1980年代後半ごろには、前出バンドの流れを汲んで、CRIPPLED YOUTHから改名したBOLD、CIVやRIVAL SCHOOLS、QUICKSAND、MOONDOGといったバンドの母体となったゴリラ・ビスケッツ、労働者の誇りを掲げ、スキンヘッズとストレイト・エッジ・キッズの連帯を説いたSIDE BY SIDE、モッシュ・ハードコアの開祖とされるJUDGE、ニューヨークのユースクルー・オールスターによる覆面バンドPROJECT-Xといったバンドが登場。それまでパンクや不良、ジャンキーの吹き溜まりだったニューヨークのシーンを大きく塗り替えた。
呼応するかのように、近郊のコネチカットからはWIDEAWAKEやUP FRONT、ニュージャージーからはTURNING POINT、カリフォルニア中部からは知的な歌詞で知られるNO FOR AN ANSWER、ラップメタル・バンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを後に結成するザック・デ・ラ・ロック(ロッチャではなく、ロックと名乗っていた)が在籍したINSIDE OUT、CHAIN OF STRENGTH、オレンジカウンティからはINSTED、ワシントン州からはFALSE LIBERTYというスピードコア・バンドから派生したBROTHERHOOD、アリゾナからはLAST OPTION、フロリダからはPOWERHOUSE、ヒッピー発祥の地であり、マキシマム・ロックンロールが拠点を構えるアメリカン・パンクの中心地、サンフランシスコからもUNITPRIDEが登場するなど、シーンは最高の盛り上がりを見せた。
TIME FLIES、RAIN ON THE PARADE、PUSHED TOO FAR、OPEN CLOSE MY EYES、BLACK TURNS GREEN、SPIRIT 84'、VOICE OF REASON、DESTRO、HELDBACK、ENVY、ATARI、PROJECT208、INSTINCT、RANCOR、HIGHSCORE、BUILDING、HALLRAKER、SPORTSWEAR、CONVICTED TRUTH、INSTINCT、GOOD CLEAN FUN、SEPARATION、STAND YOUR GROUND、EYE'S SHUT、PRODUCT、ANTI-HERO、HANDS TIED、PRODUCT X、BARFIGHT、GROWING CONCERN、FADED GREY、RED TAPE、FIELDS OF HOPE、BURNING FLAMES、ONE MORES、TEPBACK、RAZLOG ZA、REACHING FORWARD、H-STREET、POINTING FINGER、WOOF、SECOND AGE といった往年のユースクルー・スタイルを体現するバンドが無数に活動していた。
しかしながら、全てのバンドが右翼的というわけでもない。ジョン・ポーセルはユース・オブ・トゥデイ在籍時に社会主義への共感を口にしていたし、バンド単位でもLARMから派生したオランダのMANLIFTING-BANNER、FEEDING THE FIRE、ドイツのPROUD YOUTHのような左翼シンパのバンドも活動していた。また、シアトルのBROTHERHOOD、ベルギーのNATIONS ON FIRE、スウェーデンのSEPARTIONら過激な反体制論を唱えるバンドも古くから存在していたし、最近でもANCHORのようにナイキ社の東南アジア労働者への待遇に抗議してファンに同社製品のボイコットを呼びかけたり、CHAMPIONのように米国の愛国教育に異を唱えたり、VERSEのように公然と反政府組織への支持を表明するバンドも存在する。