ルイジ・パシネッティ(Luigi Lodovico Pasinetti、1930年9月12日 - 2023年1月31日)は、イタリアの経済学者である。パジネッティ[1]とも。
ベルガモに近いザーニカで生まれた。1962年にケンブリッジ大学でPh.D.を取得し、ポスト・ケインズ派経済学の分野に於いて多大な業績を上げた。ケンブリッジ資本論争(英語版)における重要な参加者の一人である。
略歴
- 1930年 イタリアのザーニカで生まれる。
- 1954年 ミラノ・カトリック大学を卒業。
- 1959年 最初の教育職はオックスフォード大学のナッフィールド・カレッジであった。
- 1961年 ケンブリッジ大学のキングス・カレッジの研究員となった(~1976年)。
- 1962年 ケンブリッジ大学でPh.Dを取得。
- 1971年と1975年 コロンビア大学、カルカッタのインド統計研究所、デリー経済学学院の客員教授となる。
- 1977年 イタリアに戻り、母校であるミラノ・カトリック大学の経済学教授となる。
- 1979年 セント・ヴィンセント経済学賞を受賞。
- 1980年 国際経済学会の委員を務める。
- 1984年9月16日~10月9日 日本を訪問、京都大学では特別講義を行う。
- 2023年1月31日 ミラノで死去[2]。
研究
- パシネッティは、古典派経済学、マルクス経済学などにも深い知識をもっているほか、理論経済学、比較経済体制論、産業組織論、国際経済論の知識をもっている。
- 1960年代、イギリス・ケンブリッジ学派とアメリカ・ケンブリッジ学派の間で「資本理論」の論争が行われたが、イギリス・ケンブリッジは転換現象から進めて行き、正統派ミクロ経済学のほぼ全体を否定することになった。
- パシネッティは、カルドア型成長モデルにおける利潤率は労働者階級の貯蓄性向とは全く無関係で、資本家の貯蓄率のみに依存していることを示した。カルドアと共に完成させた、成長と分配に関する「ケンブリッジ方程式」はマクロ経済学への大きな貢献といえる。とくに、労働者の総貯蓄が投資の均衡水準にとって経済全体の貯蓄を全て供給するほど大きくない限り、利潤の一部を稼得したとしても長期的な均衡均等利潤率は投資家の貯蓄性向によって決まり、労働者の貯蓄性向から独立であるという命題は「パシネッティの定理」といわれている。
- 構造化とは動学的な需要変化と技術進歩を中心とするものであるが、とくに技術進歩について十分、検討されていない。ワシリー・レオンチェフやピエロ・スラッファ流の投入-産出分析に対し、パシネッティは垂直的統合分析を主張している。投入-産出分析は財の産業間の流れに注目するが、垂直的統合分析は垂直的統合部門を構築していくことである。それによって各部門の技術進歩率と需要変化率の関係が分かり、マクロ的な動学的完全雇用条件が示せるようになることを試みている。
著作
脚注
外部リンク