時間にアイデアを出し合い、製作された[4][6]。2人は本作を、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオへの「ラブレター」であると同時に、「この100年間、作品と関わってくれた観客の皆さんへの感謝の気持ち」と呼んでいる[14][4]。本作には543人以上のキャラクターが登場し、40人以上のキャストが参加した[4]。オラフ(英語版)の声を担当するジョシュ・ギャッドによると、この中には、ロビン・ウィリアムズが録音した未使用の音声を使用するジーニーの台詞も含まれるという[12]。本作は、セルアニメ、CG、実写を組み合わせた作品となる[4]。
日本語吹き替え版では現時点で存命している声優による新規収録の他、既に死去している声優のライブラリ出演となっている。
封切り
本作は、2023年6月11日に開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭のオープニングセレモニーにてプレミア上映された[14]。また、同年9月10日に開催されたデスティネーションD23のウォルト・ディズニー・スタジオのパネルでも上映され、スタンディングオベーションを受けた[15]。その後、ウォルト・ディズニー・カンパニーは同年10月15日夜に同社傘下のテレビ局であるアメリカ・ABCテレビにて『ワンダフル・ワールド・オブ・ディズニー: ディズニー100周年記念セレブレーション』の一環として放映し、翌日16日に同じく同社運営の定額制動画配信サービスであるDisney+にて世界配信した[7][16]。2024年4月18日からは日本語吹替版も追加されている[17]。
2023年11月22日に劇場公開された『ウィッシュ』でも同時上映され[6]、日本でも同年12月15日公開の同作品において、特別吹替付きで同時上映された[18]。
2024年4月24日[19]から『ウィッシュ』のMovieNEXが販売されるのに伴い、本作品も日本語吹替版と字幕版の両方をボーナス・コンテンツとして収録された[20]。
脚注
- ^ “Annecy Springs Back With Disney Celebration - Variety”. web.archive.org (2023年6月22日). 2023年9月23日閲覧。
- ^ “ディズニーの543キャラクターが登場『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』配信決定”. ORICON NEWS (2023年9月23日). 2023年9月23日閲覧。
- ^ Inc, Natasha. “祝ディズニー100周年!543キャラが記念撮影「ワンス・アポン・ア・スタジオ」予告”. 映画ナタリー. 2023年9月23日閲覧。
- ^ a b c d e f Ben Croll (2023年6月11日). “Annecy Opens on Note of Artistic Defiance as Disney Premieres Centenary Short Once Upon a Studio”. Variety. 2023年9月3日閲覧。
- ^ “Annecy Opens On Defiantly Positive Note Three Days After Knife Attack; – Deadline”. web.archive.org (2023年6月22日). 2023年9月23日閲覧。
- ^ a b c Motamayor, Rafael (2023年6月12日). “Disney's Once Upon A Studio 100th Anniversary Short Brings Back That Classic Magic [Annecy 2023]” (英語). /Film. 2023年9月3日閲覧。
- ^ a b Zachary (2023年9月21日). “'Once Upon a Studio' Trailer Celebrates 100 Years of Stories and 100 Years of Magic”. The Walt Disney Company. 2023年9月23日閲覧。
- ^ 日本語版より。
- ^ a b c d e f g h i j “Once Upon a Studio: Behind the Scenes”. 2023年9月23日閲覧。
- ^ “Once Upon a Studio: Disney 100th-Anniversary Short Film Features Original Voices” (英語). Movies. 2023年9月23日閲覧。
- ^ Attractions (2023年9月10日). “We just saw a new animated short at #DestinationD23 called Once Upon a Studio featuring tons of characters from past Disney Animated films. It was so good, the creators got a one minute standing ovation when it ended”. Twitter. 2023年9月23日閲覧。
- ^ a b c “After Robin Williams Fans Criticized His Genie Being Used In New Disney Short, Josh Gad Provided Clarity | Cinemablend”. web.archive.org (2023年6月23日). 2023年9月3日閲覧。
- ^ Giardina, Carolyn (2023年9月22日). “Disney Characters Assemble in ‘Once Upon a Studio’ Trailer” (英語). The Hollywood Reporter. 2023年9月23日閲覧。
- ^ a b “Annecy Opens On Defiantly Positive Note Three Days After Knife Attack; – Deadline”. web.archive.org (2023年6月22日). 2023年9月3日閲覧。
- ^ Shaw-Williams, Hannah (2023年9月10日). “Destination D23's Disney Studios Showcase Didn't Have Much To, Er, Showcase”. /Film. 2023年9月23日閲覧。
- ^ “ディズニー100周年の記念写真を撮るために“543の人気キャラ”集結! 短編「ワンス・アポン・ア・スタジオ」10月16日から配信”. 映画.com (2023年9月23日). 2023年9月23日閲覧。
- ^ “ディズニー公式@disneyjpのポスト”. X(旧・Twitter) (2024年4月18日). 2024年4月18日閲覧。
- ^ “ディズニー543キャラクターが登場する短編『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』、『ウィッシュ』と同時上映”. ORICON NEWS (2023年10月16日). 2023年10月17日閲覧。
- ^ デジタル配信は2024年3月27日から。
- ^ “同時上映作品も収録『ウィッシュ』MovieNEX発売決定!アフレコの裏側、未公開など特典映像も盛りだくさん”. MOVIE WALKER PRESS (2024年3月8日). 2024年3月8日閲覧。
関連項目
外部リンク
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