モウコノウマ
モウコノウマ(蒙古野馬、英語: Przewalski's Wild Horse、学名: Equus ferus przewalskii)は、ノウマ(Equus ferus)の一亜種である。プシバルスキーウマとも呼ばれる。染色体数は66本。
かつては、現存する野生馬であり、ターパン(学名 Equus ferus ferus)が1909年に絶えた後は、ノウマとしては唯一の野生馬と考えられていた。しかし近年の研究では、1968年頃に野生下では一度絶滅したと見られている。現在は飼育されていた子孫の一部が再野生化されている。 近年、約5500年前の最初期の家畜馬の痕跡を持つ遺跡(現在のカザフスタンボタイ遺跡)の馬はモウコノウマの系統であることが分かった(したがって現生の家畜馬のウマの系統ではない[注 1])。 加えて現生のモウコノウマはその家畜馬が古い時代に再野生化した子孫であるとの説が唱えられている[2]。しかし、2021年の再調査では、モウコノウマは家畜化されたことはないという伝統的な結論となった[3]。 形態頭胴長2.2 - 2.6 m、体高1.2 - 1.4 m、体重200 - 300 kgほど。毛色はいわゆる薄墨毛で、全体的に淡い褐色、四肢とたてがみ、尾は濃い褐色になる。冬になると毛の色合いが薄くなり、かつ毛が長くなる。たてがみは常に直立しており、家畜馬のように倒れない。口先に白いポイントがある。体型はがっしりとしており、サラブレッドなどの競走馬が持つ華奢なイメージはない。背中に「鰻線(まんせん)」という濃い褐色の帯がある。 生態一頭前後のオスが中心となり、全ての雌を率いるハーレムを構成する。雌には序列があり、年長のメスの序列が一般的には高い、という小規模の群れで暮らす。若い雄がリーダー雄を倒すと、ハーレムを奪う。雄は群れを率いて、他の雌が独身の雄に奪われないように群れを守っている。草原の草を食べる典型的なグレイザーである。 生息地ユーラシア大陸の草原に生息している。かつてアジア中央部、特にモンゴル周辺(アルタイ山脈周辺)に多数生息していたが、野生下では一度絶滅し、飼育個体の子孫を野生に戻す試みが各地で続けられている。英語圏での別名は"Asian Wild Horse"、または"Mongolian Wild Horse"である。かつての原産地であるモンゴルでは、タヒ(蒙: Тахь、ラテン文字転写例: Takh' あるいは Takhi)と呼ばれている[要出典]。2019年2月時点では、国内では多摩動物公園及びよこはま動物園ズーラシアで飼育されている。 発見から絶滅、再野生化まで西洋諸国に知られるようになったのは1879年である。ロシアの探検家ニコライ・プルジェヴァリスキー大佐によってモンゴルで発見され、広く知られるようになった(学名及び英名は発見者に対する献名)。 しかし1966年にハンガリーの昆虫学者によって目撃されたのを最後に野生下での目撃情報が確認されなくなり、恐らく1968年頃に野生下では一度絶滅したと見られている。だが発見以後多くの個体が欧米諸国の動物園に送られており、その子孫が生き残っていたことから、飼育下での計画的な繁殖が始められ、再野生化が試みられた。現在は、世界各地の動物園で1000頭以上が飼育されている。モンゴルのフスタイ=ヌルー保護区で再野生化が行われ100頭以上に回復している。また、新疆ウイグル自治区の自然保護区等で、再野生化の目的で飼育個体の一部の導入が行われている。 脚注注釈出典
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