リチャード・ヴェルナーリチャード・アンドレアス・ウェルナー[1] (Richard Andreas Werner、1967年1月5日 - )はドイツのエコノミスト、ウィンチェスター大学の経済学教授。 ヴェルナーは金融政策と開発エコノミストである。量的緩和や"QE2"の表現を最初に提案した学者。真の量的金融緩和は信用創造拡大が必要と指摘[2]。"信用の量理論"を提案し、GDP取引に使用する信用創造と金融取引に使われる信用創造のふたつの側面を強調した。 初期の活動ヴェルナーは1989年にロンドン経済学校 (LSE)を卒業。オックスフォード大学 在学中に一年間東京大学に留学[3]。博士課程をオックスフォードで修了。 1991年に経済・統計学研究所(オックスフォード)で欧州委員会が主催するマリー-キュリー研究員に任命された[3]。当研究所で書いた彼の論文では、日本の銀行システムの脅威を警告し、"世界恐慌以降の大不況時代"が来ると訴えていた。 東京滞在中に、日本政策投資銀行の資本形成研究所で初めての下村フェローになった。また日本銀行の金融・経済研究所と財務省の金融研究所で客員研究員だった[3]。 キャリアヴェルナーは1994年から1998年までジャーディン・フレミング 社の主任エコノミストとして働きながら、日本の信用サイクルと金融政策について多数の論文を書いた。一部日本語でも発刊されている。 現在はサウサンプトン大学で教えている[3]。シュンペター信用理論と同様に信用の量理論を開発した[4]。 ヴェルナーが出版した「円の支配者」は2001年日本で総合ベストセラーになった[5]。この本は日本銀行の金融政策と中央銀行が行う窓口指導を分析する[6]。 ヴェルナー理論主流経済学においては貨幣数量説に基づき、ケンブリッジ現金残高方程式により、 M=kpY 貨幣量=マーシャルのk×物価×実質GDP 上記公式をフィッシャー交換方程式に変形すると、 MV=PT 貨幣量×流通速度=物価×取引量 上記の公式で通貨供給量とGDPの関係式にする。主流経済学では貨幣数量説により貨幣を増加させれば物価が上がるとされ、 流通速度流通速度は基本的に一定と考えられるから、中央銀行が通貨供給量を拡大すればデフレ脱却するとしてきた。 MV=PY 通貨供給量×通貨供給量の流通速度=生産量×商品価格 しかし日銀がデフレは貨幣現象であるとして量的緩和政策を行わせたにもかかわらず政策が効いていない。 実体経済はGDPや物価が変動する市場である一方、金融経済は物価に反映されない非GDP取引であり、 GDP取引と非GDP取引に分けて考えるべきである。 主流経済学は交換方程式を通貨供給量で計算しているため実体経済向けと金融経済向けに分割することができないため、 実体経済向けと金融経済向けを分割した公式化モデルを構築していなかったので、 通貨供給量が増加しても物価上昇しない理由について説明できなかった。 通貨供給量ではなく信用創造量を設定することで、実体経済向けと金融経済向けに分割できる。 金融経済向け信用創造×金融経済向け信用創造の流通速度=金融経済の商品量×金融経済の商品価格 実体経済向け信用創造×実体経済向け信用創造の流通速度=実体経済の生産量×実体経済の商品価格 非GDP取引が拡大すると、通貨供給量が増えても名目GDP取引に反映されないので貨幣の流通速度は低下する。 GDP取引に反映しない金融経済向け信用創造を省き、実体経済向け信用創造に限定すると、実体経済向け流通速度は一定である。 一定であるから実体経済向け信用創造量を増加させればよい事になる。 CrVr=PY 日銀は大規模量的緩和でマネタリーベースを拡大し日銀当座預金を積み上げたが、実体経済向けの信用創造が拡大せず、デフレ脱却できなかった [7]。 脚注
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