マイケル・オブ・ケント王子妃 (Princess Michael of Kent[ 1] 、全名:マリー=クリスティーヌ・アン・アグネス・ヘドウィグ・アイダ (Marie-Christine Anne Agnes Hedwig Ida)、旧名:マリー・クリスティーネ・アナ・アグネス・ヘートヴィヒ・イーダ・フォン・ライプニッツ男爵令嬢 (独 Marie Christine Anna Agnes Hedwig Ida Baronin von Reibnitz;英 Baroness Marie-Christine Agnes Hedwig Ida von Reibnitz), 1945年 1月15日 - )は、イギリス王室 の一員。エリザベス2世 の従弟であるマイケル・オブ・ケント 王子の妻。作家であり、欧州の王室について数冊の著作を持つ。公邸はケンジントン宮殿 になる。
略歴
当時ナチス・ドイツ 領であったズデーテン地方 カールスバード(現在のチェコ 、カルロヴィ・ヴァリ )で、敗戦間近の1945年1月15日に、ナチス親衛隊 少佐でドイツ系の父ギュンター・フォン・ライプニッツ男爵 と、ハンガリー貴族の娘の母マリアとの間の娘として誕生した。ヨーロッパ戦線 での戦いが終わると、ズデーテン地方ではすぐに「ドイツ人追放 」が起きた。
マリーはカトリック 教徒として育てられた。マイケル王子と結婚前は、インテリアデコレーターとして働いていた。
1971年、イギリス人の銀行家、第6代準男爵 トマス・トルーブリッジと結婚したが、1973年に別居、1977年に離婚した。1978年、5月にカトリック教会からトルーブリッジとの「婚姻無効 宣告」(annulment)を受けた後、翌6月30日にウィーン でマイケル王子と再婚(非宗教の法律婚・民事婚)した。1983年6月29日には、カトリック教会から「婚姻承認宣告」(acknowledgement)を受け、結婚式を挙げた。
1701年王位継承法 では「王室構成員がカトリック教徒と結婚した場合、王位継承権を失う」と定められていたため、マイケル王子はイギリス王位継承権を失った。その後、2013年王位継承法 での改定によりマイケル王子の継承権は復活した。フレデリック (英語版 ) とガブリエラ (英語版 ) の子供2人はアングリカン・コミュニオン として育てられたため、改正前より王位継承権を有している。
血筋
母方の祖先には、フランス 王アンリ2世 と王妃カトリーヌ・ド・メディシス および愛妾ディアーヌ・ド・ポワチエ 、また画家のピーテル・パウル・ルーベンス がいる[ 2] 。
アメリカのファッション誌で、マリーの血筋は英国王室の成員と結婚する者の中では、エディンバラ公フィリップ 以来の王族らしいものだと評されている[ 3] 。また身長は180cmあり、「王族の血脈に入る背の高い初めての女性だろう」とも評されている[ 4] 。
メディア
2004年5月、ディナーでの黒人の一団が騒がしいとして「植民地にお帰りなさい」などと小言を言ったと、当の一団からマスメディアに告発され、マリー自身はそうしたニュアンスは否定したが、いずれにしろ世界中のニュースのヘッドラインで流れた[ 5] 。
2017年、黒人をモチーフにした人種差別的な意味合いを持つブローチを身に付けたことで批判された[ 6] 。
称号・敬称
Baroness Marie-Christine von Reibnitz(マリー=クリスティーヌ・フォン・ライプニッツ男爵令嬢、1945年 – 1971年)
Baroness Marie-Christine von Reibnitz, Mrs Thomas Troubridge(トマス・トルーブリッジ夫人マリー=クリスティーヌ・フォン・ライプニッツ男爵令嬢、1971年 - 1978年)
Her Royal Highness Princess Michael of Kent(マイケル・オブ・ケント王子妃殿下、1978年 - )
正式には、Her Royal Highness Baroness Marie-Christine Anne Agnes Hedwig Ida, Princess Michael of Kent(マイケル・オブ・ケント王子妃マリー=クリスティーヌ・アン・アグネス・ヘドウィグ・アイダ男爵令嬢殿下)[ 7]
著書
『異国へ嫁した姫君たち―ヨーロッパ王室裏面史』(Crowned in a Far Country: Portraits of eight royal brides )(時事通信社 、1989年)
『宮廷を彩った寵姫たち―続・ヨーロッパ王室裏面史』(Cupid and the King: Five Royal Paramours )(時事通信社、1994年)
Michael of Kent, Princess (2004). The Serpent and The Moon: two rivals for the love of a Renaissance king. Simon & *Schuster. ISBN 0-7432-5104-0 .
Michael of Kent, Princess (2013). The Queen Of Four Kingdoms. Constable. ISBN 978-1472108456 .
Michael of Kent, Princess (2014). Agnès Sorel: Mistress of Beauty. Constable. ISBN 978-1472119131 .
脚注
^ 彼女は自身の権利としてではなく夫との婚姻を通じてPrincessの身位を有するため、Princess Marie-Christineではなく、夫の名に基づいてPrincess Michael of Kentと称するものであり、現に著書においてもこのように称している。著書の日本語訳では「マイケル・ケント公妃マリー・クリスチーヌ 」と記されているが、本文においては、他の記事における訳例との整合性および訳語としての正確性を勘案して「マイケル・オブ・ケント王子妃」と表記している。
^ Michael of Kent, Princess (2004). The Serpent and The Moon: two rivals for the love of a Renaissance king. Simon & Schuster. ISBN 0-7432-5104-0 .
^ van de Pas, Leo (2005). Sinners and Saints: A Biographical Introduction to the Ancestors of HRH Princess Michael of Kent . ISBN 0-646-45007-7 .
^ “Faces of the week” . BBC News . (28 May 2004). http://news.bbc.co.uk/1/hi/magazine/3757203.stm 22 May 2010 閲覧。
^ Hamilton, Alan; Wapshott, Nicholas (27 May 2004). “You need to go back to the colonies” . The Times (London). http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-1124459,00.html 22 May 2010 閲覧。
^ Greenfield, Patrick (22 December 2017). “Princess Michael of Kent apologises for wearing 'racist jewellery'” . The Guardian . ISSN 0261-3077 . https://www.theguardian.com/uk-news/2017/dec/22/princess-michael-apologises-wearing-racist-jewellery-meghan-markle-christmas-lunch 23 December 2017 閲覧。
^ Styles and titles of Prince and Princess Michael of Kent 英国王室公式ウェブサイト
マリー=クリスティーヌ (マイケル王子夫人)の系譜
16. カール・フォン・ライプニッツ男爵
8. エルンスト・フォン・ライプニッツ男爵
17. アントニー・アーデルハイト・ヘンシェル・フォン・ギルゲンハイム
4. ハンス・フォン・ライプニッツ男爵
18. ヨーゼフ・フランツィスクス・ノイマン
9. エミーリエ・ノイマン
19. エミーリエ・ザイファール
2. ギュンター・フォン・ライプニッツ男爵
20. フリードリヒ・レオポルド・ゴットリープ・フォン・アイクシュテット男爵
10. フーゴ・フォン・アイクシュテット男爵
21. アントニー・フォン・ヴィットルフ男爵夫人
5. イーダ・フォン・アイクシュテット男爵夫人
22. フリードリヒ・クローン
11. イーダ・ナディジェダ・クローン
23. カタリーナ・ビラー
1. マリー=クリスティーヌ
24. フェレンツ・ザパリー伯爵
12. ラースロー・ザパリー伯爵
25. ロザリー・アルマシー・デ・ザダーニ・エ・トレク・セント・ミクロス
6. フリジェス・ザパリー伯爵
26. カール・ルートヴィヒ・フォン・グリュンネ伯爵
13. マリアンネ・フォン・グリュンネ伯爵夫人
27. カロリーネ・フォン・ウント・ツー・トラウトマンスドルフ=ヴァインスベルク伯爵夫人
3. マリア・アンナ・ザパリー伯爵夫人
28. ヴィンディシュ=グレーツ侯アルフレート2世
14. ヴィンディシュ=グレーツ侯アルフレート3世
29. ロプコヴィッツ 侯女ヘートヴィヒ
7. ヘドヴィク・フォン・ザパリー伯爵夫人
30. アウエルスペルク侯ヴィンツェンツ・カール
15. アウエルスペルク侯女ガブリエーレ
31. アウエルスペルク侯妃ウィルヘルミーナ
結婚によりイギリスのプリンセスとなった人物
第1世代 第2世代 第3世代 第4世代 第5世代 第6世代 第7世代 第8世代 第9世代 第10世代 第11世代
* : イギリス王女(Princess of Great Britain and Ireland )の称号と殿下(Highness )の敬称を自身の権利によっても有していた者。