ポム・クレメンティエフ (仏 : Pom Klementieff , 1986年 5月3日 [ 1] - )は、カナダ ・ケベック州 生まれのフランス人 女優[ 1] 。パリ の演劇学校クール・フローラン (英語版 ) で学び、2009年の "Loup "、2011年の『スリープレス・ナイト』、2015年の『ハッカーズ・ゲーム』などの映画に出演した。マーベル・シネマティック・ユニバース では、2017年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 』以来マンティス 役を演じている。
幼少期
クレメンティエフはケベック州 ケベック・シティー で、韓国人の母親とフランス政府の領事 として働くフランス=ロシア人の父親の間に生まれた[ 3] [ 4] 。ケベック生まれだがカナダとの二重国籍ではなく、彼女が保持しているのはフランス国籍のみである。彼女の「ポム」という名前は、韓国語 で「春」(봄 )・「虎」(범 ) を表す単語と同じ発音であることに由来している[ 4] 。クレメンティエフがカナダに住んでいたのは1年あまりで、その後家族は父親の仕事に伴ってあちこち転居して過ごした[ 5] 。後にフランスで定住するまで、京都で2年、コートジボワール で1年生活した経験があるという[ 5] [ 6] [ 7] [ 8] 。
クレメンティエフの父親は彼女が5歳の時に癌 で亡くなり、母親も統合失調症 を患っていて子どもたちを養育できなかったことから[ 4] 、彼女は父方のおじ夫婦に育てられた[ 3] 。「第2の父のよう」("like [her] second father") と語るおじが亡くなったのはクレメンティエフの18歳の誕生日だったが、その7年後に兄が自殺したのも、奇しくも彼女の25歳の誕生日であった[ 4] 。彼女はおじの死後短期間だけロー・スクール に通ったものの、おばに譲歩して進学した一方でキャリアパスには魅力を感じることができなかった。フランスではウェイトレス やセールスマン としても働いていた[ 4] 。彼女は19歳でパリ の演劇学校クール・フローラン (英語版 ) に入学した。数ヶ月学んだ後、彼女はシアター・コンペティションで優勝し、賞品として2年間にわたり学校のトップ教員による無料クラスを受講できるようになった[ 5] 。
キャリア
2018年のブリュッセル・コミコンにて
クレメンティエフにとって初めての演技の仕事となったのは、2007年にフランスで制作されたインデペンデント映画 "Après lui " で、カトリーヌ・ドヌーヴ 演じる主人公の養女役を演じた[ 3] 。出演シーンの撮影は3日間で終了した。あるシーンの撮影中、クレメンティエフは別人を階段から突き落とすはずが誤って自分が転げ落ちてしまい、監督のガエル・モレル はこのシーンをそのまま完成版に収録することにした。初めて主役を演じたのは2009年のフランス映画 "Loup " で、シベリア の山中でトナカイ を飼育する部族を主題とした作品だった。撮影中クレメンティーフはキャンプに留まることになったが、最寄りの村から数時間かかる上、気温は氷点下にもなるような環境だった。この間彼女はこの地に住む遊牧民と親しくなったほか、実際の狼 と共に撮影し、トナカイに乗り、馬に乗って湖を泳いだという[ 5] 。
彼女のハリウッド・デビューは2013年にスパイク・リー が制作した『オールド・ボーイ 』で、この作品は漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ 』を原作とし、韓国で2003年に制作された同名映画 のリメイク作品である[ 5] [ 9] [ 10] 。彼女はシャールト・コプリー 演じる敵対者のボディーガード、ヘン=ボクを演じた。元映画のファンでもあったクレメンティエフは、プロデューサーのロイ・リー からリメイクの噂を聞きつけると、この役がマーシャルアーツ に長けていることを知ってボクシング のレッスンに取り組んだ。彼女がオーディションでボクシングの腕前を見せると、ロイ・リーは彼女に対し、帰宅して映画中の役柄のように女性的な服装と化粧をしてくるよう求めたという[ 4] [ 3] 。作中衣装のいくつかは彼女の私物であるほか[ 3] 、ジョシュ・ブローリン との戦闘シーンに備えて、2ヶ月にわたり1日3時間のトレーニングを積んだ[ 3] [ 9] 。クレメンティエフの役名は韓国語で「幸福」を意味するヘン=ボク (Haeng-Bok) になったが、これはリーから彼女へふさわしい名前を探してきてほしいと頼まれての結果である[ 3] [ 5] 。
クレメンティエフは『オールド・ボーイ』撮影後にロサンゼルス へ移住し、ハリウッドでのオーディションに積極参加するようになる[ 3] [ 5] 。映画の後もテコンドー を続け、2014年夏には紫帯を獲得した[ 3] 。次に獲得したのは2015年の映画『ハッカーズ・ゲーム』(原題、"Hacker's Game ")で、この作品で演じたハッカー役をクレメンティエフ自身は『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 』に登場するリスベット・サランデル (英語版 ) になぞらえている。彼女はこの映画でもボクシングの腕前を披露することになったが、映画が低予算であったため、自分で化粧をしたり私物の衣装を使ったりする羽目になった[ 5] 。役柄のために髪を紫色に染めるのは彼女のアイデアで、監督たちは当初これに反対したが、最終的には黙認した[ 3] 。彼女は2017年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 』でマンティス 役としてマーベル・シネマティック・ユニバース に初登場し、2018年の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 』、2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム 』で同役を再演している[ 11] 。
フィルモグラフィ
映画
テレビ
制作年
作品名 原題
役名
備考
吹き替え
2009
Pigalle, la nuit
サンドラ
テレビシリーズ(計8話)
—
2019
ブラック・ミラー Black Mirror
ロクセット
Netflix制作のテレビシリーズ 第5シーズン第1話「ストライキング・ヴァイパーズ」
遠藤綾
2020
ウエストワールド Westworld
マーテル
テレビシリーズ(計3話)
藤田昌代
2022
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル The Guardians of the Galaxy Holiday Special
マンティス
Disney+ 配信 テレビスペシャル
秋元才加
脚注
^ a b “Qui es-tu Pom Klementieff?/Who are you Pom Klementieff?” (フランス語). Première (France). (7 July 2012). オリジナル の1 January 2018時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/HB2aj 1 January 2018 閲覧 . "Miss Klementieff est née au Québec le 3 mai 1986, d'un père russe et d'une mère coréenne./Miss Klementieff was born in Quebec on May 3, 1986 to a Russian father and a Korean mother." Additional WebCitation archive on 1 January 2018.
^ a b c d e f g h i j “Actress Pom Klementieff from Spike Lee's Oldboy” . Filler Magazine 2 (5). (Summer 2014). オリジナル のDecember 6, 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131206043028/http://fillermagazine.com/culture/film/celebrity-news-and-interviews-actress-pom-klementieff-from-spike-lees-oldboy 2 July 2014 閲覧。 Additional Archive.is archive on 7 July 2014.
^ a b c d e f Han, Steve (November 2013). “Korean French Actress Pom Klementieff Makes US Debut in 'Oldboy' Remake” . KoreAm . オリジナル の2014年7月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140714213043/http://archive.iamkoream.com/november-issue-korean-french-actress-pom-klementieff-makes-us-debut-in-oldboy-remake/ 5 July 2014 閲覧 . "So I told [filmmaker Spike Lee], my father died when I was 5. My mother, she is schizophrenic, so she couldn’t take care of me and my brother, who committed suicide a few months before the audition [for Lee's remake of Oldboy ]."
^ a b c d e f g h Chang, Mina (2 July 2013). “Q&A with Pom Klementieff” . Anthem Magazine . オリジナル の7 January 2014時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140107050036/http://anthemmagazine.com/qa-with-pom-klementieff/ 5 July 2014 閲覧。
^ Story by Natasha Nyanin / Photography by Ben Hassett (2018年9月4日). “PAPER People: Pom Klementieff ”. ペーパー (英語版 ) . 2019年6月2日 閲覧。
^ Whelan, Natalie (2017年5月11日). “5 Things to know about Pom Klementieff ”. Be. 2019年6月2日 閲覧。
^ “Actress Pom Klementieff shares her Unique Russian-French-Korean Perspective ”. Ledgerwood (2017年5月12日). 2019年6月2日 閲覧。
^ a b De Ville, Reece (April 7, 2014). “Interview: Oldboy's ass kicking, earth moving Pom Klementieff” . TheDigitalFix.com. オリジナル のJuly 23, 2017時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170723203653/http://www.thedigitalfix.com/film/content/77546/interview-oldboys-ass-kicking-earth-moving-pom-klementieff/ July 5, 2014 閲覧。
^ アクトンボーイ (2017年2月23日). “【こわい】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のマンティスを好きになりたいから特集してみた ”. THE RIVER. 2019年6月2日 閲覧。
^ Romano, Nick (28 January 2017). “Avengers: Infinity War adds Mantis from Guardians of the Galaxy 2 ”. Entertainment Weekly . January 29, 2017時点のオリジナル よりアーカイブ。28 January 2017 閲覧。
外部リンク