『メッキの神像』(メッキのしんぞう、The Gilded Man )は、1942年に発表されたカーター・ディクスン(ディクスン・カー)名義の長編推理小説。ヘンリー・メリヴェール卿もの第13長編である。邦題は早川書房のもので、東京創元社では『仮面荘の怪事件』となっている。
もともとフェル博士もの短編『軽率だった夜盗』がオリジナルで、主人公と季節、犠牲者の生死を変えた他は、ストーリーもトリックも同じである。H・M卿に探偵役を変えたことでドタバタ色が増えた半面、本筋とはあまり関係のないエピソードが追加されている。
あらすじ
美術評論家にして名画収集家スタンホープ[1]氏の一家が住むワルドミア荘(仮面荘)と呼ばれるロンドン郊外の邸宅。夜中に物音がして駆けつけた家族が見たのは、泥棒らしき瀕死の男が倒れている姿。
しかし覆面の下の顔はこの屋敷の当主スタンホープ氏だった。
彼はなぜ自分の家に夜盗として侵入したのか。高額の保険金目当てか、あるいは、盗まれたと称し美術品が偽物なのを隠蔽するためか。メッキの神像にまつわる絵画の盗難と殺人未遂の謎にH・M卿が挑む。
主な登場人物
- ドワイト・スタンホープ - ワルドミア荘(仮面荘)に住む一家の主人。自宅に忍び込んだ夜盗として瀕死の状態で発見される。
- ニコラス・ウッド - ドワイトの招待客。スコットランド・ヤードの警部。
- ヴィンセント・ジェイムズ - ドワイトの招待客。ニコラスの友人。
- クリスタベル - ドワイトの後妻。
- エリナー - ドワイトの娘。
- ベティ - ドワイトの娘。
- ラーキン - ワルドミア荘(仮面荘)に住み込みで仕えている執事。
- ヘンリー・メリヴェール卿 - 名探偵だがドタバタ騒ぎを演じる事の多い三枚目。通称H・M卿。
提示される謎
- ホワイ・ダニット(怪事件の発生原因と経緯)
- なぜ、主人は自宅に夜盗として侵入したのか。
- 覆面の夜盗を撃退した人物は、(正当防衛の余地があるのに)なぜ名乗り出ないのか。
書誌情報
- 「メッキの神像」 村崎 敏郎 (翻訳) 早川書房 1995年 HPB491
- 「仮面荘の怪事件」 創元推理文庫 2002年
脚注
- ^ 「仮面荘の怪事件」東京創元社の新訳のみ、「スタンホープ」を「スタナップ」に変えている
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長編・中編小説 |
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短編集 |
カー短編全集 |
- 1.不可能犯罪捜査課(マーチ大佐シリーズを含む)
- 2.妖魔の森の家(ギデオン・フェル、ヘンリー・メリヴェール・シリーズを含む)
- 3.パリから来た紳士(マーチ大佐、ギデオン・フェル、ヘンリー・メリヴェール・シリーズを含む)
- 4.幽霊射手
- 5.黒い塔の恐怖
- 6.ヴァンパイアの塔
- グラン・ギニョール(アンリ・バンコラン・シリーズと重複)
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エイドリアン・コナン・ドイルとの合作短編集 | |
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アンソロジー |
- 世界短編傑作集5(マーチ大佐シリーズ「見知らぬ部屋の犯罪」を収録)
- 51番目の密室 世界短篇傑作集(ヘンリー・メリヴェール・シリーズ「魔の森の家」を収録)
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その他 |
ラジオ・ドラマ集 | |
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評伝 |
- コナン・ドイル(原題:The Life of Sir Arthur Conan Doyle)
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