ヨーグルティング
ヨーグルティング (Yogurting)は、韓国製のMMORPG。かつては韓国・日本・タイの3か国で運営されていたが、後述の通り既にその全てが終了している。 自称のジャンルは「学園オンラインRPG」(韓国では「MMOAAG(Multi Massive Online Action Adventure Game)」という自称ジャンルである。)。日本国内においてはガンホー・オンライン・エンターテイメントの運営により、2005年から2010年まで日本語版が展開されていた。 課金形態は基本無料のアイテム課金方式。略称はヨーグルもしくはYG。 概要韓国で、韓国エヌティックスソフト(Ntixsoft、現・レッドダック(REDDUCK))が開発、韓国ネオウィズ(neowiz)が運営。サービスは2004年7月11日のクローズベータテストから2007年2月27日まで。韓国では電車・バスを用いたラッピング広告も展開されたが、日本ではそのような展開は無い。 タイトルの由来は、とある海外の造語辞典に掲載されていたという「yogurt city」(新しいものが生まれる町、という意味の造語)から。舞台となる学園は、公立エスティバー学園と学校法人宵月学院があり、中高一貫の6年制を想定し、ゲーム中に登場するキャラクターの名前には韓国、中国、欧米をイメージさせるものが混在している。 キャラメイク時に前述の2校のどちらかを選び、転校に相当する要素は無い。両校は各サーバー毎に並存し互いに自由に行き来できるが、アバターの着せ替えがそれぞれ大きく異なる。 作品世界女神や宇宙人、温室内にジャングルがある等「些細な事」を除けば現代世界に非常に近い。 ゲーム内では「無限放学現象(Endless Vacation Phenomenon略してEVP)」により、世界中のほとんどの教師が行方不明になっており、事実上学校としての機能を果たしていない。現時点では複数の学校の生徒会が連携して調査を行っている最中である。 私立宵月学院エスティバーが繁華街の真っ只中に位置しているのに対し、宵月学院は都心から離れた山の麓に位置しており、ある程度孤立した地形条件を持つ。無限放学現象以後ほとんどの教師が消え、それに伴って急激に勢力を増やしたオカルト研究部と、何とか学園を持ち直そうとする生徒会との対立が目立つ。 補足:新校舎も旧校舎も相当古い建物である。旧校舎の校庭のBGMが日本風で、また旧校舎の女子幽霊の制服は戦前の高等女学校等に見られたタイプに似ている。旧校舎内には南北の軍事境界線の描かれていない朝鮮半島の地図が残されている。桜並木など日本の特色が出ている。 公立エスティバー学園かなりの大きさを持つ現代的な学園。誰が何の為にどうやって作ったのか分からない。学園の下には計り知れない規模の古い図書館があり、「最下部に女神が住んでいる」と噂されている。無限放学現象以降有名になった当学園には、他の学園よりも多くの教師が残り、学園の正常化に向けて励んでいる。 補足:公立にしては施設が非常に充実している。 NPC→「NPC」も参照
宵月学院
エスティバー学園
モンスター
用語
ゲームシステムフィールド上では基本的にMMORPGだが、個別の「エピソード」と呼ばれるものがあり、こちらは最大8人でのMORPGとなる。 「エピソード」には個々に適正レベル(当初はPOWと呼ばれるパワーアップ回数だった)が設定されており、この適正レベルを一定値以上超過したキャラクターである場合、「エピソード」への参加はできるが得られる経験値は大幅に減少する。 各「エピソード」は複数のMAPから構成され、クリア条件もストーリーに合わせてそれぞれに設定されており、オンラインゲームにありがちな単純な殲滅戦ばかりではない。このMAPのすべてをクリアすると1エピソードが終了する。 「エピソード」内の戦闘は基本的に圧倒的多数の敵に対して少数のプレイヤーキャラクターという構図になり、「周りを大量の敵に囲まれ、いわゆるタコ殴りにされながら戦う」という展開がごく普通である。また、敵からは武器や素材(強化や換金用)がドロップされるが、それらは「エピソード」完了後に一緒に戦ったプレイヤーにランダムに配分されるため、いわゆる「横殴り」に起因するトラブルが起こる事はほとんどない。経験値は「エピソード」完了時にその達成度に応じて全員に渡されるシステムで、なおかつ戦闘の構図が敵圧倒的多数でそれを全滅させることが次のMAPに進む為の条件というものも多いゆえ、むしろ手が空いたならば横殴り的にでも積極的に敵を倒し続けて仲間をサポートしていくという戦い方が攻略の基本である。 使用できる武器は下記の4種類で、デモ画面以外の任意のタイミングで武器を(持っていれば)切り替えて戦うことが出来る。
回復薬である「ミルク」等を大量に消費するため、「エピソード」内でも標準装備の携帯電話でNPCからアイテムを購入することが可能である(購入したアイテムは宅配便でどんな激戦中でもPCの元に瞬時に届く)。 当初の展開と評価日本でのサービスは、ネオウィズとガンホー・オンライン・エンターテイメントの間で3年間の商用契約が交わされ、契約金は340万ドルおよび売上げの一定比率。ガンホーの日本側担当者によれば、これは契約金だけではなく日本向けローカライズおよび独自展開のための開発協力金を含むとのこと。 日本サービスは「ハーモニカワールド」「カスタネットワールド」「フルートワールド」の3サーバー体制で正式サービスが開始され、2006年2月からテスト用サーバーとして「ウクレレワールド」が追加された。 だが、特に日本版についてはおよそ好調とは言い難い低調な状態に終始することになった。これについて開発プロデューサーは、「翻訳以上の日本向けローカライズは特にしないのが基本方針だった」とコメントしており、また「韓国とは違ったローカライズを加えなかったのは失敗だった」ともコメントしている(これについては、ネオウィズ側の契約不履行ではないかという声も一部[誰?]に聞かれている)。このような理由により、日本版においても、日本人調の名前のNPCが極端に少なかった事もあり、後述する「暗田」のキャラクター描写に批判が集中した。 実際、当初のゲームシステムは将来性を期待させるものであったものの完成度はまだ総じて低く、また、前述のように日本人的な名前のNPCが少ない事に加え、その他のキャラクター設定にしても、表面上まともな人物として描写をされている校内の優良児的なキャラクター(ただし、エピソードの進展に伴って裏の一面を見せるキャラクターが多い)には西洋風・韓国風の名前、当初から不思議な外見やエキセントリックな言動のキャラクター、胡散臭い言動のキャラクターに東洋風の名前が多く付けられるなど、日本では馴染み難い、ある意味では韓国の国外でも商業展開をする商品として製作されているとは思えないような、開発スタッフの国際的なバランス感覚の欠如が露になっているとの指摘が相次いだ。 なお、ほぼ同じ状況のタイ版において、上記のような反応があったかの詳細は不明。 これらが日本向けカスタマイズも無くそのまま日本版に持ち込まれている事も、韓国文化に対するステレオタイプ的な偏見を持つ層には特に不評を買った。特に同様にシナリオに登場するトラブルメーカーのNPCであっても、日本調の名である「暗田」が低姿勢でズル賢い上に弱そうなオカルトオタクとして宵月学院の学内でもアウトサイダー的な位置に身を置く策士であるのに対し、韓国調の名である「スーチョン」はエスティバー学園生徒会の一員で高圧的で、自分では逞しく有能ぶっているが、実際は無能なへたれである上、バカ丸出しの言動でプレイヤーたちを振り回すトラブルメーカーであることが、ごく序盤のエピソードで露呈するという、さながら嫌韓本の描写のような設定であった。 これらの事が、日本国内においてはインターネット上の匿名掲示板などで、かねてより反日感情を苦々しく思っていた人々を徒に刺激する事になってしまい、匿名掲示板などでネガティブキャンペーンやバッシングが繰り広げられる原因ともなった。 そもそも日本やタイでの評価を語る以前の問題として、最初のメジャーアップデートとして実施された『2がっき』アップデートが大失敗作と言うより他ない内容で、本家韓国では建て直しを早期に諦めて運営自体を終了しているものの、日本とタイではその後も現地の契約先の運営会社によって運営が継続された事は上記の事情と比べると皮肉な結果である。だが、以降は運営を継続している日本版でも、大規模なアップデートや新要素の追加ができなくなってしまった為にゲーム内の過疎化を食い止める事ができず、2007年3月29日、従来の3サーバー体制を廃し後継サーバーとして「オルガンワールド」を新設、こちらに従来の3サーバーのキャラクターを統合し、1サーバー体制での運営となった。 だが状況は好転せず、運営打ち切りがささやかれ続ける中、サーバー統合後3年以上もの間、一部の熱心な固定ファンに支えられる形で異例とも言える運営が続いたが、2010年5月14日、遂に日本版サービスの終了に至った。 ヨーグルティング 2がっき2006年11月22日、システムのメジャーアップデートが実施され、「ヨーグルティング 2がっき」がスタートした(韓国では9月にスタート)。前作ではエスティバー学園、宵月学園の常駐NPCとして両校ともアンナが担当していたが、「2がっき」からはアンナの妹分としてナナが登場、宵月学園側のNPCとして追加された。 大きな変更点は以下の通り
それ以前のヨーグルティングは、ゲーム世界が学園の敷地内に限定されたフィールドのみということで、何をすればいいか判らない初心者でもそれなりにとっつきやすく、独特のまったり感があり、エピソードを数多くこなすというより同好会のノリで集まってエピソードをやりつつ、気軽なチャットを楽しむというプレイヤーが多かった。またガンホーが行ったアンケートでも、別のオンラインゲームのプレイの合間にプレイするセカンドプレイ層のユーザーが多かったという結果が出ていた。 そのため、課金アイテムおよび戦闘中心に偏重したシステムに変貌する「2がっき」へのアップデートに際して、反対の意を唱える一部プレイヤーによる抗議行動も展開された。韓国版、日本版いずれにおいても、「2がっき」スタート後にゲームシステムの激変になじめなかったプレイヤーが多く、この者たちが一気に離れてしまったと言われている[誰に?]。 このように、ヨーグルティングをアバターチャットやメタバースとして捉えていたライト層には、この改変は概ね不評だった。一方で、元々ゲーム性の高いゲームシステムとは言い難く、メジャーアップデートでのゲームシステムの大幅な拡充を期待していたゲーマー層にもまた、「2がっき」のアップデート内容が期待値を下回ったとして、見切りをつけたプレイヤーが多かったとされる[誰に?]。 公式ホームページで配布していた本作のデモムービーに「10th Class」という表記が見られる事から考えれば、当初は全10学年程度のゲーム規模とする構想であった事が窺われるものの、結局はその中途、6年生までが実装された段階で開発が打ち切られる事となってしまった。なお日本版では運営終了まで6年生の実装は行われず、5年生までの「エピソード」しかプレイすることができなかった。 韓国版の破綻と日本版のその後2007年1月23日、本国である韓国公式サイトにて「これ以上のサービス維持が困難になった」事を理由として、同年2月27日をもって韓国版ヨーグルティングのサービスを全て終了すると発表。これに関して開発プロデューサーは「2がっき」へのアップデートを絡めて「プレイヤー達の意見に頼って、ゲーム内容をあまりに無理矢理変更しようとしたことが、最大の間違いだった」[1]とコメントしており、事実上の運営破綻であった事を認めている。また、システムの完成度の低さや、韓国版・日本版の業績不振の事実も認めており、それらを破綻の要因として示唆している。 日本版のその後についてガンホーは同年1月24日に、韓国でのサービス終了後もこのままサービスを継続してゆくことを発表した。しかし、その時点で既に韓国での開発チームは既に消滅しており、日本版継続の為の新規開発の続行や、開発データやローカライズ作業用データの日本側運営会社などへの引継ぎなども行われなかった。そのため、これ以降は、新モンスター・新エリア・新学年といった新規開発を要するメジャーアップデートはなく、ガンホー側では既存リソースのチューニングや、配置や台詞や服のテクスチャの色などの入れ替えのみで済む、日本側運営会社のみでも実施が可能な簡易なカスタマイズのみを行うとしていたが[2]、実際はNPCの台詞変更や既存イベントの使いまわし等サーバー側の小規模な変更に留まり、テクスチャの色などクライアントへのパッチが実施されることはなかった。 また、開発チームの消滅により必要な公式素材が入手できなくなった為か、それ以降は日本版ホームページの更新は文字による情報のみが更新される極めて単調な状態が続いた。 このような状態で、また話題にも全く乏しく、著しい過疎化というある意味で末期的な状態に陥りながらも、なぜか日本版の運営はその後3年以上も打ち切られる事無く継続されたが、さすがに開発側のサポートが無く新要素も無いゲーム運営は困難を極め、ついには2010年5月14日をもってのサービス終了となった[3]。 2010年5月7日の卒業式イベントには終了を惜しむ者が殺到し、ゲームサーバーがダウンするという珍事が起こった。 沿革
サーバエミュレータ現在終了を惜しむ有志の手によりサーバエミュレータが開発されており、タイでのサービス終了後は唯一プレイできる存在となる。開発はヨーグルティングSNS[5]にて進行している。利用に関して法的に直接罰せられることはない。 関連項目
外部リンク |
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