リュウテンサザエ科
リュウテンサザエ科(りゅうてんさざえか)は、ターバン型の貝殻をもつ海産の巻貝の科。サザエ科、リュウテン科、リュウテンガイ科の和名もある。貝殻の内面には真珠光沢がある。熱帯海域から極地付近、潮間帯から深海の広範囲に分布するが、多くの種は温暖な海の潮間帯下に生息する[4][5]。 科のタイプ属はリュウテン属 Turbo Linnaeus, 1758(二次指定)で、リュウテン属のタイプ種はリュウテン(竜天) Turbo petholatus Linnaeus, 1758[3]であるため、リュウテンが本科の分類の基準となる。リュウテンの別名にリュウテンサザエやリュウテンガイがあり、リュウテンをこれらの別名で呼ぶ場合には、それに合わせて科名もリュウテンサザエ科やリュウテンガイ科となる。 生態ニシキウズ科と同様に、雌雄の別はあるが交尾は行わず、メスは放卵しオスは放精する。孵化した幼生は浮遊するが、短期間で稚貝となり、種の分布域は限られている場合が多い。サザエやスガイのように岩礁上や海藻上で海藻類などを削り取って食べるものが多いが、リンボウガイやアザミガイなどのように砂底や砂泥底に生息する種もある[6]。 形態頭部に触角を持つが、ニシキウズ科など他の古腹足類に比し上足触角は短いものが多い。鰓はニシキウズ科同様、左側に寄る。呼吸その他に使う外界水の取り込みには、新生腹足類に見られる外套膜の一部が伸長した水管のかわりに、左右の触角後方に頸葉 (neck lobe(s))と呼ばれる”首”の肉が伸び広がった部分があり、これを丸めるようにして管状にし、左頸葉から海水を取り込み、右頸葉から排出する[7][8]。歯舌は中央歯が広い板状[9]。リュウテンサザエ亜科の蓋は本来のキチン質の蓋の表面に石灰が沈着した厚い石灰質[10]で、そ蓋の内面(足への付着面)を見ると螺旋を描いた本来のキチン質の蓋が観察できる。他の亜科は角質多旋型の蓋をもつ。 人との関係大型のサザエ類は食用となり、煮ても焼いても美味い。ツブ貝は肉食性で寒冷な深海に棲みツブかごで採取されるのに対し、リュウテンサザエ科は藻類食で比較的温暖な浅海に生息し素潜りで採取される。バテイラやクボガイ類も小型だがとても美味く、「磯玉」として海浜で食用とされる。昔からヤコウガイの貝殻は螺鈿細工に使用されてきた[11][12]。海岸で貝殻を拾うときに見つかる貝のフタはリュウテンサザエ亜科の蓋である。 分類石灰質の蓋をもつ種族のうちサラサバイ類やサンショウスガイ類は、現在ではリュウテンサザエ科とは別の科に分類される。一方で、角質の蓋をもつバテイラ類やギンタカハマ類は、従来のニシキウズ科から独立した科[13]あるいはリュウテンサザエ科に属する亜科に分類されるようになった[14][15][16]。 下にリュウテンサザエ科関連の系統分岐図の概略を示すが、種々の異なる遺伝子解析結果が報告されており、蓋が石灰質か角質かなどの外観とはかならずしも一致せず、系統は未確定である[13][15][16]。
脚注注釈出典
参考文献
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