ポール・ファーマー
ポール・ファーマー(Paul Farmer, 1959年10月26日 - 2022年2月21日)は、アメリカ合衆国出身の医師、医療人類学者[1]。ハーバード大学・ハーバード医学校教授。発展途上国での医療活動で知られる[2]。 2003年にピューリッツァー賞受賞作家のトレーシー・キダーがノンフィクション『国境を越えた医師』(原題: Mountains Beyond Mountains)で紹介したことにより、アメリカで一躍有名になった[3][4]。 経歴1959年、マサチューセッツ州ノースアダムズに生まれる[4]。トレーラー暮らしの貧困家庭で育つ[5]。デューク大学で医療人類学を学ぶと同時に、ハイチで医療活動に従事する[6]。ハーバード医学校に進学し、医学と医療人類学の2つの博士号(M.D.とPh.D.)を取得する[4][6]。ハーバード大学・ハーバード医学校教授、およびボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の感染症医となる[6]。 1987年、国際医療NPO「パートナーズ・イン・ヘルス」(Partners In Health, PIH)を、学友のジム・ヨン・キムやオフェーリア・ダール(ロアルド・ダールの娘)らと共同で設立[4]。 以降、ハイチのカンジュをはじめ、ルワンダ、レソト、マラウィ、メキシコ、ロシア、ペルー、リベリア、シエラレオネなどで医療活動に従事する[6]。同時にアメリカで後進の教育にも従事する[4]。また、ジョージ・ソロス、ビル・クリントンら有力者と交渉し、資金援助や医療政策・海外支援政策を取り付ける[4]。 医学者としては、治療不可能とみなされていた多剤耐性結核やAIDSの治療で業績があり[4][2]、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』『ランセット』などの著名な医学雑誌に論文がある[4]。医療人類学者としては、医療倫理学では見落とされがちな途上国・貧困層の医療問題や[7]、その背後にある構造的暴力[8]、社会的不平等、グローバルヘルス、解放の神学などを論じている。 トレーシー・キダーは、ファーマーと1994年に偶然出会い、5年後に取材を開始し、2003年に『国境を越えた医師』を出版した[3]。 2010年ハイチ地震や2014年西アフリカエボラ出血熱流行でも現地に赴いた[6]。 2012年、「地域医療・ハイチの教訓担当国連事務総長特別顧問」に任命された[9][10]。 2017年、PIHのドキュメンタリー映画『Bending the Arc』が公開された。 2022年2月21日、滞在先のルワンダで逝去[1]。享年62[1]。 栄誉マッカーサー・フェロー、公共福祉メダル、バーグルエン賞など多くの栄誉がある。 関連書籍(日本語訳)評伝
著作
脚注
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